記事【小児科医が占い師について思うこと】
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。
原稿に追われる毎日です。今日も、締切間近の原稿をようやく書き終えたところです。でも、また明日の朝、今書き終えたこの原稿を確認することになります。なんでだと思いますか?それは、文章も絵もそうなんですが、時間をあけてもう一度スッキリした頭で確認すると、文章の印象が今とは異なることがあるからです。どちらかというと、朝スッキリしている時に感じた感覚を信用しているんですよね。
それはさておき、今日は「小児科医が占い師について思うこと」というテーマでお話ししたいと思います。
あなたは占いを信じますか?それとも、信じないですか?僕はというと、「何か物を使ってその人の将来を予言することができる」ということは信じません。でも、「その人の会話の様子を見て、その人の将来を予言できる」というのは、そうだろうと思っています。
つまり、その人が持つ性格や、人と接する時の反応の仕方、そういったものの結果が、その人の人生に現れるということです。それはパターン認識のようなものです。これは、人と接することを生業にしている方の多くが感じていることと思います。
小児科医として子どもの発達に関する診療をしていると、その知識は子どもばかりでなく、大人にも通用することがわかります。というより、人生全体に通じるものなんだとわかってきます。
外来では子どもや親御さんと話をします。そのほかにも、多くの医師に出会ったり、そのほかの社会人とも会話をします。あるいは、心理や発達の知識を持ちながら、歴史に現れる人物の人生を振り返ります。そうやって、色々な人と出会って、様々な人生を知る中で、わかることがあります。
それは、「こういうタイプの人は、こういう人生を歩むんだ」ということです。その人らしさと、その人生は、ある程度パターン化される、ということです。
骨格についても、同様です。こんな骨格の人は、こんな人生を歩む。そんなパターン化ができてきます。でも、その理解の先には、栄養のことがあります。結局子どもの頃にしっかり栄養をとっていたかどうか、どんな食生活だったかということが、その人の人生に関係しているんだ、という理解に結びつきます。
「子どもにとって食事は大事」、それは嘘ではなく本当なんです。
食事の効果は、目で見てすぐにわかるものではないかもしれません。食事と学習効率が結びつくことを、日常生活から実感することは難しいかもしれません。でも、子どもの頃からしっかり食事を与えられている人、もっというと炭水化物ばかりではなく、栄養バランスの良い食事を取れていた子どもは、その影響が骨格にも現れ、良い学習効率の結果につながります。
そんな風に、色々な要素がその人の人生に影響する。そういった知識を持つようになると、外来に子どもが入って椅子に座って挨拶する様子を見て、「そういうタイプの子なんだね」とわかるわけです。その数分で日常生活の様子が目に浮かび、抱えている課題が列挙できます。
「そんなことないでしょ」と思うかもしれませんが、そういうものです。
ある時、風邪で受診されたお子さんがいました。受診したその時はその風邪のことに困っていても、その子の会話や仕草の様子から、その子の抱えている日常生活の課題が理解できました。つい「日常生活でこんなことに困っていますよね」なんて、その子のお母さんに伺うと、「え、なんでわかるんですか!?」なんて驚かれたことがありました。
人の心理・発達を診ている医師であれば、このことに納得してくれるはずです。やっぱり、わかっちゃうんです。
すると見えてくるのは、例えば宗教における考えです。こういう生き方をしなさい、そういう教えは、やはりある程度、人の人生のパターン化を理解するからこそ、なのだろうということです。ただそれは、ある程度一般化されたもので、個別の要素は排除されていることが多いかもしれません。特定のこういうキャラクターの人について言っているのではなくて、大衆に向けて多くの方を対象に人の心の成り行きを説いています。
それは、多くの人を観察した人物だからこそ生み出せるものなのだろうと思います。
そんなことを理解する僕が断言するとしたら、「笑顔」と「バランスの良い食事」は、どちらも子どもの人生にとってプラスになる最高の素材ということです。間違いありません。「笑顔」は精神に、「バランスの良い食事」は身体に、それぞれ効果があります。嘘ではなく、本当です。
今日は「小児科医が占い師について思うこと」というテーマでお話ししました。
だいじょうぶ、
まあ、なんとかなりますよ。
湯浅正太(ゆあさしょうた)
PROFILE
2007年 3月 高知大学医学部 卒業。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。
『みんなとおなじくできないよ』
障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだけど、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちが当事者の視点から描かれた絵本。湯浅正太著/1760 円(日本図書センター)
『みんなとおなじくできないよ』
診察する, 治療する, 命と向き合う, …医師として働くとはどういうことか, 患者さんにどう接するか, “正解”はなくとも「考えて答えを出していかねばならない」倫理的なテーマについて医学生/研修医に向けて解説。小児科医であり絵本作家でもある著者が, 医療現場のエピソードに沿った「物語」を提供し, 読者に考えてもらいながら倫理観を育んでいく。「明日からの診療に役立つ一言」も記載し, 躓いたとき, 迷ったときに心の支えとなる書籍。湯浅正太著/2420 円(メジカルビュー社)
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