記事【知りたい通信制高校のこと】
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
「小児科医湯浅正太の診察室」、今日は「知りたい通信制高校のこと」というテーマで、通信制高校である「学びサポートセンター高等部」の和泉早苗(イズミ・サナエ)さんがゲストです。
和泉さんが務めていらっしゃる「学びサポートセンター高等部」さんは、通信制高校のサポート校で、通称「まなサポ」と呼ばれています。子育ての情報を発信していると、「通信制高校のことをもっと知りたい」という声をいただくことがあります。ですので今日は、通信制高校やサポート校のこと、「まなサポ」のことなどを教えていただこうと思い、「学びサポートセンター高等部」の和泉さんに小児科医湯浅正太が聞きます。
1)通信制高校とは
湯浅:子育ての情報発信をしていると、通信制高校を知りたいです、という声をいただくことがあります。そこで、通信制高校のことをぜひ教えていただけますでしょうか。
和泉さん(以下、敬称略):
はい、通信制高校とは、通信教育で学習する高校のことです。「レポート」「スクーリング」「単位認定試験の合格」などで単位を取得し、卒業条件を満たせば、全日制高校や定時制高校と同様に「高校卒業資格」を得ることができます。
全日制高校との大きな違いは「毎日登校する必要がない」「学年生ではないため、留年がない」」という点です。
通信制高校は年間で何単位取得するか、自身で決めることができます。自分のペースで高校を卒業したい。自分の時間をうまくつかって高校卒業資格を取得したいという方にとってはメリットといえます。
2)サポート校とはどんなところですか?
湯浅:通信制高校のことを調べると、「サポート校」という名称を目にすることがあります。「サポート校」とはどんなところなのか、教えていただけますでしょうか。
和泉: はい。実際に通信制高校は登校の負担が少ない一方で、基本的には自学自習で学んでいく必要があります。レポートの提出や単位認定試験なども自分で管理、対策をしていかなければいけません。高校生という年齢で学習のマネジメントや試験対策、さらに卒業後の進路を自分自身で対応していくことが難しい場合があります。また、時間の面で自由度が高いだけに、生活リズムが崩れたり、同年代の人とのコミュニケーションが希薄になったりといった話もよく伺います。
「サポート校」は、通信制高校の卒業をサポートする役割を担う、民間の機関です。
ただ、私は、それだけでなく、一人ひとりの生徒と直接かかわり
一人ひとりの学び方や特性、心に寄り添う場所でなければいけないと思っています。
3)「学びサポートセンター高等部」のこと
湯浅:和泉さんのいらっしゃる「学びサポートセンター」、通称「まなサポ」のことを詳しく教えていただけますでしょうか。
和泉:まなサポは、通信制高校の「サポート校」です。通信制高校の卒業に必要な「レポート提出」「スクーリングへの参加」「単位認定試験の対策」など単位履修や高校生活全般をサポートします。まなサポの特長は「4つの学び」と「5つのサポート」です
4つの学びとは、
1)高校卒業のためのサポート…少人数できめ細かくサポートします
2)個別の学力を伸ばす「My授業」…運営する株式会社Grow-Sは、学習塾さくらんぼ教室において33年間、得意・苦手に合わせた個別学習指導と、豊かな心をはぐくむ社会性の指導を行ってきました。そのノウハウをもとに、高校の授業だけでなく、一人ひとりにあった学び方で学力を伸ばします。
3)まなサポゼミ…卒業後、社会で役立つ「コミュニケーションスキル」「集団参加スキル」を同年代のクラスメイトと一緒に楽しく学び、力をつけます。
4)進路指導…自分に合った進路がみつけ、目標に向かって前向きに取り組めるよう、「生徒」「まなサポの先生」「ご家族」一緒になってこれからの進路を一緒に考えます。
そして、まなサポ生の高校生活を応援するサポートは5つあります
- 少人数クラスで「まなサポの先生」と信頼関係を築きながら、安心して高校生活を送ることができます。
- アセスメントを実施します。生徒自身も「得意」「苦手」が自己理解を深めるほか、サポートの際の指標としています。
- 学びの地図があります。いつ、どんな学習をするのか、一目でわかる、自分だけの時間割を先生と一緒に作成します。プランニングが苦手な生徒さんも安心です。
- テスト・検定を実施し、客観的に学力を図る機会もあります。
- 先生との面談…まなサポ生は毎月実施し、よい経験を次につなげていく、小さな目標を達成してく喜びを感じることができます。保護者の方も年に3回面談があるほか、よくコミュニケーションをとりながらお子様を一緒にサポートしていきます)
大規模な学校での集団生活が苦手な方、コミュニケーションの力をつけたい方、まなサポの手厚いサポートで高校卒業を頑張りたい方は、まなサポで安心して自分の力を発揮できると考えます。
まなサポの先生は、幼児~社会人までたくさんの方の学びや成長を応援してきた経験がある先生がたくさんいます。高校生一人ひとりの心によりそって、その先の人生も一緒に考えられる、そんな関係を「まなサポ生」「ご家族」と築いていきたいと思っています。
4)通信制高校の現状と課題
湯浅:通信制高校にも色々な学校があると思います。生徒さんにより良い学習環境、あるいは成長の機会を提供したいと思うと、「良い通信制高校」を生徒さんたちに選んでいただきたいと思います。そこで、通信制高校の現状や課題を教えていただき、通信制高校であれば、どんな学校を選んだ方がいいのか、教えていただけますでしょうか。
和泉: 近年、通信制高校やサポート校は増加傾向にあります。高校生の興味があるゲームや美容などの授業を取り入れたり、完全オンラインだったり、全日制課程などと比べて学校ごとの特徴が大きいように感じます。今の興味がある分野を学ぶことでモチベーションを維持していくことも大切です。しかし、卒業を考えたときに「単位取得や高校生活面でどういったサポートをしてもらえるか」「高校卒業資格をもって、どのような進路、人生を歩んでいきたいか一緒に考えてくれる学校・機関か」この点もぜひ大切にしていただいて、学校見学や説明会に参加してみてはいかがでしょうか。
5)日本社会は子どもたちの学びにどう向き合っていくべきか?
湯浅:学びの現場を見てこられて、今後の日本社会は子どもたちの学びにどう向き合ったらいいと思いますか?
和泉: 中学生、高校生の「学校生活」の世界は、とても狭く限定されたものですが、その中で「自分に合った学びや人間関係を構築できる環境」を見つけられること、そして信頼できる「大人の存在に気付けること」は、社会へ出ていくときに、学生たちの背中を後押ししてくれる経験となることと思います。高校入学や卒業がゴールではなく、卒業後にも一人ひとりの人生が続いていくんだということを、教育者だけでなく、社会の大人たちが理解して、柔軟で若い、学生の心を育んでいく必要があると感じます。
湯浅:どうもありがとうございました。本日のゲストは、「学びサポートセンター高等部」の和泉早苗(イズミ・サナエ)さんでした。
湯浅正太(ゆあさしょうた)
PROFILE
2007年 3月 高知大学医学部 卒業。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。
『みんなとおなじくできないよ』
障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだけど、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちが当事者の視点から描かれた絵本。湯浅正太著/1760 円(日本図書センター)
『みんなとおなじくできないよ』
診察する, 治療する, 命と向き合う, …医師として働くとはどういうことか, 患者さんにどう接するか, “正解”はなくとも「考えて答えを出していかねばならない」倫理的なテーマについて医学生/研修医に向けて解説。小児科医であり絵本作家でもある著者が, 医療現場のエピソードに沿った「物語」を提供し, 読者に考えてもらいながら倫理観を育んでいく。「明日からの診療に役立つ一言」も記載し, 躓いたとき, 迷ったときに心の支えとなる書籍。湯浅正太著/2420 円(メジカルビュー社)
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