記事【子どもの経験不足】
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。
あなたは、子どもたちの行動を大きく変えるものは何だと思いますか。薬と思いますか。病院のスタッフと思いますか。発達支援事業所のスタッフと思いますか。
それは、親の関わりです。
子どもの行動は、親が関わってくれたという経験によって大きく変わるのです。大きく成長する、と言ってもいいかもしれません。
でも、そのことを理解されていない大人の方は多くいらっしゃいます。子どもの行動が、その子だけから生み出されている、そんな風に考えている大人は意外と多いものです。
でも、繰り返しますが、子どもの行動は子どもだけから生み出されるものではありません。子どもたちの行動は、多くの場合周りの関わりが強く関係しています。
半年前にある有名な企業の男性社員の方とお話をした時のことです。話の流れで、たまたま子どもの行動についてお話をすることになりました。
よくよくその方のご意見を伺うと、「子どもの行動は遺伝子で決まっている」「親の関わりの影響はわずか」という意見をお持ちでした。
大人になった後の意見の修正は容易いことではありませんし、子どもの支援に関わる方ではなかったので、特に意見することなくお話を終えました。
色々な教育を受けて立派な大人になって、いざ子どもを育てようとする人たちが、「子どもの行動は既に遺伝子で決まっている」「親の関わりの影響はわずか」と考えてしまう社会って、本当に危ういと思います。
それは、やはり子どもの頃からの教育の罪と思っています。子どもであるうちから、親子の関わりの大切さを学ぶ機会が乏しかったのでしょう。テストでいい点数をとっていれば、それでいい教育環境だったのかもしれません。
子どもの心を健全に育てたいと本気で考えない社会は、子どもを考えられない大人をつくります。それは、その大人に罪があるというよりは、やはり社会に罪があるのです。
大人の時期までに習慣化してしまった思考は、その人自身もなかなか変えられません。大人に成長してしまった人は、自分の力でもなかなか自分を変えることはできないのです。
子どもたちの心を育てる教育、子どものことを考えられる大人を育てられる教育、そういった教育にこそ力を入れてほしいと思います。そういった教育がなされてようやく、20年〜30年後の社会が変わり始めます。
教育の効果は今現れるというよりも、ずっと後になって現れます。今の子どもたちへの教育が、将来の大人をつくって、そして社会をつくります。
子どもたちに、親が関わってくれたという経験を積ませてあげましょう。
そうすれば、だいじょうぶ、
まあ、なんとかなりますよ。
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