記事【初めての物事にはコレが必要】
このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。 【2023年04月03日 06:00配信予定】 初めての物事にはコレが必要 – 小児科医しょーた https://r.voicy.jp/Rp9p172qVGP
【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
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おはようございます。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。
今日は「初めての物事にはコレが必要」というテーマでお話ししたいと思います。
この放送を聴いてくれているあなたが大人だったら、初めて就職した時のことを覚えていますか。あるいは、あなたが高校生や大学生だったら、初めて学校に入学した時のことを覚えていますか。
僕が初めて社会人として研修医として働き始めた時には、必死でしたね。何もかもが初めての事だらけで、一から覚える事が多くて、今思うとよく頑張っていたなと思います。
そうやって頑張れたのは、支えてくれた妻がいたから、という事もありますが、他には「自分に将来への見通しがあったから」と思います。自分の身体が疲れていても、自分は将来どんなことをやりたいのか、どんな医師になりたいのか、そんな風に将来やりたい事をいつも考えていましたね。そうすると、疲れもどこかへ吹き飛んでしまって、頑張れるものです。
医師もやりたいけど、本も書きたいな、絵も描きたいな。あんなことも、こんなこともやりたいな。そんな風にやりたい事だらけだった気がします。そんな風に心の中で思っていれば、人生はそうなるもので、人生とは面白いものだなあとつくづく思います。
ところで、社会人になるととてもよくわかる事があります。それは、人って色々な可能性をもっている、という事です。特に子どもたち、若者たち、彼ら彼女らには無限の可能性がある。それは本当にそうだと思うんですね。通知表ではわからない可能性がゴロゴロ転がっていると言っても過言ではありません。
でも、もうひとつ、社会人になりわかった事があります。それは、その可能性に気づけない大人がいる、という事です。気づけないだけならまだマシかもしれません。その可能性を否定してしまう大人もいるものです。「あなたには無理」、そんな風に否定してしまう大人が案外いるんですよね。
以前にラジオか何かで有名なアーティストの方が出演していたんですね。その方が学校に通っていた頃に学校の先生から「自分の可能性ばかり追いかけていないで、無難にいきなさい」みたいな指導を受けた事があったそうです。でも、そのアーティストさんは自分の可能性を信じて、今や有名なアーティストとして活動していらっしゃいます。
指導者はどうしても自分の価値観をもとに相手を指導するものです。それは、医師という職業でも同じと思います。医師の価値観にそって、患者さんに接します。ただ、その際に注意したい事があります。それは、「自分の価値観を相手に押し付けていないか」と俯瞰的に自分の指導を捉えることと思います。
子どもに接する大人にも、同様の事が求められると思っています。「子どもに伝えた意見は、本当に正しいのか」「子どもの可能性の芽をつんでいやしないか」、そうやって、指導者には俯瞰的に自分の行動を確認する姿勢が欠かせません。
子どもたちは4月から新しい環境を経験します。新しい学校に入学したり、新しい学年になったり、これまでとは違った環境で生活する時、子どもたちには不安も生まれるものです。そんな不安を払拭するのが「見通し」です。
だからこそ、子どもたちに将来への見通しを持たせてあげるような言葉がけは欠かせません。「4月はいろんな新しい事があるね。ワクワクしたり、ちょっと疲れる事があるかもね。でも、大丈夫。5月になったらゴールデンウィークもあるし、楽しみだねえ」、なんて、ちょっと先の見通しを伝える工夫は大切ですね。
そんな見通しを持たせてあげて、子どもたちに心の余裕が生まれると、「コレやってみたいな」なんて未来へ向けた言葉が子どもたちから飛び出てくるものです。そんな時には「しめた!」とばかりに応援してあげる。
そんな風に、将来への視点を持たせる関わり、将来を応援する関わりが日常生活の中にあるかないかで、子どもたちの人生が180度変わるものだなあと思うわけです。通知表よりも何よりも、そういった関わりこそが子どもたちを変えるんですよね。
今日は「初めての物事にはコレが必要」というテーマでお話ししました。
だいじょうぶ、
まあ、なんとかなりますよ。
湯浅正太(ゆあさしょうた)
PROFILE
2007年 3月 高知大学医学部 卒業。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。
『みんなとおなじくできないよ』
障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだけど、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちが当事者の視点から描かれた絵本。湯浅正太著/1760 円(日本図書センター)
『みんなとおなじくできないよ』
診察する, 治療する, 命と向き合う, …医師として働くとはどういうことか, 患者さんにどう接するか, “正解”はなくとも「考えて答えを出していかねばならない」倫理的なテーマについて医学生/研修医に向けて解説。小児科医であり絵本作家でもある著者が, 医療現場のエピソードに沿った「物語」を提供し, 読者に考えてもらいながら倫理観を育んでいく。「明日からの診療に役立つ一言」も記載し, 躓いたとき, 迷ったときに心の支えとなる書籍。湯浅正太著/2420 円(メジカルビュー社)
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