記事【工夫するのは子どもか大人か】
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。
今日は、大人が工夫してあげればいいのでは?というお話をしたいと思います。皆さんは小学生の頃に音楽や工作の授業を受けたことがあると思います。そんな授業では、楽器に触れてみたり、工作道具に触れてみましたよね。そんな時はなんだかワクワクしませんでしたか。「この楽器、どんな音が出るんだろう?」「この道具使ったら、どんな風になるんだろう?」、そんな風に、初めて見る目の前のものに関心をもつのが子どもというものです。
小学校低学年までの子どもの場合、初めて目にするものには興味をもって、それを触りたくなる衝動に駆られるものです。目の前に楽器があれば、音を鳴らしたくなるし、目の前に工作道具があれば、それをいじりたくなるものです。それが、子どもの正しい反応です。
でも成長するに従って、授業だったり、社会生活の場面によっては、初めて見る目の前のものに触らずにじっとしていることが礼儀として正しいことと学びます。自分の心を自制して、楽器を触りたい気持ちを抑えて待つ。そういうことができるようになるものです。
そんな子どもの心の発達を理解すると、好奇心全開の子どもたちへの対応として身につけておきたいことがあります。それは、子どもに大人の話を聴いてもらいたい時には、あえて興味を引くようなものは子どもたちの前に出さない、という心がけです。
例えば、これから楽器の説明をしようという時、楽器を先に出しておくと、子どもたちは目の前の楽器を触りたくて仕方なくなります。中には、その楽器を見ながら、お友達と会話を始める子どもも出てくるでしょう。そんな風に楽器に注意が行ってしまっては、子どもたちに何か説明をしたとしても、なかなか話が通じないものです。
子どもたちがガヤガヤうるさくなって、しまいには、「静かにしなさい!」なんて注意が始まる。皆さんも、子どもの頃や大人の頃、そんな場面に居合わせたことがあるんじゃないでしょうか。最初は大人の話を聞きなさい、とばかりに「静かにしなさい!」と子どもたちを叱る場面ですね。
でも、この例え話だと、そもそも子どもたちの関心を引くような楽器を出さなければいい話ですよね。子どもたちに大人の話を聞いてもらいたければ、大人に注目が集まるように、その他のものはしまっておく、そういう配慮が必要です。
大人が子どもを叱る場面には、大人が招いてしまっている問題が実は多くあります。そのことに、大人は気づかずに一方的に子どもを叱っている。そして、子どもも、自分たちが悪いと意識してしまうことになる。
子どもたちにとって、好奇心はその子の将来への成長にとってとても大切な宝物です。その好奇心があるからこそ、ちょっと失敗して怒られてしまうこともあるものです。でも、大人がちょっと配慮するだけで、その好奇心を台無しにすることは避けられます。
子どもたちの好奇心を大切にするためにも、子どもたちの行動を叱る前に「大人の側が子どもの行動を招いたんじゃないか?」なんて疑ってみてください。そうやって、子どもたちの行動のカラクリが見えてくると、子どもへの感情も変わってくるものです。
子どもたちの心は純粋です。大人の対応次第で、子どもの好奇心は如何様にでも変化していきます。
だいじょうぶ。
まあ、なんとかなりますよ。
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