子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

おトイレが苦手な子どもを見たら

2023/06/25

記事【おトイレが苦手な子どもを見たら】

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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

#これが苦手です #小児科医 #湯浅正太 #しょーた #Yukuriーte

こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。

今日は、「おトイレが苦手な子どもを見たら」というテーマでお話ししたいと思います。

あなたは、新しい物事にチャレンジする時、あるいは新しい物事をチャレンジし終わった後、自分にご褒美を与えることはありますか?例えば、テストが終わったから映画を観に行くとか、プレゼンを終えたから友人たちと食事にいくとか、そんな自分の楽しみを用意したことがある人は少なくないと思います。

ある程度成長すると、そうやって自分が何かに挑戦する際にかかるストレスに対して対処することができるようになるものです。テストという課題に対して、映画を観に行くという報酬を自分に与えるわけですね。

では、子どものことを考えてみましょう。子どもが新しい場面や出来事に遭遇する時には、多少なりとも不安やストレスが生まれるものです。新しい学校に行くとか、与えられた課題を済ませるとか。子どもによって感じるストレスの程度は様々ですが、何かしらの心の反応があるでしょう。

例えば、トイレット・トレーニングもそんな課題の一つかもしれません。

ちなみに、子どもがトイレット・トレーニングを始める年齢って、何歳くらいだと思いますか?女の子は男の子よりちょっと早いと言われていますが、女の子で29ヶ月、男の子で31ヶ月というのが、トイレット・トレーニングを始める平均的な年齢と言われています。そして、だいたい36ヶ月つまり3歳までに98%の子どもがトイレット・トレーニングを完了すると言われています。

でも、決して焦らないでください。トイレット・トレーニングの上で最も大切なことは、親が焦らないことです。このトイレット・トレーニングをみんなが決まった時期に始められるわけではありません。それに、トイレット・トレーニングは完了していたはずなのに、何かの出来事をきっかけに用を足すことができなくなってしまうこともあります。つまり、その子にとってトイレで用を足すことが苦手になってしまう、ということです。

こんな時には子どもはストレスフルになっているものです。何かのストレスを抱えていて、できていたことができなくなってしまう。そういうものです。

ここで親が焦ってしまって、子どもがうまくトイレで用を足せるように叱っても、必ずしもうまくいくとは限りません。叱って直そうとすると、大抵ドツボにハマるものです。

子どもは何かのストレスをきっかけに、それまでできていたことができなくなることはあるんです。その際に大切なことは、そっと支えてあげることです。普段よりもちょっと視線を多く合わせてあげたり、手や身体をぎゅっと握ってあげます。そうやって、子ども自身が言葉で表現できないモヤモヤしたストレスを解消してあげるように関わるわけです。

そんな親子の関わりを通して子どもの心が落ち着いてくると、再び以前できたことができるようになります。親が子どもの困難を見て感情的にならずに、そっと子どもに寄り添えるということ。それは、子どものどの発達ステージであっても、親の姿勢として欠かせないことです。

今日は「おトイレが苦手な子どもを見たら」というテーマでお話ししました。

だいじょうぶ。

まあ、なんとかなりますよ。

湯浅正太(ゆあさしょうた)

PROFILE
2007年 3月 高知大学医学部 卒業。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。

一般社団法人 Yukuri-te(ゆくりて)

『みんなとおなじくできないよ』

障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだけど、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちが当事者の視点から描かれた絵本。湯浅正太著/1760 円(日本図書センター)

『みんなとおなじくできないよ』

診察する, 治療する, 命と向き合う, …医師として働くとはどういうことか, 患者さんにどう接するか, “正解”はなくとも「考えて答えを出していかねばならない」倫理的なテーマについて医学生/研修医に向けて解説。小児科医であり絵本作家でもある著者が, 医療現場のエピソードに沿った「物語」を提供し, 読者に考えてもらいながら倫理観を育んでいく。「明日からの診療に役立つ一言」も記載し, 躓いたとき, 迷ったときに心の支えとなる書籍。湯浅正太著/2420 円(メジカルビュー社)

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