記事【Web3の世界でいかされる子どもの個性】
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。
今日は、子どもの個性がいかされる未来に期待して、「Web3の世界でいかされる子どもの個性」というテーマでお話をしたいと思います。
みなさんは、Web3(ウェブスリー)って知っていますか?Web3とは簡単に言うと、情報を暗号化して管理することでその情報の価値を保つことができるインターネット環境のことですね。そういったインターネット環境を利用することで、より個人が個人の価値を世界にアピールできるようになることが期待されています。
今のインターネット環境というのは、GAFAとして知られるグーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、そういったITプラットフォーマーたちの環境に依存しながら、個人の価値を売り出す市場があります。一方でWeb3で期待されるのは、そういったGAFAといったものに依存することなく、個人ベースで個人の価値を市場にアピールできることです。
そんなWeb3の世界が、これからを生きる子どもたちの個性を引き出す場になってくれればと思っています。そういった新しい次の世代のインターネット環境に注目が集まっているのですね。
でも、そんなWeb3への期待をお話しする前に、触れたいことがあります。ラジオネーム「あじさい」さんへの「もう十分頑張りましたよ」という先日の放送に対して、「あじさい」さんからお返事をいただいたのでご紹介したいと思うのですね。Yukuri-teのLINEにいただいたお返事ですね。
「こんばんは。voicyでお答えいただき、本当にありがとうございます。タイトルが、もう十分がんばりましたよ、だったので、私のことではないかと思いましたが、驚いたことに私のことでした。というのも、私自身そんなにがんばった覚えもないし、世の中に伝えられるような体験をしたとも思っていませんでした。
みなさんからコメントもいただき、本当にありがとうございます。何度も何度も繰り返し聴きました。何度聞いても涙が止まらず、昔の寂しかった子ども時代の思いを今やっと人に受け止めてもらえた瞬間でした。このvoicyは私の宝物です。娘との関係に悩んでいましたが、先生がおっしゃっていたように、今自分を責めることはしなくていいんだと考えを改めます。
娘は母という存在がいるのに、なぜあんなに反抗的な態度をとってくるのか、私は母がいなくて寂しかったから、お母さんがいるだけで幸せだろうに、と娘に嫉妬心のようなおかしな感情を抱くこともありました。でも、そんなこと、娘が知るはずもないし、考えても仕方のないことを考え巡らせるのはやめます。何かあればこのvoicyをまた何度も聞かせてもらいますね。先生にご相談できて本当によかったです。ありがとうございます。これからも応援しています」。
「あじさい」さんからのお返事でした。どうもありがとうございます。幼い頃から親を亡くしていらっしゃる「あじさい」の経験には、今の社会が知るべきことがたくさん詰まっています。「あじさい」さんは、「私自身そんなにがんばった覚えもない」という気持ちを持っていることや、「お母さんがいるだけで幸せだろうに、と娘に嫉妬心のようなおかしな感情を抱く」ということを教えてくれました。
子ども時代に親を亡くした人の気持ちを社会が理解することは、子どもにとっての親の存在の意義を考えるうえでとても大切ですね。それだけではなくて、人がどんな環境に置かれていようと、やはり人とつながりながることが、生きるうえでどれだけ大切かということも、わかっていただけたのではないでしょうか。
それに、様々な環境に置かれる子どもの心の様子もわかっていただけるかもしれません。例えば、子どもが不安が生まれて当前、寂しさが生まれて当たり前の環境に置かれていたとしても、その子本人はあたかも困っていないかのように振る舞ってしまう。そんなことが少なくないのですね。それが、子どもというものです。それは自分の置かれた環境を受け入れようとするから、という見方もあります。そうやって、子どもは頑張りすぎるのです。
そうやって頑張りすぎた結果、子どもはうまく生活に適応できなくなることもあります。そして、子どもの心を理解していなければ、その適応できていない子どもを叱ってしまう大人もいるのです。本当は、その子がうまく生活できないのは、その生活背景に原因があるのに、その子のせいにしてしまう。そういう現実があるのですね。
仮に子どもがうまく生活できない場合、その原因をその子に求めるのではなくて、その子の背景にあるものに原因を求めようとできるかどうか。そういう大人の姿勢が、子どもの心を豊かに育てるうえで欠かせないですね。
僕は定期的に児童養護施設に支援に行かせていただいたり、子どもの支援活動に参加させていただいていますが、恵まれているとは言い難い環境で暮らす子どもたちが困った行動をとってしまうことは少なくありません。でもそれは、その子自身が悪いというよりも、それまでに経験した辛い生活背景に原因があるのですね。
そういった子どもの心を理解するためにも、社会は、幼少期に親との温かい関係を経験しなかった子どもたちがどんなことを思って生きているのか、そういったことを知るべきと思っています。
そういうことを思う僕は、そんな子どもたちのもう一つの世界を知っています。それは、幼少期に様々な感情の中で暮らした子どもたちが持つ深い心の世界です。色々な感情を持って育ったからこそ、その子なりの特別な世界観を持っていて、そこには様々な可能性が隠れていると思っています。ですから、その子の人生を悲嘆するだけで終わらず、新しい可能性を感じているのです。
これまでの環境では、なかなかその独自性を発信できなかったかもしれません。でも、これから例えばWeb3という世界が展開されていく中で、これまで発信できていなかった個性の価値をどんどん発信できる世界が待っているかもしれません。Web3という新しいインターネット環境を通して、それぞれの人生の価値観を価値ある情報に変えて、存分に吟味できる世の中になることを期待しています。
日本は少子高齢化で頑張らなければならない部分もありますが、Web3も含めて、人生の可能性が様々に広がっていく要素もあるわけです。そんな変化を楽しみながら、子育ても楽しめたらいいですね。
だいじょうぶ。
まあ、なんとかなりますよ。
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