子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

小児科医が知りたいのは精神年齢

2023/07/26

記事【小児科医が知りたいのは精神年齢】

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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

#精神年齢 #小児科医 #湯浅正太 #しょーた #Yukuriーte

こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。

今日は「小児科医が知りたいのは精神年齢」というテーマで短くお話ししたいと思います。

子どもがどの程度発達しているかを考える時には、その子の二つの年齢を比較します。一つは、今の実際の年齢です。これを生活年齢と表現します。もう一つは、その子の発達状態にあった年齢です。これを精神年齢と言います。子どもの発達の程度を確認する時、生活年齢に比べて精神年齢がどの程度なのかを評価するんですね。

よく勘違いされることがあるんですが、実際の年齢に比べて、精神的に発達していることがいいかというとそういうわけでもありません。つまり、IQが高い方が生活しやすいということもない、ということです。やっぱり年相応に発達している方が、生きやすさは生まれやすいものです。

また、ちょっと違う視点で考えると、生活年齢よりも同じ精神年齢同士の子どもを一緒に生活させてあげた方が上手くいく、ということが少なくありません。例えば知的障害がある子どもがいた場合、精神年齢が5歳くらいの子どもであれば、精神年齢が同じ5歳くらいの子どもと一緒にいた方が落ち着くこともあるものです。

社会での区分けである生活年齢で区切るのか、それともその子本来の発達に合わせた精神年齢で区切るのか、このことは子どもたちの生きやすさを生み出す上で欠かせない視点です。もちろん、社会で人間の活動に区切りを作る際には、偏見や差別が生まれる危険性があります。そう考えると、人間の世界って、本当にややこしいものです。

いずれにせよ、その子の精神年齢を見極めることができると、随分子どもへの関わり方が工夫できて、子どもの生きやすさを生みやすくなることを知っておいてください。それに、その子に接しているあなた自身も関わりやすくなるものです。

あなたの上司の精神年齢を理解できるようになると、あなたはもっと生きやすくなるかもしれません。

今日は「小児科医が知りたいのは精神年齢」というテーマでお話ししました。

だいじょうぶ。

まあ、なんとかなりますよ。

湯浅正太(ゆあさしょうた)

PROFILE
2007年 3月 高知大学医学部 卒業。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。

一般社団法人 Yukuri-te(ゆくりて)

『みんなとおなじくできないよ』

障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだけど、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちが当事者の視点から描かれた絵本。湯浅正太著/1760 円(日本図書センター)

『みんなとおなじくできないよ』

診察する, 治療する, 命と向き合う, …医師として働くとはどういうことか, 患者さんにどう接するか, “正解”はなくとも「考えて答えを出していかねばならない」倫理的なテーマについて医学生/研修医に向けて解説。小児科医であり絵本作家でもある著者が, 医療現場のエピソードに沿った「物語」を提供し, 読者に考えてもらいながら倫理観を育んでいく。「明日からの診療に役立つ一言」も記載し, 躓いたとき, 迷ったときに心の支えとなる書籍。湯浅正太著/2420 円(メジカルビュー社)

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