記事【こんな時は安心感を】
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。
今日は、子どもの安心感を導くことについて、ちょっとだけ考えてみたいと思います。
あなたは給食の時間のことを覚えていますか?あなたにとって、給食はどんな時間でしたか?楽しい時間でしたか?それとも、早く終わって欲しい時間でしたか?
世の中には、食が細い子どもがいます。他の子どもよりも食べるペースが遅くて、食べる量も少ない。そんな子どもがいるものです。そんな子どもは、いくら頑張ってもなかなか食べられません。それにそもそも、楽しい気分でなきゃ、美味しい時間ではなくて、拷問の時間になりかねません。
もちろん食べ物は大切です。戦時中など、食べ物が欲しくても手に入らなかった時代がありました。そんな時代を経験した人たちからは「食べ物があるのに食べないなんて、なんて贅沢な悩みだ」と叱られてしまうかもしれません。でも、幸せの価値観は時代とともに変わりますし、人によっても異なります。
給食がなかなか食べられない子どもにとって、まず必要なものは何だと思いますか?それは、安心感です。給食の時間が安心できる時間になる。そうなるからこそ、心に余裕が生まれて、友達の笑い声が聞こえるようになる。給食に出てきたシチューやカレーの香りを楽しめるようになるものです。
僕は小学4年生の時に転校を経験しました。転校したばかりの頃は、不安も強くて、給食の時間もあまり楽しくなかった記憶があります。それに牛乳も苦手だったので、給食の牛乳を2本も3本もいっきに飲んでしまう同級生を見て、ひいてしまうような少年でした。
そんな僕も、徐々に小学校に慣れて、サッカー少年として活発に活動するようになりました。すると、毎日の小学校での生活が楽しくて楽しくて仕方なくなっていったのですね。このまま小学校の生活が続いてくれたらいいのに、なんて感じることさえありました。
そんな心の状態になると、気づくと給食も楽しい時間に変わっていました。給食の時間に、普段の牛乳ではなくて、コーヒー牛乳なんてものが出た日には、余った残りの1本のコーヒー牛乳を飲むために、ジャンケン大会に積極的に参加していました。今でも頭の片隅には、そんないい思い出が残っています。
もしも給食がなかなか食べられない子どもがいたら、ぜひ「残すんじゃないぞ!」とは言わないであげてください。そう言うよりも、その子にとって何か安心できる物事を増やしてあげてください。そういった工夫の一つに、「残してもいいよ」という声かけもあってもいいかもしれません。
食べられなかった子どもも、安心感が得られると、食べられるようになるものです。「残すんじゃないぞ!」と言う声かけで食べられなかった子どもも、「残してもいいよ」という声かけで食べられるようになることもあります。
そういった子どもの心の見通しを大人がもてるかどうかで、子どもの生きやすさは変わっていきます。
だいじょうぶ。
まあ、なんとかなりますよ。
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