記事【声を意識すると子どもたちは変わる】
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。
今日は、子どもたちの声について考えてみたいと思います。皆さんは、相手が怒っているとか、喜んでいるということをどうやって知りますか。おそらく、そういった感情を知る手がかりの一つは、声のトーンです。
それは、子どもも同じです。子どもは親の声のトーンも参考にしながら、親の感情を学んでいきます。「人が喜ぶ時の声のトーンはこんな感じなのか」、そんな風に人の感情を学習していくのですね。そうやって感情がわかりやすい大人は、子どもが感情を学ぶうえでとてもありがたい存在です。
世の中には、声のトーンを変えずに淡々とお話しする人がいます。穏やかに話すというよりも、感情がわかりにくいように淡々と話すという感じです。そういった抑揚のない話し方をする大人が子どもとやりとりをすると、子どもの側はその大人の感情がわかりづらく少し戸惑ってしまうこともあるのですね。
冒頭で、子どもたちは人と接しながら感情を学ぶことをお話ししました。どんな子どもも、人と接する中で声のトーンも手がかりにしながら、人の感情を学んでいます。ですから、ぜひ子どもたちと接する時には、感情に合わせた声のトーンを意識してあげてください。
ここまで、周りの大人が示す声の大切さについて考えてみました。
ここからは、子どもが示す声の大切さについて考えてみたいと思います。
当たり前ですが、子どもたちは毎日成長しています。昨日までの子どもと、今日の子どもは違います。毎日接していると気づきにくいものですが、声の質も少しずつ変わり続けています。
子どもが発する声は、やはりその子らしさです。唯一無二の子どもの声、その素晴らしさをぜひ認めてあげてもらいたいと思います。「その声、素敵だね」「あなたらしい声だね」、そうやってその子らしさを意識させてあげることは、子どもの自己肯定感を高めることにつながっていきます。
子どもたちは、そういった親や周りからの関わりを通して「自分らしくていいんだ」と自信を持てるようになるものです。そうやって子どもたちが自分らしさを意識できるようになると、その後の成長が格段に違います。
この声を通して自分らしさを知る、ということがよくわかる時期があります。それは例えば、男の子の変声期です。男の子は中学生くらいになると、子どもの声から大人の声へ変わっていきます。そういった自分自身の成長を感じることで、子どもの自己肯定感は高まります。
外来に来てくれている不登校だった子の中には、変声期や成長期を経て自信をつけて、学校に行けるようになった子が何人もいます。それほど、自分の成長や自分のアイデンティティを感じることは、子どもの心の発達にとってとても大切です。
僕自身も中学生の頃に声変わりを経験しました。ある時、おばあちゃんの家に電話をかけると、「お父さんかと思ったよ〜。大人になったねえ」なんて言ってもらいました。おそらく、そう言ってくれたおばあちゃんは覚えていないかもしれませんが、言われた僕は覚えています。それほど、その言葉が僕の自信につながったのです。
大人の何気ない一言は子どもの心に残ります。良くも、悪くも、です。子どもたち自身は無意識のうちに、大人の言葉に影響を受けているものです。それほど、大人の言葉には責任があるのですね。
そういったことを理解していただきながら、子どもたちの今の声を楽しんでもらえたらと思います。
うまく行動できない子どもがいても、子どもは認められることで、ものすごいスピードで成長していきます。
だいじょうぶ。
まあ、なんとかなりますよ。
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