記事【子どものために本の話をしよう】
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。
皆さんは、子どもにとって、本はどんな意味があると思いますか。僕は、子どもたちの経験を広げてくれる宝物と思っています。本を読むことで、直接会って話を聞けない人について、その人の人生や考え方に触れることができます。本を通して、未知の世界を探検することもできます。そうやって、子どもたちにあらゆる体験を積ませてあげることができるのが、本と思っています。
今日はとある出版社さんと、新しい本の打ち合わせをしていました。これからの将来を生きる子どもたちのためになる本を作りたいですね、そんなことをお話ししていたのです。詳しいことはお話しできませんが、本を作る側にはそういった思いがあります。
そういった思いがあるからこそ、そこに書かれる文章にも絵にも思いがあります。本についている帯だって、どんなフレーズが読者の心をひくのか、そんな思いを抱きながら作るものです。子どもたちが本を読んだその時に何かがわかるということでなくても、いいのですね。本を読んだ子どもたちの心に何かが残って、それが豊かな心の形成につながってくれたらいい、そんな思いがあります。
ちょっと話は脱線しますが、僕は昔は本を買うと、すぐに帯を捨てていました。でも自分で本を書くようになった今は、帯は捨てずにとっておきます。帯を作った製作者さんたちの思いを感じるようになったからです。「この帯、一生懸命考えて作ったんだろうなあ」と思うと、捨てるのがもったいなくなるのですね。
しかも、帯の内容はとても勉強になります。短いフレーズしか入らない帯のスペースに、どんな言葉を選ぶのか、そのセンスはとても勉強になるものです。
ですから、子どもたちには、色々な人たちが気持ちを込めて作った本にたくさん触れてもらいたいと思います。そんなたくさんの本に触れるうえで、ぜひ子どもたちに行なっていただきたいのは、文章のインプットだけではなく、アウトプットも大切にしてもらいたいということです。つまり、本の内容を知るというだけでなく、その内容を何らかの形で外に示すことをしてもらいたいと思っています。
例えば、何か本を読んだら、その本の内容をザッとでいいので、誰かに喋ってみる。その本に書いてあった知識を自分の知識としてアピールするのでもよし、本の感想を誰かに伝えるのでもよし、そうやって一つひとつの本の内容を自分のものにしてもらえたらなあと思います。
あるいは、自分で文章を書いてみるということですね。日記でも、学校へ提出する作文でもいいですから、自分の感じたことを文章にしてアウトプットすることを大切にしてほしい。そう思います。
面白いことに、そういったアウトプットは、結局またインプットにいい効果を及ぼします。例えば文章を読むときに、「この文章がきたら、次はこういう展開があるよね」といった文章の流れを理解するようになったり、「ここの表現は多分意図的に工夫したのだろうな」と思いながら文章を楽しめるようになります。
そうやって、文章のアウトプットもインプットも、相互に高め合う結果につながるものですね。でも、子どもたちがそういったインプットもアウトプットも楽しむことができるようになるために必要なことがあります。それは、文章のインプット・アウトプットの楽しさを大人が子どもに教えてあげることです。
例えば、アウトプットとして本の知識を教えてくれたら、あえて「もっと教えて」と言ってあげる。そうやって子どもに、手に入れた情報を人へ伝えることの楽しさを体験させてあげる。もしも作文を書いてくれたら、その作文の素晴らしい点をしっかり伝えてあげる。それは、アウトプットの楽しさを体験させてあげることにつながります。
ここまで、少し文章のアウトプット・インプットの大切さについて触れました。
最後に、多くの方が勘違いしていることをお話ししたいと思います。本について話しをするとよく、「うちの子は国語ができないから、一生本を書くことなんてないでしょうね」なんて言う親御さんがいます。つまり、本を書くというアウトプットを、学校の国語の成績と結びつけて考えてしまう方が多いということです。
はっきり言いますが、それは違います。学校の国語ができることと、本を書けるということは違います。どうか、学校の国語の点数などで、本を書けるか書けないかを決めないであげてください。学校の国語のテストは、子どもの一部の能力しか評価できていません。子どもたちには、テストでは評価できない、もっともっと素晴らしい可能性があります。
その可能性を発展させるうえで大切なものは、子どもの好奇心です。子どもに、「誰かに伝えたい」という好奇心があるかどうかが、本を作るようなアウトプットではとても大切です。そういった好奇心を育ててあげるためにも大切なことは、やはりアウトプットの楽しさを教えてあげることなのです。
ぜひ子どもたちが何かアウトプットしてくれた時には、その素晴らしさを認めてあげてください。
どんな子どもたちも、素晴らしい可能性に溢れています。
だいじょうぶ。
まあ、なんとかなりますよ。
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