子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

きょうだい支援

※以下、家族に障がいや病気をもつ子どもがいる場合、その子どもたちを「同胞」、その兄弟姉妹のことをひらがなで「きょうだい」と記します。

きょうだい支援に関するご相談

NHK番組やYahoo!ニュース/たまひよ(Benesse)記事など、多数メディアに登場

きょうだいとしての経験、障がいの捉え方、今必要な教育について発信!

NHK番組はこちらから

Yahoo!ニュース/たまひよ(Benesse)記事はこちらから

誰が「きょうだい支援」に取り組むのか

きょうだいという立場で育ち、きょうだい支援のための絵本『みんなとおなじくできないよ 障がいのあるおとうととボクのはなし』(日本図書センター)の作者であり、小児科医でもある湯浅正太(ゆあさ しょうた)が、「きょうだい支援」に取り組みます。

Youtube動画「きょうだいとしての経験 湯浅正太」

私のきょうだいとしての経験を語ったYoutube動画をご紹介します。下のアイコンから視聴できますので、きょうだい支援に向けた資料として自由にご利用ください。私がきょうだいとしてどのような悩み/問題を抱え、どのような支援により救われたのか。そして、きょうだい支援にとって大事なものは何か。きょうだいとしての経験やきょうだいに関する研究を通して、きょうだい支援のあるべき姿について語っています。

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Youtube動画「障がいや病気をもつ子のきょうだい キミはひとりじゃない」

きょうだいのための絵本『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)の作者で、現役の小児科医でもある湯浅正太。その湯浅正太がきょうだいに向けて「キミはひとりじゃない」とエールを送るYoutube動画を、クラウドファンディングで支援を受けてつくりました。この動画のエンドロールには、きょうだいを応援したい支援者のお名前が列挙されています。この動画を通じてきょうだいに、「ひとりじゃない」ということを感じてほしいと思います。

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きょうだいに関する研究

きょうだいに関する研究もおこなっています。

「湯浅正太(2022):日本の障がい児/者のきょうだいの学歴,収入,主観的幸福度に関連する因子の調査,小児の精神と神経. 第61巻4号(1月号)」

きょうだいの将来にとってどのような支援がよいのか。小児科医として根拠をもちながら、きょうだい支援に取り組みたいと考えています。

こういったさまざまな経験から生まれたのが、きょうだい支援のための私の絵本『みんなとおなじくできないよ 障がいのあるおとうととボクのはなし』(日本図書センター)です。この絵本は、全国の幅広い年齢層の方に読んでいただけるようになりました。多数のメディアでも紹介していただきました。どうもありがとうございます。

今後さらに、きょうだいという立場の子どもたちへの理解を広めてゆきたいと思っています。

どのような社会課題を解決するのか

私はきょうだいという立場で育ち、障がいによりさまざまな生きづらさを抱える同胞の姿を目にすることで、同胞を心配したり、何もしてあげられない未熟な自分を責めたりもしました。その悩みや葛藤を抱く様子を、私の絵本『みんなとおなじくできないよ 障がいのあるおとうととボクのはなし』(日本図書センター)の中で表現しています。

一般的に、きょうだいは、以下のような悩みを抱えることが知られています。

  • 自分も、同胞と同じような障がい/病気をもつ/もっているのではないか、という不安
  • 皆と同じような行動ができない同胞への恥ずかしさ
  • 同胞が障がい/病気をもったのは、自分が原因ではないか、という間違った罪悪感
  • 将来、お母さんもお父さんもいなくなったら、同胞と自分だけで暮らしていけるのだろうか、という将来に対する不安
  • 同胞のせいで、自分が思うような生活ができないことへの憤り/恨み
  • 同胞を支えるためには、自分がしっかりしないといけない、というプレッシャー

そして、きょうだいがこのような悩みを抱えながら生活するうちに、心の不調を訴えることがあります。例えば、感情のコントロールがうまくいかなかったり(例:イライラして突然怒ってしまう)、物事に集中できない(例:勉強に集中できない→学業成績の悪化)といった、生活への不適応をきたすことがあるのです。きょうだい自身も、どうして自分がうまく生活できないのか理解できない場合がほとんどです。

きょうだい支援がどうして必要なのか

私自身もさまざまな悩みを抱えながら、子どもの頃を過ごしました。それが普通のことと理解していましたし、人生とはこれほどまでに過酷なものなのか、と思ったこともありました。そういった小学生・中学生の時期を経て、次第に「障がいをもつ子どもたちが生きやすい世の中にしたい」「きょうだいとしての経験をいかしたい」と思うようになり、小児科医になりました。

実際に障がい児医療に身を投じて感じることは、この社会はまだ障がい児への支援が十分ではないということです。ましてやきょうだいへの支援は、さらに後回しにされてしまう現実があります。きょうだいが問題を生じるようになってはじめて、きょうだいへ支援が必要だった・・、と後悔することも多いのです。

しかし、考えてみてください。

きょうだいは、成人へ成長すると、家庭と社会で大きな役割を果たします。まず家庭では、親亡き後も同胞を支えます。自分自身の家庭ももちながら、同胞も必死に支えようとするでしょう。そして社会では、その発展に貢献する貴重な人材として活躍します。少子高齢化/人口減少により人口構造が激変する日本社会を支える人材になるのです。

ですから、きょうだいが健全に育つために支援することは、きょうだいにとってはもちろんのこと、家庭や社会にとっても大きな意味をもつことを理解いただけると思います。

実現するのは、親御さんを中心としたきょうだい支援

私たちの実現したいきょうだい支援のカタチは、「親御さんを中心としたきょうだい支援」です。きょうだい支援は、子育て同様、親御さんからきょうだいへの愛が最も重要と考えているからです。

ただ、親御さんは同胞のケアなどで多忙であることが少なくありません。そんな親御さんの負担を考慮せずにきょうだいへのケアを求めても、有効なきょうだい支援につながりません。親御さんに心の余裕を持っていただけるような配慮をしたうえで、親御さんからきょうだいへ愛を注いでもらいたい。親御さんだけで頑張らなくていい。私たちも協力します。そう思っています。

そういった理解のもと、当法人では、多忙な親御さんであっても気軽に行える「親御さんを中心としたきょうだい支援」のカタチを実現します。また、家庭的背景によらずどんなきょうだいであっても支援を届けられるように、学校や自治体へも協力します。

最後に

子どもの心は、育った環境におけるさまざまな出来事によって複雑に変化します。とくに、悩みを抱えながら生活することにより、知らず知らずのうちに問題行動を生じてしまうものです。それは、きょうだいも同じです。

「親は自分のことを見てくれているんだ。社会は自分のことを考えてくれているんだ。僕/私はひとりじゃないんだ。」きょうだいには、そういった気持ちを抱きながら、純粋に同胞を愛し、将来へ希望を抱きながら、大人になってもらいたい。

これからの日本社会を支えるきょうだいの心を、いっしょに考えていただければ嬉しく思います。

きょうだい支援のための
作品紹介 小児科医・作家 湯浅正太による作品

みんなとおなじくできないよ

障がいのあるおとうととボクのはなし

障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだと思う一方で、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。そんな複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?障がいのある兄弟姉妹をもつ「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちを当事者の視点から絵本にしました。彼らに寄り添い、励ますとともに障がいのある子の心にも光を当てていきます。

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