子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

子どものために私が守りたいもの

2023/04/12

記事【子どものために私が守りたいもの】

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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。

今日は「子どものために私が守りたいもの」というテーマでお話ししたいと思います。

突然ですが、あなたには守りたいものはありますか?「家族・家庭」あるいは「コレクションとして集めているグッズ」あるいは「財産」なんて言う人もいるかもしれません。

例えば、世の中の子どもたちのために守りたいものは何でしょうか?子どもたちが生きやすくなるために、何が大切なんでしょうか?これから「異次元の少子化対策」を行おうとしている国、あるいは子どもを大切に育てられる社会を作ろうとする国が守るべきものって、何でしょうか?

僕が小児科医という立場でこの問いに答えるとしたら、それは「大人の心の余裕」です。特に子どもたちに接する大人の「心の余裕」です。

毎日子どもに接する大人って、誰でしょう。そうです、親です。親の他にも、ほぼ毎日子どもに接する大人がいます。小学校、中学校の先生です。

ここでちょっと興味深いお話をしてみたいと思います。僕は小児科医として医療現場でカウンセリングを行っています。子どもたちを対象にすることもあれば、親御さんを対象にすることもあります。

このカウンセリングを行いながら実感することがあるんですね。それは、カウンセリングの頻度とその効果の関係です。より詳しく説明すると、短い間隔で多くの頻度でカウンセリングするほど、その効果が現れやすいんです。逆に、カウンセリングの間隔が開けば開くほど、そのカウンセリングの効果は小さくなるということです。

数ヶ月に一度のカウンセリングより、1ヶ月に一度のカウンセリングの方が効果があります。1ヶ月に一度より、週に1回の方がより効果がある。そんなことを理解すると、毎日子どもに接する大人の影響って凄まじいことがわかりますよね。

医療機関のカウンセリングは効果があります。でも、医療機関のカウンセリングを毎日おこなうことはできません。色々な患者さんがいるため、予約枠が空いていないですからね。毎日カウンセリングを予約できるなんてことはまずありません。

でも、家庭の親御さんであれば、学校の先生であれば、その子どもたちに毎日接するわけです。医療機関でも実現できないことを、家庭や学校では実現できてしまいます。

もしかしたら、学校の先生からは「毎日会うって言っても、さらっと会話するだけだよ」「毎日会っていても、カウンセリングしているわけじゃないよ」、なんて言われてしまうかもしれません。でも、毎日子どもたちとさらっと会話するだけでも、その効果ってすごいんですね。

ここでもう一つ、カウンセリングで欠かせないものを確認したいと思います。カウンセリングが効果的であるためには、頻度も重要ですが、そのほかに大切なことがあります。それは何だと思いますか?

それは、カウンセリングを行う人、つまりカウンセラーさんの「心の余裕」です。

心って、相手にうつってしまうんですね。何かに困ってイライラしているカウンセラーさんのカウンセリングでは、そのカウンセリングを受けている人にイライラがうつってしまいます。だから、カウンセリングの効果も不十分になってしまうんです。ですから、カウンセリングを行う人には「心の余裕」が欠かせないんです。

このことを理解していただくと、毎日子どもたちと接する親御さんや学校の先生の「心の余裕」って、とても大切なことがわかりますよね。

冒頭でお話ししましたが、僕は小児科医として、子どもに接する大人の「心の余裕」を守りたい、とお話ししました。その大人とは、特に子どもたちへの影響が強い「親御さん」や「学校の先生」でした。

そんな学校の先生の労働状況って、どうでしょうか?時々ニュースでも、学校の先生の勤務状況が過酷であることを聞きますよね。僕は小児科医として学校の先生とお話しさせていただくことが時々ありますが、先生たちがよくこう教えてくれるんですね。「毎日仕事が終わるのは、19時だったり、20時だったりするんです。色々な仕事があって大変なんです」、そんな風に教えてくれます。

残業が多かったりして仕事が忙しすぎると、心の余裕がなくなるものです。どんなに能力がある人でも、心の余裕がなくなります。子どもに接する大人のこの状況は変えなくてはいけません。

「子どもがなりたい職業ランキング」ってあるじゃないですか。その職業ランキング1位には常に「学校の先生」が入っているくらい、教師という職業が子どもたちが憧れるものになってほしいなと思っています。

子どもたちが憧れる職業には、「その大人が楽しそうに働いている」とか、「収入が多い」なんて要素があるかもしれません。個人的には学校の先生の職業って、そういう要素を持っていて当然の職業と思っています。「心の余裕」をもって子どもたちに接することができるように、「時間できっかり帰れる」「収入も十分にもらえる」、そんな国民から羨ましがられる職業になってもらいたいと思います。

子どもの価値、あるいは子どもの時期の価値を理解するならば、その子どもを育てるための投資を増やしてもらいたい。学校の先生方の処遇を含めて、教育現場には多くの税金を使ってもらいたい。そう思うんですね。

そういう世の中でなければ、不登校はなかなか改善しません。スクールカウンセラーさんを投入したら不登校が減りますか?いいえ、そんな甘い状況ではありません。もちろんスクールカウンセラーさんも頑張ってくれているのは知っています。

でも、日常的に触れ合う大人の「心の余裕」こそ、今の日本に必要なことなんです。時々会う医療者あるいはカウンセラーさんよりも誰よりも大切なのは、毎日顔を合わせる大人の「心の余裕」。それは、親御さんであり、学校の先生なんです。

学校現場で働く先生方が「自分たちの処遇を改善しろ〜」なんて、なかなか言えません。言いにくいものです。だから、当事者ではない周りの人が声をあげるべきと思っています。学校の先生の処遇を改善することなく、子どもたちのより良い心の発達は見込めません。小児科医として子どもたちの心の発達を理解しているからこそ、そう断言します。

「僕、学校の先生になりたい」「私も、教師になりたい」、そんな世の中になったら、きっと不登校の状況は変わります。

今日は「子どものために私が守りたいもの」というテーマでお話ししました。

だいじょうぶ、

まあ、なんとかなりますよ。

湯浅正太(ゆあさしょうた)

PROFILE
2007年 3月 高知大学医学部 卒業。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。

一般社団法人 Yukuri-te(ゆくりて)

『みんなとおなじくできないよ』

障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだけど、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちが当事者の視点から描かれた絵本。湯浅正太著/1760 円(日本図書センター)

『みんなとおなじくできないよ』

診察する, 治療する, 命と向き合う, …医師として働くとはどういうことか, 患者さんにどう接するか, “正解”はなくとも「考えて答えを出していかねばならない」倫理的なテーマについて医学生/研修医に向けて解説。小児科医であり絵本作家でもある著者が, 医療現場のエピソードに沿った「物語」を提供し, 読者に考えてもらいながら倫理観を育んでいく。「明日からの診療に役立つ一言」も記載し, 躓いたとき, 迷ったときに心の支えとなる書籍。湯浅正太著/2420 円(メジカルビュー社)

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