小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te代表理事
湯浅正太
子どもの「生きる」を考える

Part3つながりの意識を量から質へ変化させていく

2022/06/22

記事【Part3つながりの意識を量から質へ変化させていく】

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

今日は、僕の一般社団法人Yukuri-teが1周年を迎えました。色々な人の理解があり、おかげさまでやりたい放題させていただいています。本当に感謝ですね。だから1周年記念講演会を行おうと思っていますが、それは来月予定しています。voicyだけで生放送というのもいいかな、と思っています。

そんな今日は、地域の特別支援学校に行って、絵本の朗読をさせてもらいました。子どもたちや先生方に聞いていただいたのですね。なんとなく心の片隅に思い出として残ってくれれば嬉しいなと思います。

それでは、今日のお話しをしたいと思います。今日は、一昨日・昨日の放送の続きですね。「つながりの質を大切にする、とはどんなことか」を考えたいと思います。

例えば、あなたに大切な人がいたとして、その大切な人と離れて、あなたは異国の地に行かなければならなくなったとします。あなたはきっとそんな大切な人の写真を携帯の待受画面にしたり、写真をお財布やカバンにしまっておくかもしれません。そうすることで大切な人とのつながりを感じられるからです。その写真が心の拠り所になっている、ということです。

その大切な人と会う機会は多くは設けられないけれど、心にはその人との強いつながりができていることが想像できると思います。それが、高い質のつながりというものです。

子どもが様々な経験を積む時、不安が生まれることがもちろんあります。そんな現場には親がいないことも多いものです。そんな成長の過程で、あなたはどんな風に子どもに心の拠り所をもたせるか、ということを考えてみてください。

お母さんやお父さんは、二人はいません。特別な事情がない限り、頼れる母親や父親は一人ずつなのです。それは、どの家庭も同じ。そんな風に親の数は限られているからこそ、それぞれの子どもたちに、個別に多くのつながりを作ることには限界があるのです。それは、そういうものなのです。

しかも、子どもが成長し外の世界の探索をするようになると、親子でつながる機会を設けることはどんどん難しくなるかもしれません。でも、それはそれでよくて、それが、社会で生きることを選択した人の人生というものです。

そういった、社会で生きる人の人生を考えるからこそ大切にしたいのは、「要所でつながり、要所をつなげる」ということです。

まず「要所でつながる」というのは、親子で関われる場面では、その貴重な機会を大切に扱うということです。親子で関われる機会が少なかったとしても、関われるその一瞬一瞬を大切にするということですね。例えば、目を合わせて挨拶を交わせるのか。ちょっと不安そうな表情を浮かべている子どもに、そっと触れて安心感を届けることができるのか。

親子の関わりの数は少ないかもしれないけれど、つながれるときにしっかりつながるということです。子どもと触れ合う要所要所の関わりを大切にするのですね。

そして、親が関われない時には「要所をつなげる」ことを意識します。「要所をつなげる」とは、親がいない時には、子どもの心の中で親を感じられる状況をわざと作ってしまう、ということです。そうやって、親子で会えない時にも心の中には親がいる心の状況を作り出す、ということです。

面白いことに、そのうえでも欠かせないのは、先ほど最初に大切と言った「要所でつながる」ということです。

まず要所でしっかりつながっていれば、子どもの心の中に親の印象が強く残ります。別に近くに親がいなくても、親は心の中にいるようになるものです。逆に、要所でつながってもいなければ、心の中に親の存在は薄く、それをさらにつなげることはできません。

そのことを理解したうえで、「要所をつなげる」ということをさらに考えたいと思います。

「要所をつなげる」方法の一つに、移行対象を利用するということがあります。子どもは、不安が生まれた時には親とつながろうとします。そのことを愛着行動とも言います。そういった愛着行動をとることで、子どもが自分の不安を解消しようとするのです。そして、親という愛着対象がいない時に利用する他の代理の愛着対象、それを移行対象と言います。

例えば、いつも大事に決まったタオルやぬいぐるみを持っている子どもがいますね。それが、移行対象です。移行対象は、親とつながれない時でも、親の代わりにそばにいてくれる安心できる存在なのです。子どもは移行対象のことを教えてもらわなくったって、そういう移行対象を持つようになります。人の本能として、そういうものが必要なことを知っているのです。

人は社会で生きるうえで、親と離れることを経験します。それは、社会で人が生きるうえで必要なことなのです。だから、親から離れられるように準備をしてあげる必要があります。最も重要なことは「要所でつながる」ことですが、そのうえで移行対象を利用することで、親がいない時にも親を感じることができる環境を作ってあげられます。それが、「要所をつなげる」ということです。

「これはね、〜ちゃんのためのお守り。ママは、〜ちゃんのそばにずっといるのよ」、そんな風にママの匂いのするタオルやちっちゃなキーホルダ、なんでもいいのです。お弁当箱や水筒だって、そんな対象になり得ます。ママが感じられるグッズを一緒にもたせてあげる。そうやって、移行対象をわざとつくって、親子で関われる要所の間をつないでいきます。

実は、他にも要所をつなげる方法はたくさんあります。例えば、写真です。親子の写真をカバンの中に入れておいてあげる。親子の写真を部屋に置いてあげる。そうやって、親がそこにいなくても、親とつながっていることがわかる写真をわざと設けてあげる。それは、要所をつなげるうえで、とても効果があることなのです。

人はそれを知っているから、携帯の待ち受け画面に大切な人の写真を載せるでしょう。携帯電話がなかった時代には、それこそ写真を懐に忍ばせていたでしょう。そうやって、自分自身で要所をつなげていたのです。

子どもが小さい頃は確実につながる「量」が大切なのですが、子どもが成長するとともに、大切なものはつながる「質」に変わります。そういうものなのです。双子や兄弟姉妹という子どもたちそれぞれの対応も、「要所でつながり、要所をつなげる」ということを意識してみてください。

そういうことを意識できてくると、親子のつながりを意識させる演出って、たくさんあるものだなとわかってくるものです。そうやって、双子あるいは兄弟に、色々な演出をしてあげてみてください。演出であれば、色々な工夫があることに気づくはずです。

今日はこれで終わりますね。

だいじょうぶ。

まあ、なんとかなりますよ。

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