記事【締め切りへのアプローチ】
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。
あなたは、締め切りをどう感じますか?「何事も、早めに締め切り前に終わらせちゃおう」と思う人ですか?それとも、「締め切りまでまだまだ時間があるから、まだ課題には取りかからなくて大丈夫」と思いながら、なかなか課題に取りかかれない人ですか?
あなたは、「締め切り」に対してどんなイメージをもっていますか?自分の自由を奪う嫌なイメージをもっていますか?それとも、自分の行動をコントロールしてくれる助っ人的なイメージをもっていますか?
今日は、「締め切り」と子どもの心を考えながら、「締め切り」へのアプローチを考えたいと思います。
「締め切り」を意識することで、人の心は動きます。「締め切りまでに課題を終わらせよう」という意識が生まれて、程度の差こそあれ、不安が生まれます。
その不安は決して悪いものではありません。不安があるからこそ、自分の不安を解消するように行動できるようになります。「締め切り」により生じる不安があるからこそ、「締め切り」を守ろうとするのです。
社会生活を営む上で、約束を守れることはとても大切なことです。約束を守るためには、「締め切り」を守ることも重要なミッションになるでしょう。
でも、その「締め切り」に対しては、人によっては自分をコントロールしてくれる便利なものという捉え方ができる人もいれば、たいそう苦痛な自分を縛るものという捉え方をする人までいます。
物事へのイメージは、経験を通して作り出されていきます。例えば、勉強です。学ぶ楽しみを経験せずに、ただ「勉強しなさい!」と勉強を強制させられると、勉強はただの過酷な労働になります。そんなイメージでは、子どもが勉強を積極的にやろうとするわけがありません。
一方で、親と一緒に学ぶ楽しみを知り、好奇心をもって知りたい気持ちを大切にできる環境であれば、子どもは自ら勉強をしようかなと思ってくれます。
「締め切り」に対するイメージも同様です。「締め切り」は自分の心を乱すものと理解してもらうのではなく、「締め切り」は自分の心をコントロールしてくれるものと捉えてもらえるように、子どもたちに体験を積ませてあげます。
まずは、その「締め切り」を守れるかということよりも、「締め切り」をちょっと意識させてあげる。「〜までにこれをやってみようかね」、そうやって「締め切り」を自覚してもらうことよって、少し心が動くものだということを子どもに経験させてあげる。そんな風に少しずつ「締め切り」の感覚を経験させてあげます。
ここで注意したいのは、「締め切り」を使って過度な不安を掻き立てることは避ける、ということです。切羽詰まって課題をこなす、ということは人生のどこかであるでしょう。でも、最初からそんな経験を積ませる必要はありません。
過度な不安は、子どもの心を不安定にし、行動を乱します。すると、普段できていたことも、できなくなってしまう。そして、子どもが叱られる。そんな悪循環を生み出します。
子どもの頃に大切なことは、まず「締め切り」をソフトに意識させてあげることです。「締め切り」を意識できたら褒めてあげる。次に「締め切り」を守れたら、さらに褒めてあげる。そうやって、「締め切り」は自分の行動を助けてくれるという経験を積ませてあげたいものです。「締め切り」を子どもの見方につける、ということです。
物事に対する過度な不安よりもソフトな不安。過度な不安は心を病みますが、ソフトな不安は行動を律してくれることも多いものです。それは、周りの大人の関わり方次第で調整できます。
「締め切り」に少しずつ慣れさせてあげれば、
だいじょうぶ、
まあ、なんとかなりますよ。
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