子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

障がい児/者の親なきあと

2022/07/18

記事【障がい児/者の親なきあと】

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。今日は、Yukuri-te1周年記念講演会をvoicyの生放送で行っていました。

ここには、Yukuri-te1周年記念講演会の第一部の内容を記載したいと思います。

第一部のテーマは、「障がい児/者の親なきあと」でした。お話しいただいたのは、首藤徹也(シュドウ テツヤ)さんです。首藤さんは、一般社団法人あしたパートナーズの理事で、障害福祉分野を得意としているファイナンシャルプランナーさんです。 あしたパートナーズは、障害のある子のいるご家族向けの法人で、親なきあとの本人の財産管理、親から子への資産の残し方などについて、法務面、ファイナンス面の専門家がサポートをしています。

そんな 首藤さんは社会福祉協議会や障害福祉事業者での講演も多く実施していらっしゃいますので、障がい児/者の親なきあとの財産管理についてのお話をうかがいました。

まず財産管理の方法を、「親族」にお願いする方法と、「親族外」にお願いする方法に分けます。

財産管理を「親族」にお願いする場合は「兄弟」と「親戚」、財産管理を「親族外」にお願いする場合は「施設(グループホームなど)」「社会福祉協議会(日常生活自立支援事業を利用)」「成年後見制度」を利用する方法があります。

財産管理を「親族外」の「施設」にお願いする場合に、「財産が多い方」「財産の種類が複数あって複雑な方」というケースでは、施設が財産管理を遠慮してしまうこともあるそうです。その場合は、「成年後見制度」を検討することになるそうです。

財産管理を「親族外」の「社会福祉協議会(日常生活自立支援事業を利用)」にお願いする場合にも、財産額が200〜300万円以上だと、財産管理を遠慮されてしまうこともあるそうです。その場合は、やはり「成年後見制度」を検討することになるそうです。また、「社会福祉協議会(日常生活自立支援事業を利用)」に財産管理をお願いする場合、月2千円程度の負担でよいですが、障害のある方本人が自分で申し込み書の記載を行わないといけない(ただし、現場で配慮はさまざま)こともあるようです。

ここまでは、「親族外」へ財産管理を依頼した場合のことを考えました。

ではここから「親族」へ財産管理をお願いする場合を考えてみます。その場合には、「親族」の意図とは異なり横領と判断されてしまうケースもあることに注意したい、ということを教えていただきました。

例えば、成年後見制度を利用して、兄弟が後見人になり財産管理する場合、1年1回家庭裁判所へ報告の必要が出てきます。家族のことなのに、他人へ報告することになるということです。そして、兄弟が成年後見制度で後見人になろうと思っても、財産が多ければ多い(800万円〜1000万円以上)ほど、兄弟が後見人になりにくく、弁護士などの他人が後見人になることも少なくないということでした。

また例えば、障害のある方に残された財産を兄弟が銀行口座から引き出して、悪気はなく一部を自分自身のために使用した場合、場合によっては外部から財産横領の指摘を受けてしまうケースもあるとのことでした。

ここまでは、「親族」へ財産管理を依頼することを考えました。「親族」への財産管理を選択したとしても、それまでとは違い、その財産管理に他人が関わる可能性がわかりました。

そして、障害のある方本人がATMなどで財産を引き落とすことができる場合には、散財してしまうリスクにもつながることを考慮する必要があります。一方、障害のある方本人がATMなどで財産を引き落とすことができない場合には、親族外(施設、社会福祉協議会、成年後見制度)に任せることにはなりますが、その場合には横領されてしまうケースもあったとのことでした。

これらのことを考慮すると、親御さんの財産を残すうえで、障害のある方が自分で財産管理可能なのかどうかという視点と、そして障害のある方本人の口座には必要な金額の財産だけ入っているという管理が大切ということでした。

親なきあとの財産管理については、あらかじめ家族内で話し合っておくことが良いですね。

準備さえしておけば、だいじょうぶ。

まあ、なんとかなりますよ。

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