子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

小児科医が苦手で嫌うもの

2023/06/17

記事【小児科医が苦手で嫌うもの】

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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

#これが苦手です #小児科医 #湯浅正太 #しょーた #Yukuriーte

こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。

今日は、「小児科医が苦手で嫌うもの」というテーマでお話ししたいと思います。

あなたには、何か苦手なものはありますか?外来に来てくれた子どもたちに聞くと、色々なことを教えてくれます。「ピーマンが嫌い」とか、「算数が苦手」とか、まあ色々ありますよね。

僕にも苦手で嫌いなものはあります。例えば、イナゴやコオロギなどの昆虫の佃煮などです。地域によってはそういったものを食べる地域もあると思います。でも、僕はそれらをなかなか食べられないですよね。幼い頃から昆虫は大好きで、うちでもよく昆虫を飼っていました。そんな僕にとって、昆虫は飼う対象であって、食べる対象ではなかったんです。大人になった今でも、野原にいるイナゴやコオロギの姿は想像できても、それらが食卓に並ぶ姿は想像できません。

あとは、小児科医特有かもしれませんが、「感情的に心を操作されること」に強い抵抗を感じます。それは、小児科医として受け入れがたく苦手で嫌うものです。今日の本題はこの「心の操作」です。あなたと一緒にそのことを考えてみたいと思います。

「心を操作される、ってどういうこと?」、と疑問に思う方もいるかも知れません。なので、説明しますね。

例えば、「あの人は〜です」、そんな風に他人に対する批評を伺う時です。そこには発言者の感情が込められている場合が少なくありません。特に話し相手の陰性感情とともに発せられる他人への批判を伺った時には、瞬間的に心がキリッと切り替わります。

どうして心がキリッと切り替わると思いますか?それは、自分の心が相手に操作され始めないように最大限注意するモードに入るからです。相手が意図していようといまいと、相手の感情が僕にうつって、僕もその批判されている人に陰性感情を抱いてしまうかもしれません。僕に相手の陰性感情がうつって、僕はその批判を鵜呑みにしてしまう可能性があるんです。

「それの何が悪いの?」って思いますか?

実は、情報操作されたその世界って、僕が感じている僕の世界ではなくて、他人に作られた世界なんです。わかりますか?他人に操作されるって、そういうことです。自分の世界を生きるのではなくて、他人の世界を生きるってことです。つまり、自分らしく生きられなくなるんです。

僕は僕らしい世界を生きたいんです。僕自身が「正しい」「悪い」を判断して、自分の世界を生きたいんです。ある程度自分の基準に照らし合わせて、今向き合う子どもたちを救いたいんです。そうやって自分の物差しを使い生きるからこそ、間違ったら軌道修正できます。そうやって子どもたちへの支援の質が向上していくものです。

それに、そんな子どもたちを支援する時に大切なものは、子どもに対する関わりの真実です。目の前の子どもにどんな関わりが存在するのか。そのことを探りながら、子どもの心を立て直していきます。つまり、真実の情報が必要ということです。他人によって作られた情報ではなくて、そこに存在する本来の形そのままの情報が大切なんです。

支援現場にはどうしても感情が錯綜します。親御さんの感情とか、指導者の感情とか、そういった感情が入り乱れる世界です。特に陰性感情の中で交わされる情報交換には、どうしても偏った情報もあるものです。偏った、真実ではない情報を元にしても、子どもたちの支援調整はうまくいきません。だって、そもそも情報が誤っていて、軌道修正も何もできなくなってしまうからです。

逆に、例えば僕自身が情報操作を行うことに対して、僕はどんな風に感じると思いますか?それは、昨日の放送でもお伝えした通りです。昨日の放送では、「自分の正義には注意する」「自分の正義を疑う」、そんなことをお話ししました。自分の物差しを基準に支援調整するけれど、そこにも細心の注意を払います。特に僕自身が情報操作を行うとしたら、それは自分自身にとってもとても危ないことなので、積極的には行わないように注意しています。情報を操作せずに、真実を真実のままに。そのことがとても大切です。

情報操作自体は色々な社会で行われています。マスメディアの情報操作、その威力が凄まじいからこそ、国はマスメディアに介入しながら国民に流れる情報を調整しようとします。様々なマーケットでもそうですね。誤った情報も、あたかも正しいかのように発信されてしまいます。健康に関する情報を見ていても、「よくこんな誤った情報を流せるものだなあ」なんて思うこともあるくらいです。

情報操作があるところには真実がない。だからこそ、どこかでボロも出るものです。結局物事がどこかで行き詰まります。ですから、情報操作を受けることも、自分から情報操作をすることも、細心の注意を払うわけです。真実ではないその情報に乗っかっても、最終的にあまりいいことはないからです。

今日は「小児科医が苦手で嫌うもの」というテーマでお話ししました。

だいじょうぶ。

まあ、なんとかなりますよ。

湯浅正太(ゆあさしょうた)

PROFILE
2007年 3月 高知大学医学部 卒業。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。

一般社団法人 Yukuri-te(ゆくりて)

『みんなとおなじくできないよ』

障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだけど、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちが当事者の視点から描かれた絵本。湯浅正太著/1760 円(日本図書センター)

『みんなとおなじくできないよ』

診察する, 治療する, 命と向き合う, …医師として働くとはどういうことか, 患者さんにどう接するか, “正解”はなくとも「考えて答えを出していかねばならない」倫理的なテーマについて医学生/研修医に向けて解説。小児科医であり絵本作家でもある著者が, 医療現場のエピソードに沿った「物語」を提供し, 読者に考えてもらいながら倫理観を育んでいく。「明日からの診療に役立つ一言」も記載し, 躓いたとき, 迷ったときに心の支えとなる書籍。湯浅正太著/2420 円(メジカルビュー社)

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