記事【転職するホワイトとブラック】
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。
今日は「転職するホワイトとブラック」というテーマでお話ししたいと思います。
ゴールデンウィークも今日で終わりですね。あなたはどんなゴールデンウィークを過ごしましたか?どこかに旅行に行きましたか?それとも自宅でゆっくり過ごしましたか?
僕は都会を行ったり来たりしていましたが、今年のゴールデンウィークはそこまで混雑している印象は受けなかったですね。以前だったら鮨詰め状態の場所でも、そこまで人でごった返している様子はありませんでした。コロナ禍を通してやっぱり生活の様子がかなり変わったんですね。国民が消費に消極的になっている印象を受けました。
そんな日本で働くあなたは、転職についてどんなイメージを持っていますか?以前は終身雇用を期待して、一つの企業で働くことが当然の時代がありました。でも、今は違います。特に若者は、若いうちにいかに色々な経験を積めるかということへの意識が強くなりました。企業がどうなろうと、自分の経験をベースにあらゆる社会で生きていける力をつけたい。そんな姿勢を若者に感じます。
今は、世界のありとあらゆる情報がインターネットで手に入ります。そんな情報の中には、色々な職を試しながら自分の能力を育てる海外の情報も含まれます。どんどん色々な経験を積むために転職して、自分らしい働き方を模索する。そんな風に日本でも、徐々に転職が当たり前になりつつあります。
転職にあたって社会人が得るものには、新しい経験ばかりではありません。他にもあります。例えば、その人の「市場価値」です。これまでの経験をもとに、社会はどんな風に自分を評価してくれるのか。そのことを知るチャンスが転職にはあります。
あなたの価値って、どうですか?あなたはどんな風に自分を評価するでしょうか?逆に、あなたが誰か他の社会人に会った時、どんな点を評価しますか?
僕は医師として、若い医師あるいは若い医療職のスタッフの面接を行うことがあります。そんな時に僕が評価するのは、なんだと思いますか?学歴でしょうか?何かのテストの点数でしょうか?
僕が重視するのは、コミュニケーション能力と人間性です。なぜなら、この二つがあれば、社会生活が続けられますからね。逆にこのどちらかが欠けていると、職場の人間関係がもたなくなる。そういうものです。
でもこれは僕だけじゃなくて、多くの会社が社会人に求めるものと思います。
起業家や経営人の方々とお話ししていると、「ホワイトとブラック」、そんな表現で社員の性格を表現していたりします。つまり、ホワイトな性格の社員は、社内での友好関係を築きやすく会社にとってプラスに働きかけてくれます。でも一方で、ブラックな性格の社員は、社内の人間関係がうまくいかなかったり、会社をマイナスの方へと導いてしまう。
だから、ホワイトな人は色々な企業から声がかかって引き抜かれていなくなってしまいます。一方で、ブラックな人は会社の人間関係が原因でいなくなってしまいます。どちらも次の仕事に転職するのは同じですが、その理由が全く違いますね。
子どもたちには、どちらかというとホワイトな人材として、様々な転職に恵まれてもらいたい、そんな風に思います。
海外の大学入試では、子どもの頃にどんな経験をしたかということも評価されたりします。ボランティア活動をしたとか、面白い発表をしたとか、その子らしさを示すユニークな経験、そういった価値を認める社会があったります。
それはまさに世の中の企業が求めるところですよね。目の前の社会人がどんな経験をしてきたのか。どんな独創性を持っていそうなのか。そんなところを企業あるいは社会は求めるということですね。
世の中には、人の独創性について、こんな意見を持っている方もいます。「民間企業に勤める人には独創性が必要かもしれまないけれど、公的な機関で働くのであれば忠実であれば独創性は必要ない」なんて発言する方もいらっしゃるようです。
ただ、僕はそうは思いません。民間であろうと、公的な機関であろうと、そこで働く人材には独創性は必要です。
特に公的な機関は国民の税金を使うことになります。その税金を、いかに柔軟に良い形で使うか。従来の考え方にとらわれずに、新しい価値を世の中に提供する。そこには、必ず独創性が必要です。そうやって、国民が納得できるように、柔軟に税金の使い道を考えてもらいたい。そう思います。
僕は仕事柄、色々な自治体での子どもの支援に携わったり、ちょっと相談にのったり、あるいは職員さんの愚痴を聞いたりすることがあります。そんな時に、「いい税金の使い方しますねえ」という自治体もあれば、「え〜そんなことに税金使ってしまうの?」という残念なケースもあります。
市長そして職員が時代の流れを捉えられ独創性があるのかどうか。それは、その自治体の計画を見ればわかってしまいます。
そんなことを考えると、今の子どもたちにはぜひ、ホワイトな人材となって、色々な企業からお呼びがかかる人になってもらいたいと思います。しっかり独創性をもって、自分の意見を発信できる人材になってもらいたいって思います。
でも、そういった子どもたちはどうやったら育つんでしょうか?そのことを今の社会に考えてもらいたいと思います。少なくとも、テストの点数を求めて机にかじりつく教育ではないことは明らかです。もっと人との交流があって、もっと子どもたちの好奇心を掻き立てる、そんな教育を子どもたちに提供したいものです。
今日は「転職するホワイトとブラック」というテーマでお話ししました。
だいじょうぶ、
まあ、なんとかなりますよ。
湯浅正太(ゆあさしょうた)
PROFILE
2007年 3月 高知大学医学部 卒業。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。
『みんなとおなじくできないよ』
障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだけど、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちが当事者の視点から描かれた絵本。湯浅正太著/1760 円(日本図書センター)
『みんなとおなじくできないよ』
診察する, 治療する, 命と向き合う, …医師として働くとはどういうことか, 患者さんにどう接するか, “正解”はなくとも「考えて答えを出していかねばならない」倫理的なテーマについて医学生/研修医に向けて解説。小児科医であり絵本作家でもある著者が, 医療現場のエピソードに沿った「物語」を提供し, 読者に考えてもらいながら倫理観を育んでいく。「明日からの診療に役立つ一言」も記載し, 躓いたとき, 迷ったときに心の支えとなる書籍。湯浅正太著/2420 円(メジカルビュー社)
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