記事【メモから変わる子どもの生活】
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。
今日は暑かったですね。まだ6月なのに、こんなに暑いのですね。びっくりしました。仕事で外を歩いている時に、すれ違う人たちが小型の扇風機をもって歩いている光景をたくさん目にしました。みんな、熱中症対策をしっかり行なっているのですね。皆さんも、熱中症にならないように、どうぞ気をつけてください。
今日は、ワーキングメモリー(working memory)について考えてみたいと思います。以前の放送でも、このワーキングメモリーについて話したことがありました。ワーキングメモリーとは、ある情報を短時間持ち続け、かつ処理をする能力のことでしたね。簡単な計算だったり、板書だったり、指示をされた時に、短時間物事を覚えておくという形で利用されるものです。
ワーキングメモリーの機能が低いと、短期間記憶を保持していることができないので、例えば忘れ物が多かったり、指示した内容を忘れてしまう、ということが起こります。学校での生活で、そんな問題を指摘される子どもの中には、このワーキングメモリーの低さが原因の場合もあるのです。
ですから、ワーキングメモリーの機能が低いと、子どもは指示された内容を忘れてしまって、そのことを注意されてしまうことがあります。そんな風に、ワーキングメモリーの機能が低いことへの対策をせずに、一方的に「しっかり覚えておきなさい」だけの指導では、子どもの自己肯定感が下がってしまうだけですね。
例えば学校でよく行う板書は、黒板に書いてある内容を短期的に記憶してノートに書き写す、という作業をします。ですから、ワーキングメモリーの機能が低いと、黒板の内容を短期的に記憶する板書も苦手になることがあるのです。
そうやって、指示された内容を実行することが苦手だったり、板書が苦手だったりすると、授業についていけなくなることがあります。そして学力が低下したり、先生やお友達といっしょにうまく生活できない状況になることもあるのです。すると次第に学校から足が遠のいて不登校になってしまうこともあります。
ワーキングメモリーの機能が低いと、一時的に記憶し処理するのが苦手になる。そういった子どもには、色々な工夫でワーキングメモリーの機能の低さを補う方法があります。
その方法の一つが、メモをとるということです。言われたことをメモしておくだけで、短期的な記憶を助けることができるものです。単純な工夫ですが、そういったちょっと不足している能力を補う習慣が確立できるかどうかで、その子どもの生きやすさが変わってくるものです。
もちろん大人にも、指示されたことを忘れやすい人はいます。しかも、自分のそういった特徴に気づかずに、ただ「指示された内容を実行できなかった」という風に終わらせてしまう人もいるものです。それはもったいないですね。
また、上司の立場の人たちも、ワーキングメモリーという考え方から部下の行動を観察してみると、部下の行動のカラクリがわかり、指示の内容を工夫できるようになるものです。
ただ単純なメモを取るという行動が身に付くだけで、人の生きやすさが変わります。
ぜひ参考にしてみてください。
だいじょうぶ。
まあ、なんとかなりますよ。
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