子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

小児科医が解説するおねしょ

2023/07/05

記事【小児科医が解説するおねしょ】

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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

#夜尿症 #おねしょ #小児科医 #湯浅正太 #しょーた #Yukuriーte

こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。

今日は、「小児科医が解説するおねしょ」というテーマで短くお話ししたいと思います。

あなたは、おねしょをしたことはありますか?幼児期にはおねしょは決して珍しいものではありません。でも、小学生になるにつれて、おねしょが続いていると心配になるご家族が増えるものです。外来に出ていると、そんなおねしょについてご質問をいただくことがあります。例えば、「小学生になってもおねしょがあります。おねしょはいつになったら治るものですか?」というご質問です。

夜間の睡眠中に意識せずにおしっこを漏らしてしまうことを「夜尿」と言います。特に、5歳以上で月に1回以上の夜尿が3か月以上続くものを「夜尿症」と言うんですね。

では、7歳では夜尿症を持つ子ども割合はどのくらいなんでしょうか?それは、だいたい10%程度と言われています。7歳くらいだと10人に1人は夜尿症を持っているということです。その状況が、成長とともに改善していきます。思春期までに年間14%ずつ自然に改善していくことが知られています。

しかもわかっているのは、適切に生活習慣を見直した方が改善しやすいということです。

例えば、寝る前の飲水習慣です。寝る前に水分を飲むと、その時は大丈夫ですが、消化管から水分が吸収されて、血液中の水分が増えて、腎臓で血液中の水分がこしとられて尿になるわけです。水分を摂取してから、その水分が尿に変わるまでには時間がかかるんですね。ですから、寝る前に水分をとると、その後遅れて寝ている間におしっこがみるみる膀胱に溜まって、おねしょをしてしまう。そんなことがあります。ですから、寝る前の水分摂取を控えてみることは大切なポイントです。

あとは、例えば便秘症です。便が腸管の中に溜まっていると、膀胱を圧迫することもあり、夜尿症をきたしやすいことが知られています。ですから、便秘症がある子どもであれば、まずは便秘症を改善させてみる。そうすることで、夜尿症も改善することがあります。

そして、例えば日中のストレスです。夜尿症をきたす子どもの中には、生活におけるストレスの影響を受けていることもあります。そういった子どもは生活のストレス要因を改善させることで、夜間のおねしょが改善することがあるのです。

このように、小児科医が夜尿症のある子どもを診る時、その背景にはどんなものが潜んでいるのかを確認しているものです。夜尿症自体を相手にするというよりも、他の原因を探るということです。この作業は、とても大切なのです。

夜尿症に対する治療法は無いかというと、そういうわけではありません。例えば、夜尿症を治療するためにお薬やアラーム療法など、いろいろな治療法があります。でも、どれも夜尿症を完璧に治すものではありません。もしも、便秘症をそのままにした状態で夜尿症に対する薬を飲んでも、なかなかその治療効果は上がらないでしょう。その場合は、やはりまず便秘症を改善させることが大切なのです。

先ほどもお話ししたように、夜尿症そのものを完治させる治療法はありません。ですから、夜尿症自体をどうこうするというよりも、その周辺にある課題を見つけ改善させる。それが大切です。夜間の水分摂取の問題や便秘症、精神的な状態に問題がないかを確認する。そういった周辺整理がものすごく大切なのです。

今日お話しした内容は、夜間のおねしょのみの場合です。一方で、もしも夜間のおねしょだけでなく、日中も尿を漏らしてしまうとか、便も漏らしてしまうというようであれば、より詳しい検査が必要かもしれません。その場合は医療機関でご相談されてください。

今日は「小児科医が解説するおねしょ」というテーマでお話ししました。

だいじょうぶ。

まあ、なんとかなりますよ。

湯浅正太(ゆあさしょうた)

PROFILE
2007年 3月 高知大学医学部 卒業。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。

一般社団法人 Yukuri-te(ゆくりて)

『みんなとおなじくできないよ』

障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだけど、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちが当事者の視点から描かれた絵本。湯浅正太著/1760 円(日本図書センター)

『みんなとおなじくできないよ』

診察する, 治療する, 命と向き合う, …医師として働くとはどういうことか, 患者さんにどう接するか, “正解”はなくとも「考えて答えを出していかねばならない」倫理的なテーマについて医学生/研修医に向けて解説。小児科医であり絵本作家でもある著者が, 医療現場のエピソードに沿った「物語」を提供し, 読者に考えてもらいながら倫理観を育んでいく。「明日からの診療に役立つ一言」も記載し, 躓いたとき, 迷ったときに心の支えとなる書籍。湯浅正太著/2420 円(メジカルビュー社)

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