記事【子育てが上手な親はコレができている】
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医のしょーたです。
2023年3月5日の今日は、「子育てが上手な親はコレができている」というテーマで短くお話ししたいと思います。
小児科医として外来に出ていると、こんなことを感じることがあります。それは、子どもが課題に直面した際に、家族としてうまく乗り越えられる家庭とそうでない家庭がある、ということです。
そういった二つの家庭には、ある大きな違いがあることに気づきます。みなさん、その違いって何だと思いますか。
それは、親が自分を大事にしているかどうか、ということです。
つまり、自分を大事にできている親のもとで育つ子どもは、スクスク育ちます。子どもが課題にぶち当たっても、親と一緒にその課題を乗り越えていけるものです。一方で、自分のことは後回しで、子どものことを考えている親は、やはりどこかで育児につまずいてしまう。そういうものです。
この考えが誤解を招くといけないので、もう少し説明したいと思います。
もちろん、親が「自分を大事にできている」ということには前提があります。それは、「親が子どもを愛している」「親が子どもに接している」ということです。子どもと話したり食事をする機会よりも、自分の趣味のことばかりに没頭してしまう親が、子どもの心の成長にとっていいというわけではありません。
子どもには愛を持って接するけれど、同時に、自分の身体を理解して、心に余裕を持ち続ける生き方ができている人。そういう親のもとで育つ子どもは、やはり生活の中で生じた課題を一つひとつクリアできていくもの。そういうことです。
世間的には、「自分のことは後回しで、子どものことばかり考える親」は一見美化されて、「それは良い親だ」なんて評価されるかもしれません。でも、現実にはそんなにうまくもいかないものです。
親が自分を大事にできていないと、いつの間にか心に余裕がなくなって、その状態が子どもにも影響します。子どもの課題を解決しなければならない時に、親も一緒に課題から抜け出せずにハマってしまう。親も子どもも心に余裕がないままに、問題も解決できなくなってしまう。そういうケースが少なくありません。
子どもの健全な発達を考えた時、最もキーとなる存在は親なんです。その親が不健康であれば、子どもも不健康になります。その親が自分を大切にして、心の健康を維持できていれば、子どもの心も健康になります。いざ子どもがちょっとした課題にぶち当たっても、健全な心をもつ親がそばにいてくれれば、一緒にその課題を乗り越えられるものです。
だから、親が自分を大事にしている、ということはとても大切なことなんです。
僕の外来に子育ての課題を抱えた親御さんがやってきてくれた時には、必ずお伝えすることがあります。それが、「親御さんが自分自身を大切にしましょう」ということです。親御さんが健全な状態になって初めて、良質な育児が達成できる。それは絶対です。
そのために、コレからの社会では親の働き方改革も必要でしょうし、子育てする親を支援する経済的な支援も欠かせません。ありとあらゆる方法を使って、子育てする親御さんに「自分を大切にして!」というメッセージを届けたいものです。
今日は、「子育てが上手な親はコレができている」というテーマでお話ししました。
だいじょうぶ、
まあ、なんとかなりますよ。
湯浅正太(小児科医、Yukuri-te代表 https://yukurite.jp/)
湯浅正太(ゆあさしょうた)
PROFILE
2007年 3月 高知大学医学部 卒業。小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医。一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)代表理事。イーズファミリークリニック本八幡 院長。作家。著書に『みんなとおなじくできないよ』(日本図書センター)、『ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ』(メジカルビュー社)がある。
『みんなとおなじくできないよ』
障がいのある「おとうと」がいる小学生の「ボク」。おとうとのことを好きだけど、ちょっと恥ずかしく、心配にも感じている。複雑な感情と懸命に向き合って「ボク」がたどり着いた答えとは?「きょうだい児」ならではの悩みや不安、孤独な気持ちが当事者の視点から描かれた絵本。湯浅正太著/1760 円(日本図書センター)
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