子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

小児科医が解説する子どもの問題行動

2023/07/04

記事【小児科医が解説する子どもの問題行動】

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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

#小児科医 #湯浅正太 #しょーた #Yukuriーte

こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。

今日は、「小児科医が解説する子どもの問題行動」というテーマで短くお話ししたいと思います。

「子どもが校舎の窓ガラスを割るんです」「子どもが物を盗みました」、そんな風に子どもがうまく生活できなくなった時、子どもに原因があると考えて外来を受診される方が少なくありません。「子どもに発達障害があるんじゃないか」、そんな風に問題を子どもの中に見つけようとする大人がとても多いものです。

でも、まず確認していただきたいことがあります。

それは、その子に関わる親に何か原因はないかということです。特に親の精神状態、心の状態を確認していただきたいと思います。

子どもの心は、親の心と密につながっています。親に心の余裕がなくなれば、その影響が子どもに及びます。その際の子どもの症状は様々です。イライラする症状で現れる場合もあります。物を壊したり、物を盗むという行動に現れる場合もあります。

では、子どもはどうしてそんなことをするんでしょうか。

子どもは成長する過程で、新しい社会を経験します。新しい体験を経験しながら、一つずつ生きるためのスキルを身につけていくでしょう。でも、その成長の過程ではどうしてもストレスや不安が生まれるのです。

皆さんもそうですよね。仕事で新しいタスクを頼まれた時、少し不安が生じたり、緊張することもあると思います。色々な人生経験を積んだ大人でもそうなんです。ですから、まだまだ人生経験が浅い子どもたちが、新しい出来事に遭遇する社会生活の中で不安を感じないわけがありません。

その不安はどこで解消するのでしょうか。それは、親子での触れ合いの中で解消していくわけです。親と会話をしたり、親と手をつないだり、親に抱きしめてもらったり。そういった親子の関わりを通して、子どもたちは日々の不安を解消していきます。

もしも親御さんの心が健康でなかったら、子どもたちは不安をうまく解消できるでしょうか。親御さんが精神的に不安定であれば、笑顔で会話ができないかもしれません。子どもが「ねえねえ、聞いて」と相談をしようと思っても、「今はダメ」なんて反応をして、子どもの気持ちに寄り添えないかもしれません。

親の心が不調な時、子どもたちは抱えた不安を解消できません。不安を解消できないからこそ、子どもたちの心も不安によって不健康になっていきます。その結果、問題行動を起こしてSOSを発信するわけです。つまり、子どもたちの問題行動は、子どもたちのSOSかもしれないということです。その視点を社会に持ってもらいたいと思います。

大人の社会が子どもの問題行動の原因を子どもにばかり求めていては、その答えは見つからないことも少なくありません。子どもたちがSOSを発信してくれていても、それをSOSと捉えるのではなく、問題行動とだけ捉えてしまっては、せっかくのSOSも拾うことができないということです。

上手に声を上げられない子どもたちの声を、大人たちがどう汲み取るか。ぜひ考えてみてください。

今日は「小児科医が解説する子どもの問題行動」というテーマでお話ししました。

だいじょうぶ。

まあ、なんとかなりますよ。

湯浅正太(ゆあさしょうた)

PROFILE
2007年 3月 高知大学医学部 卒業。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。

一般社団法人 Yukuri-te(ゆくりて)

『みんなとおなじくできないよ』

障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだけど、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちが当事者の視点から描かれた絵本。湯浅正太著/1760 円(日本図書センター)

『みんなとおなじくできないよ』

診察する, 治療する, 命と向き合う, …医師として働くとはどういうことか, 患者さんにどう接するか, “正解”はなくとも「考えて答えを出していかねばならない」倫理的なテーマについて医学生/研修医に向けて解説。小児科医であり絵本作家でもある著者が, 医療現場のエピソードに沿った「物語」を提供し, 読者に考えてもらいながら倫理観を育んでいく。「明日からの診療に役立つ一言」も記載し, 躓いたとき, 迷ったときに心の支えとなる書籍。湯浅正太著/2420 円(メジカルビュー社)

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