記事【小児科医が思う捨てていいと思う考え方】
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。
今日は、「小児科医が思う捨てていいと思う考え方」というテーマでお話ししたいと思います。
あなたには、捨てて良かったなというものはありますか?例えば、昔来ていた服とか、読まずに置いてある本とか、色々あると思います。あるいは、昔はこう習っていたけれど、大人になって「子どもの頃に習っていたことは間違いだったな」なんてこともあるんじゃないでしょうか。昔の考え方は捨てていいなあ、なんてこともあると思います。
僕は子どもたちに向き合う中で、これは一体誰のためのものなんだろう?と疑問に思う習慣がいくつもあります。その習慣に対する考え方は改めてもいいと思うし、従来の考え方は捨てていいと思う、そんなことをお話ししたいと思います。
例えば、女の子の服装です。女の子だからスカートを履かないといけない。女の子だから体操着の下はブルマを履かないといけない。僕が子どもの頃から、学校ではそれはそういうものでした。
僕が小学生の頃、僕のクラスには少し理解がゆっくりな女の子がいました。体育の授業の時に、その女の子が紺色の下着をブルマと間違えて履いていたんですね。それで周りの女の子が、「それはブルマじゃなくて、パンツじゃないの?」なんて指摘をしていたんです。それを見た先生がその子を教室に連れて行って、パンツをブルマに着替えさせる。そんなことがありました。
男の子の僕からすると、「それ、パンツじゃないの?」なんて指摘をしている女の子が履いているブルマも、パンツと何が違うのかさっぱりわかりませんでした。どうやって紺色のパンツとブルマを見分けられたのか、まったくわからなかったんですね。今でも正直、よくわかりません。
そんな下着かどうかわかりにくいブルマを、なんで社会は女の子にはかせるのか。あの頃からずーっと不思議に感じていたんですね。別に女の子も男の子も、みんな夏は半ズボン、冬は長ズボンでもいいんじゃないか。昔からそう思い、今もそう思います。
スカートもそうです。女の子だからスカートを履かないといけない。なんで?って思います。ズボンを履きたい人はズボンを履けばいい。スカートを履きたい人はスカートを履けばいい。そこに性別は関係ない、なんて思います。
もちろん、着る服を通して、女性らしさ、男性らしさを理解してもらいたい。そんな考え方があるんだと思います。でもそれはおそらく、一部の大人のエゴじゃないのか。そんな風にも思います。そこには、その人の内面よりも体裁を気にしていた社会が浮き彫りになっているように思います。偏った大人の意識に子どもたちを合わせるのか。それとも、子どもたちのその子らしさを尊重するのか。
そろそろ本気で大人の社会が意識を変えないと、子どもたちの生きづらさは増して不登校は増えるばかりですよ。そんな風に思います。
今日は「小児科医が思う捨てていいと思う考え方」というテーマでお話ししました。
だいじょうぶ。
まあ、なんとかなりますよ。
湯浅正太(ゆあさしょうた)
PROFILE
2007年 3月 高知大学医学部 卒業。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。
『みんなとおなじくできないよ』
障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだけど、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちが当事者の視点から描かれた絵本。湯浅正太著/1760 円(日本図書センター)
『みんなとおなじくできないよ』
診察する, 治療する, 命と向き合う, …医師として働くとはどういうことか, 患者さんにどう接するか, “正解”はなくとも「考えて答えを出していかねばならない」倫理的なテーマについて医学生/研修医に向けて解説。小児科医であり絵本作家でもある著者が, 医療現場のエピソードに沿った「物語」を提供し, 読者に考えてもらいながら倫理観を育んでいく。「明日からの診療に役立つ一言」も記載し, 躓いたとき, 迷ったときに心の支えとなる書籍。湯浅正太著/2420 円(メジカルビュー社)
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