記事【小児科医が行なっているストレス軽減のためのライフハック】
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。
今日顔見知りのリスナーの方から、「毎日放送するようになったんですか?」と直接質問をいただきました。はい、なるべく毎日放送してみようと思い、今日もこんな風にお話をさせていただいています。
そんな今は、何をしていたかというと、クリニックの診療が終わった後でした。ちょうどクリニックを出たところで、学校の保健室の先生に声をかけていただいて、お話をしていました。笑顔で話しかけてもらえると、こちらもちょっとホッとしますよね。仕事のストレスも軽減します。
そんな今日は、「小児科医が行なっているストレス軽減のためのライフハック」というテーマでお話ししたいと思います。
ライフハック(lifehack)という言葉、あなたは聞いたことはありますか?ライフハックというのは、仕事や日常生活で役立つ、ちょっとしたアイデアやテクニックのことを表す言葉です。
ライフハック(lifehack)という言葉は、「命」や「生活」を意味する「life」と、「改造する」「侵入する」という意味の「hack」とを組み合わせた造語です。
そんなライフハックについて、ストレス軽減と合わせて考えてみたいと思います。
あなたは、ストレスを感じることはありますか?何かの提出期限が迫っている時とか、上司との面談がある時とか、何かとストレスってありますよね。
人って、ストレスを感じている時には、ミスも目立つものです。逆にいつものルーチンワークの中では、ミスが少ないものです。それは、ストレスが少なくなるから、とも言えるんですね。
僕は、日頃のストレスを軽減するために、自分なりにちょっとした工夫をいくつもしています。例えば、その工夫の一つが、「何にストレスを感じているかを、あえて自分に意識させる」ということです。漠然とモヤモヤした状態のままにしておくのではなくて、そのモヤモヤした状態を起こしている原因を特定する、ということです。
特に、なるべく目で見える形にして残すようにしています。例えば、原稿の提出期限とか、何かの締め切りとか、そういったものを目で見える形で残すようにしています。どこかに書いて、目で見てわかる形にしておくとか、そういうことです。
それは、僕自身の特徴として、耳で聴くよりも、目で見たほうが物事をインプットしやすい性質があるからです。別に秀でた能力があるわけではなくて、あくまで聴くよりも見た方が意識しやすいという傾向があるだけです。
例えば、あなたが遊園地に行ったとします。遊園地の入場口を入って、まず最初にあなたはどんなことを感じるでしょう。人によっては、「あ〜綺麗な音が聞こえる」と感じる人もいるでしょう。あるいは人によっては、「あ〜大きな観覧車がある」なんて意識する方がいるかもしれません。
情報を、耳で聴く聴覚で捉えられやすいのか、それとも目で見る視覚で捉えられやすいのか、ということです。それは、人によって様々なんですね。
そうやって自分自身の特徴を見極めて、その特徴に合わせて物事を意識していくと、生活が整理されやすくなるんですね。日常生活の中で、漠然といくつもの課題が乱立している状況というのではなくて、棚に整理されるように日常が整理されていくという感覚です。
物事が整理されていくので、心理的なストレスが軽減されます。これは、例えば、発達障害の子どもたちに対しても効果的な工夫です。
注意欠如多動性障害いわゆるADHDと言われる子どもたちは、物事が整理された空間にいた方が、心理的に落ち着いて行動できることがわかっています。ごちゃごちゃした部屋にいるよりも、何も置かれていない空間にいた方が、注意が逸れることなく、気持ちが落ち着くことがわかっているんです。気持ちが落ち着くので、課題を遂行しやすくなります。
例えば、心理検査でもそうですね。心理検査というのは、知能や性格などを確認する検査のことです。子どもたちに対して心理検査を行う時、何に注意するかというと、その子のいる空間をなるべく気が散らない空間にするということです。それは、目の前の検査に集中してもらいたいためです。
そんな風に、自分の特徴を把握した上で、その特徴に合わせて課題を整理してしまう。そういう工夫をすることで、日常のストレスが軽減できます。ストレスを意識する習慣がついている人であれば、課題を整理できることが、どれほどストレスを軽減できるかを知っています。
そうやってストレスを意識的に軽減することに、どんなメリットがあるんでしょうか?それは、例えば仕事の効率が上がったり、日常生活のミスが減るという結果につながります。
忘れ物が多かったり、イライラしやすい子どもの場合、部屋を整理してみてください。その行動が少し改善することに気がつくはずです。そういうものです。
自分の心って、自分で操ってしまうんです。生活の中で起こる物事に自分の心を操られないようにしてしまう。そんなことを意識しながら、小児科医として働いています。
ぜひ、子どもの心も操ってあげてください。悪い意味ではなく、いい意味で、大人が子どもの心を整えてあげるんです。
今日は「小児科医が行なっているストレス軽減のためのライフハック」というテーマでお話ししました。
だいじょうぶ、
まあ、なんとかなりますよ。
湯浅正太(ゆあさしょうた)
PROFILE
2007年 3月 高知大学医学部 卒業。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。
『みんなとおなじくできないよ』
障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだけど、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちが当事者の視点から描かれた絵本。湯浅正太著/1760 円(日本図書センター)
『みんなとおなじくできないよ』
診察する, 治療する, 命と向き合う, …医師として働くとはどういうことか, 患者さんにどう接するか, “正解”はなくとも「考えて答えを出していかねばならない」倫理的なテーマについて医学生/研修医に向けて解説。小児科医であり絵本作家でもある著者が, 医療現場のエピソードに沿った「物語」を提供し, 読者に考えてもらいながら倫理観を育んでいく。「明日からの診療に役立つ一言」も記載し, 躓いたとき, 迷ったときに心の支えとなる書籍。湯浅正太著/2420 円(メジカルビュー社)
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