小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te代表理事
湯浅正太
子どもの「生きる」を考える

毒親を乗り越えるためには

2022/06/16

記事【毒親を乗り越えるためには】

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

新しい書籍「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」が、多くの方に見ていただけているとうかがいました。とても嬉しいですし、ありがたい限りです。

この書籍の表紙は、あの有名なtamimoonさんに描いていただけたのですね。tamimoonさんは、作品集『IDENTITY』を発売されたり、個展を開いたり、精力的に活躍されている新進気鋭のイラストレーターさんですね。そんなtamimoonさんに表紙を描いていただけることが決まった時には、嬉しくて大喜びしました。

そんなtamimoonさんに、感情が入り乱れる医療という世界に呑まれずに、自己を強く主張する若い医師を描いていただけて、とても嬉しいです。この「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」では、そんな表紙の力強さを、ぜひ感じていただけたらと思います。

今日のお話の内容ですが、最近いただいたコメントの中に「毒親」というワードがあったので、今日は「毒親を乗り越えるためには」というタイトルで考えてみたいと思います。少しダークな内容になりますが、大切な事柄なので触れたいと思います。

毒親というのは、過干渉だったり、過保護だったり、必要以上に支配的であったり、あるいは親自身の価値観を押し付けるなどして、子どもに悪い影響を与える親のことを言います。親の意識は問いません。ただ、そういった毒親は、無意識のうちに子どもに悪い影響を与えてしまっていることが少なくありません。

そんな毒親を乗り越えるポイントは、毒親以外の安心安全な存在を見つける、ということです。毒親以外の安全基地を見つけると言ってもいいかもしれません。

実は世の中にいる毒親と言われる方の中で、自分の関わりが子どもに悪影響を及ぼしていると自覚している毒親は限りなく少ないのが現実です。もともと人への関わりが、自然とそうなってしまっているからです。悪意があって、子どもにとって悪影響を及ぼすであろう関わりをしているわけでもないのです。そして悪気がないからこそ、厄介であるとも言えるのです。

ただ、そんな毒親と言われている親御さん自身も実は、たいてい子どもの頃に適切な愛情表現を受けずに育っている場合が少なくありません。子ども時代に、自分自身に不安が生じた時に、親から助けてもらうのではなく、怒りなどの誤った感情で対応されてしまった。そうやって、助けてもらいたい時に、助けてもらえなかった経験を積んでいることが少なくありません。つまり、子ども時代に適切な安全基地が確保されないまま、毒親に成長していることが少なくないのです。

そう考えると、毒親自身が悪いかというと、そうでもない、ということも理解できると思います。毒親自身は、無意識のうちに適切な人への関わりができずに育ってしまったということです。それは、その毒親自身にもどうしようもできなかったことでもあるわけです。

そして、さらに過酷なことには、毒親のように、一旦成人になった人はなかなか変わることができないということです。毒親自身が悪いというわけではないうえに、自分でも変えられない。そういうものなのです。それを一生抱えて生きていくことになるのです。仮に自分で変わろうと思った出来事があったとしても、ふとした瞬間に毒親の素質が現れてしまうのです。

そういったことを理解していただけると、あなたが毒親を乗り越えるには、その毒親自身を変えようとする解決方法はあまりうまくいかないことがわかります。本来であれば、子どもは親と安心安全なつながりをつくりたいところですが、それを毒親に求めることはできません。

であれば、どうするのか。毒親に安心安全な存在になってもらおうとするのではなく、他の存在にその役割を求めます。例えば、彼氏であったり、彼女であったり、他の存在に安心安全な存在、安全基地になってもらうのです。

そうすることによって、ようやくあなたは毒親にうまく対応できるようになります。そして、あなたにとって安全基地となってくれた存在を基点にして、様々な経験を積んでいくことができるようになるのです。自分にとって安心できる存在がいることが、どれほど自分の行動を救ってくれるのか、そういったことを感じていくことになります。

毒親の特徴は、安心安全な場所にはなり得ない、ということです。そういう存在と子どもがつながっている限り、社会で抱えた不安を適切に乗り越えることはなかなかできません。しかもその乗り越えられないことを、毒親は子どものせいにしたがるものです。そうやって子どもが追い詰められるわけです。

すると当然ながら、子どもの自己肯定感は上がっていきません。毒親に操作されながら、自己肯定感も育たない。毒親のもとに育つ子どもは、そういった悪循環にハマってしまいます。

世の中には、毒親のように、他人に無意識のうちに悪影響を及ぼしてしまう存在はいるものです。あなたの会社の中にも、学校の中にも、いるかもしれません。その人本人の責任ではないのですが、やはり社会は困ってしまいます。

そういう実態を理解すると、社会に安心安全なセーフティーネットを作ることが大切であることがわかります。心が安定した存在が子どもたちに関われるように、社会の中に安心安全な存在を用意するということです。しかも家庭的な背景によらずに、経済的な状況によらずに、子どもが触れ合える安心安全な存在を社会に用意する、ということです。

今の社会的環境を考慮すると、そのための場所は一つしかありません。それは、教育現場です。豊かな心を育てられる教育の中で、心の余裕のある安心安全な先生をしっかり確保することこそ大切なことです。しかも、そういった教育機関がしっかり自治体と連携していること。そうやって子どもたちが安心できる環境を設けることが、大切です。

そのためには、やはり教育機関で働く先生方の労働環境を良くすることこそが、子どもの未来にとって重要であることがわかります。でも、公的な機関はどうしてもトップダウンです。その組織は、トップの影響が強く働きます。今若い先生方がいくら声を上げても、なかなか労働状況は変わらないことが目に見えています。

だからこそ、外の人間が声を上げるべきと思っています。教師の労働環境を良くしてください。それは、子どもたちを救うために必要不可欠なことです。子どもに関わる専門家として、そのことを切に願います。

だいじょうぶ。

そうやって声を上げていきましょう。

まあ、なんとかなりますよ。

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