記事【小児科医が買ってよかったもの】
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。
今日は、「小児科医が買ってよかったもの」というテーマでお話ししたいと思います。
あなたには、「これ、買ってよかったなあ」なんてものはありますか?僕は、最近だと、メガネですかね。以前使っていたものに比べて、とっても軽くて使いやすいメガネです。そんなに高いメガネじゃありませんでしたけど、お店の方も「値段は高くなくても使いやすいメガネはあるからね」なんて教えてくれて、結局軽くて使いやすいメガネを購入しました。
僕が「このメガネ、買ってよかったなあ」と思っているのは、そのメガネ自体だけに価値を感じているわけじゃないんですね。そのメガネを買った時のお店の方が熱心だったので、そういう雰囲気も含めて総合的に「買ってよかった」という感じです。
そのメガネを買ったのは、ずいぶん昔からありそうな古い眼鏡屋さんだったんですね。僕が「どんなメガネにしようかなあ」なんて見ていたら、その店の方が親切に色々と教えてくれました。
「このメガネはこんなところがいいよ」とか、「昔のメガネに比べて、今はこんな技術が発達しているんだよ」とか、色々な情報を提供してくれたんですね。もちろん、メガネを売るためにお店をやっていらっしゃるので、色々なメガネの宣伝をしてくれるのは当たり前かもしれません。
でも僕が「面白いな」と思ったのは、その店の方がメガネにかける情熱です。
メガネの歴史、流行り、そんなことを教えてくれたり、メガネの業界の事情、そういったことも教えてくれました。メガネについて色々な情報を持っている方で、その含蓄を聞けてとても面白かったし、勉強になったんです。
今使っているメガネには、そんな思い出があります。ただ単にモノというのではなくて、そこに思い出があるということです。
おそらく、ものの価値ってそういうものなんだろうなと思うんですね。もちろん、出来上がった物体としての価値はあると思います。でも、それ自体は大量生産も可能だし、似たようなものならなんでも作れる時代です。
でも、思い出は違います。思い出は一つですよね。
例えば、あなたの車です。その車種は世の中に何台もあると思います。でも、その車には思い出が詰まっているはずです。大切な人と一緒にドライブに出かけた思い出。友達と一緒にワイワイ賑やかに旅行に行った思い出。そういった思い出があるからこそ、その車を廃車あるいは譲る時には寂しさが残るものです。
僕も大学生の頃に乗っていた中古車がありました。ある時は友達と一緒にその車に乗ってクラブ活動に参加したり、ある時は彼女を乗せて旅行にも行きました。そんな思い出が詰まっているから、その車に感謝するようになるわけです。その車を手放した時にはやっぱり寂しいなという思ったものです。
ものに対して、色々な思い出が加わる。それは、自分だけが知る価値かもしれないですね。子どもたちが描いた絵、子どもたちが着た服、子どもたちが背負ったランドセル。どれもこれも、親にとっては思い出深い宝物です。
ランドセルを見れば、子どもの登校する姿を想像できる。擦れたランドセルの生地を見ながら、小さな命が「一生懸命頑張ったんだなあ」なんて思うものです。
どうでしょうか。あなたは、思い出がつまった、買ってよかったもの、何か持っていますか?
今日は「小児科医が買ってよかったもの」というテーマでお話ししました。
だいじょうぶ、
まあ、なんとかなりますよ。
湯浅正太(ゆあさしょうた)
PROFILE
2007年 3月 高知大学医学部 卒業。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。
『みんなとおなじくできないよ』
障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだけど、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちが当事者の視点から描かれた絵本。湯浅正太著/1760 円(日本図書センター)
『みんなとおなじくできないよ』
診察する, 治療する, 命と向き合う, …医師として働くとはどういうことか, 患者さんにどう接するか, “正解”はなくとも「考えて答えを出していかねばならない」倫理的なテーマについて医学生/研修医に向けて解説。小児科医であり絵本作家でもある著者が, 医療現場のエピソードに沿った「物語」を提供し, 読者に考えてもらいながら倫理観を育んでいく。「明日からの診療に役立つ一言」も記載し, 躓いたとき, 迷ったときに心の支えとなる書籍。湯浅正太著/2420 円(メジカルビュー社)
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