記事【小児科医が憂鬱な気分を晴らす方法】
このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。
【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
#憂鬱な気分を晴らす #小児科医 #湯浅正太 #しょーた #Yukuriーte
こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。
今日は、「小児科医が憂鬱な気分を晴らす方法」というテーマでお話ししたいと思います。
昨日は三大欲求のお話をしました。世間で言われる三大欲求とは、「食欲」「性欲」「睡眠欲」ですね。でも小児科医としての経験をもとに考える三大欲求は、「食欲」「睡眠欲」、そして「つながる欲求」ということでした。「性欲」は「つながる欲求」に含まれます。昨日は、そんなお話をしました。
そして、不健康な時には欲求が減ることにも触れました。逆に健康になれば、欲求も出てくるようになるとお話ししたと思います。そのカラクリを意図的に使いながら、あなたの心をコントロールしてもらいたい。そんなお話を今日はしたいと思います。
あなたは、憂鬱な気分になったことはありますか?まあ、ない人はいないでしょうね。誰もが時には憂鬱な気分になるものです。人ってそういう生き物なので仕方ありません。
でも、そんな憂鬱な気分は調整できるんです。どんな風に調整するか。それは、欲求を利用しながら調整をします。
例えば、嫌なことがあって憂鬱な気分の時、あなたは「お菓子でも食べて気分転換しようかな」、そんな風に考えたことはありませんか?あるいは、昨日は嫌なことがあったけれど、一晩寝てスッキリした。そんな経験はありませんか?必ずあると思います。
すでにあなたは経験済みだと思います。人は欲求を満たすことによって、日々の不安や憂鬱な気分を解消しているんです。それは、人という生き物が獲得した、生き延びる術です。
ずっと憂鬱な気分に浸っていると、人の心は不健康になってしまいます。そのことを人の体は知っているからこそ、欲求を満たして憂鬱な気分を払拭しようとするのです。
僕にも嫌なことなんて、日々山のようにあります。でもその憂鬱な気分をそのままにしておくと、僕の心が崩れてしまいます。すると、僕が接する患者さんの心も不健康になるわけです。だって、心ってうつりますから。ですから、小児科医である僕自身は、憂鬱な気持ちが生じた時には、それを解消しようとします。意図的に。
その方法が、欲求で解消するというものです。人の三大欲求は、「食欲」「睡眠欲」、そして「つながる欲求」ですから、それらの欲求を満たすべく行動します。
食欲を満たすべく、美味しい紅茶とそれに合うケーキを探します。でも、高いケーキを買うと奥さんに怒られるから、安いケーキかお菓子を見つけてくるわけです。
睡眠欲を満たすべく、夜携帯の光を浴びないようにすうっとベッドに入ります。鼻が詰まっていれば、鼻テープを使ったりもして、熟睡できるように努めます。
つながる欲求を満たすべく、妻や子どもと言葉を交わしたり、voicyを通して、自分の言いたいことを気ままに発信します。友人と話をしたりして、愚痴を聞いてもらう。そんなことをしてもいいでしょう。
そんな風に、憂鬱な気分の時には、あえて戦略的に欲求を満たすように行動します。
人の体って、本当によくできています。体に水分が足りなくなれば、喉が渇いて水を飲みたくなります。それと同じように、心が不健康な時には、ある程度欲求を求めるようになるはずです。もしも心は不健康だけれど、その欲求さえ求めなくなっていれば、それは重症です。
子どもの心の様子を確認しながら、ぜひ欲求を満たしてあげてください。それと、子どもの欲求の状態を気にかけることで、子どもの心の重症度も判断できるようになるかもしれません。ちょっとしたスキルですが、かなり使えます。
今日は「小児科医が憂鬱な気分を晴らす方法」というテーマでお話ししました。
だいじょうぶ。
まあ、なんとかなりますよ。
湯浅正太(ゆあさしょうた)
PROFILE
2007年 3月 高知大学医学部 卒業。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。
『みんなとおなじくできないよ』
障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだけど、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちが当事者の視点から描かれた絵本。湯浅正太著/1760 円(日本図書センター)
『みんなとおなじくできないよ』
診察する, 治療する, 命と向き合う, …医師として働くとはどういうことか, 患者さんにどう接するか, “正解”はなくとも「考えて答えを出していかねばならない」倫理的なテーマについて医学生/研修医に向けて解説。小児科医であり絵本作家でもある著者が, 医療現場のエピソードに沿った「物語」を提供し, 読者に考えてもらいながら倫理観を育んでいく。「明日からの診療に役立つ一言」も記載し, 躓いたとき, 迷ったときに心の支えとなる書籍。湯浅正太著/2420 円(メジカルビュー社)
これからの時代を生きる子どもたちの心を育てたい。当法人の活動に賛同くださり、ご支援いただける場合は、右の「寄付ボタン」からお願いいたします。ページが表示されるまで、少々時間がかかる場合がございます。