子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

小児科医が思う良いプレゼン

2023/06/11

記事【小児科医が思う良いプレゼン】

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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。

今日は、「小児科医が思う良いプレゼン」というテーマでお話ししたいと思います。

あなたは、プレゼンは得意ですか?それとも苦手ですか?

小児科医の仕事をしていると、毎日の患者さんとのコミュニケーションがプレゼンのようなものです。「今の状態に対して、どんな治療の選択肢があるのか」「治療のリスクとベネフィットは何なのか」、そんなことを毎日患者さんに伝えるわけです。

そうやって情報を共有して、患者さんに治療を選択してもらいます。患者さんが自分の人生をどんな風に生きたいのか、そんなことを考えてもらいながら、自分の価値観にそって治療を選んでもらうんです。例えば、患者さんが子どもの場合には、親御さんがその子をどんな子どもに育てたいか、そんな価値観にそって治療を選んでもらうこともあります。

患者さんが自分たちの人生を組み立てられるように、病気や障害についての情報を整理してお話しします。それはまさに、医師から患者さんへのプレゼンです。

あるいは逆に、患者さんのプレゼンもあります。医師が患者さんに問診をする際に、これまでの病気の経過をうかがいます。受診までの経緯を説明してもらう様子は、まさに患者さんから医師へのプレゼンです。

ちなみにちょっと脱線しますが、病気の経緯を医師に説明してもらう際には、受診までの経過がざっとわかればいいと思ってください。例えば、発熱、鼻水、咳という症状があれば、いつから発熱があって、いつから鼻汁が出て、いつから咳が始まったのか、そういう経過がざっとわかればいいんです。詳しい情報よりも、おおまかに流れがわかればいいんです。

時々、それまでの経過をとても詳しく教えてくれる患者さんがいます。例えば、「体温が38.3度あって、その後に測ったら39度になっていて、次には体温が・・・」なんて詳しく教えてくれる方がいます。でも、そこまで詳細な体温変化の情報は求めていないんです。

おおまかな体温の経過さえ分かれば、どんな状態なのかを推測できます。いつから38度以上の発熱を認めるようになったのか。体温の経過は、解熱と発熱を繰り返しているのか、あるいはずっと38度以上の発熱が続いているのか。そんな経過がわかれば十分です。

ちょっと脱線しましたが、そんな風に、僕が思うプレゼンの大切なポイントは、最も伝えたいことをシンプルに伝えられるかどうか、と思っています。シンプルなプレゼンが上手なプレゼント思っているんですね。難しい言葉はいらない。簡単な言葉でいいから、ズバッと簡単に伝えたいことを伝えられる。それが、とても大切と思っています。

そういったプレゼンの要点は、子どもにも言えることです。子どもが、自分の言いたいことや困っていることを大人に端的に伝えられるか。それは、相手に自分のことをわかってもらう上で、とても大切なことなんです。

「要するに、何が言いたいの?」と思われては、気持ちをわかってもらえないですよね。意見を伝える相手にすぐに「そうなのね、わかったよ」と思ってもらいたい。そのスキルを子どもにも身につけてもらう必要があります。

特に、困っている時に「自分は困っています」と表現できるかどうか。それは、子どもにとってとても大切なことなんです。つまり、子どもが大人にしっかりSOSを伝えられるかどうかは、子どもが日常生活をうまく渡っていけるかどうかに関わる大きなテーマなんです。

日常生活をうまくやりくりできる子どもは、よく見るとSOSを出すのが上手なんです。逆に生活に適応できなくなる子どもは、SOSを出すのが苦手な場合が少なくありません。

だから、もしも何かに困ったことがあったら、近くの大人に「困りました!」、それだけでいいから言ってほしい。そのスキルを子どもたちに身につけさせてもらいたい、そんな風に思います。

良いプレゼンテーションは、情報を効果的に伝える手段として大切ですよね。仕事でも、私生活でも大事です。そして、子どもが気持ちよく発達していく上でも、とても大切なスキルなんです。

シンプルに伝えることは、とても大切。そのことがわかってくると、さらにわかってくるのは、シンプルに引き出すことも大切ということです。でも、そのお話はまた別の機会にでもお話しします。

今日は「小児科医が思う良いプレゼン」というテーマでお話ししました。

だいじょうぶ、

まあ、なんとかなりますよ。

湯浅正太(ゆあさしょうた)

PROFILE
2007年 3月 高知大学医学部 卒業。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。

一般社団法人 Yukuri-te(ゆくりて)

『みんなとおなじくできないよ』

障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだけど、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちが当事者の視点から描かれた絵本。湯浅正太著/1760 円(日本図書センター)

『みんなとおなじくできないよ』

診察する, 治療する, 命と向き合う, …医師として働くとはどういうことか, 患者さんにどう接するか, “正解”はなくとも「考えて答えを出していかねばならない」倫理的なテーマについて医学生/研修医に向けて解説。小児科医であり絵本作家でもある著者が, 医療現場のエピソードに沿った「物語」を提供し, 読者に考えてもらいながら倫理観を育んでいく。「明日からの診療に役立つ一言」も記載し, 躓いたとき, 迷ったときに心の支えとなる書籍。湯浅正太著/2420 円(メジカルビュー社)

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