小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te代表理事
湯浅正太
子どもの「生きる」を考える

反抗期という捉え方よりも大切な視点

2022/06/13

記事【反抗期という捉え方よりも大切な視点】

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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

早速今日はコメントをご紹介したいと思います。

ラジオネーム「みほ」さん。コメントどうもありがとうございます。

「イヤイヤ期について教えてほしいのです。長女は結構激しかったので覚えているのですが、次女のイヤイヤ期をほとんど覚えていません。無いこともあるのでしょうか?自分で何でもやりたがったので、危険がない程度に何でもやらせていました。癇癪もなく、もともと穏やかな性格なので、母がイヤイヤ期と気づかないうちに過ぎてしまったのでしょうか?もし、イヤイヤ期がなかったとしたら、問題になることはあるのでしょうか?」

どうもありがとうございます。例えば、子どもが親に自分の主張に気づいてもらえずに過ごした場合、成長した後に問題になることがあるか」と考えると、「はい、あります」となります。

ただ、イヤイヤ期と捉えるのは、周りの大人の都合であり、周りの大人の認識次第です。本人なりの主張があっても、それをイヤイヤ期と捉えるかどうかは周りの大人次第というところもあります。ですから、イヤイヤ期が無いこともあるとなりますし、周りの大人が「イヤイヤ期がなかった」と捉えていたとしても、本人なりに主張して、それを親に受け止めてもらえていればOKなわけです。

反抗期については、2〜4歳ごろにあるイヤイヤ期と呼ばれる第一次反抗期や、中学生以降にある第二次反抗期があるとされていますね。2歳頃から多くの子どもが「イヤイヤ」と反抗するようになります。多くの子どもたちが自己主張を強める傾向にあるため、イヤイヤ期あるいは第一次反抗期なんて呼び方をして、子どもの行動をパターン化して理解しようとします。この時期には、子どもの主張がどの年代に比べても強くなるということです。

ただ知っておいていただきたいのは、この二つの反抗期が大切という理解よりも、「新しい外の世界を知ろうとする人生のステージには主張が強くなる」ということを知っていただく方が大切です。だって、子どもが反抗する時期なんて色々あるからです。そしてその反抗する時期に一致する特徴は、新しい外の世界を知ろうとする人生のステージに子どもが上がった時ということです。

例えば、イヤイヤ期あるいは第一次反抗期を考えてみましょう。それまで単語を発したり、ヨチヨチ歩きをようやくできていた子どもが、2歳以降になると積極的に言葉を発するようになり、どこへでもスタスタ歩いて行けるようになります。だからこそ、知らなかった世界をどんどん探索できるようになるのです。

そうやって新しい世界を探索できるようになると、そこには楽しい体験ばかりがあるわけではありません。その新しい世界の勝手が分からないので、不安が生まれたりします。そして、周りに教えてもらったり、周りにやってもらうことで、新しい体験をどんどん経験できるようになるのです。だからこそ、そんな時に、自分の感情をまだコントロールできない幼い子どもたちは、感情を爆発させてしまうのです。

それを大人の世界で都合のいいように解釈すると、「反抗している」とされてしまうわけです。子どもたちは、言葉も覚えて、身体も動くようになって、新しい世界を探検したいのです。そうやって世界を切り開くために、子どもたちは主張しているだけです。お母さんやお父さんが嫌いで反抗しているわけではありません。ですから、反抗期ではなく、主張期です。

そんな子どもたちも、年齢が増すにつれて周りの世界に慣れてくると、行動が落ち着きます。だけれど、例えば新しく小学校へ入学したり、転校したりして、落ち着くことができない環境に子どもが置かれたりすると、やはり不安を抱いたり、ソワソワして落ち着かないこともあるものです。そうやって、自分の困難を克服するために主張することもあります。「あら?遅いイヤイヤ期?」なんて思う親御さんもいるかもしれません。でもそれも、自分の世界を自分の居心地のいい世界にするために整えているだけなのです。

ですから、大人が子どもの反抗期と感じるシチュエーションは、たいてい子どもが新しい世界を開拓して、自分にとって居心地の良い場所を探している状況に他なりません。そしてその時に大切なことは、子どもたちに生まれる不安を安心感で包んであげるということなのです。

中学生以降の第二次反抗期も、カラクリは同様です。子どもに色々な世界を知りたい欲求が高まり、自分のアイデンティティを確立する大切な時期になります。そういった経験の中で不安が生まれて、心が落ち着かず主張する。でも、確かに幼い頃とは大きく違って、子ども自身は言葉が達者になって、体力もついて、相手の気持ちを探るということもできるようになっています。だから、その主張も強く感じられるものです。主張が、より反抗に近くなることもあるでしょう。

でもこの第二次反抗期でも大切なことは、子どもたちが抱える不安を安心感で包んであげるということです。

ここでちょっと脱線してしまいますが、第二次反抗期に注意したい大人の勝手な解釈について触れたいと思います。例えば、中学生以降にグレてしまってタバコを吸って、大声で荒い口調で親に反抗する子どもに対して、「反抗期だから仕方がない」と解釈する大人がいます。でも、その解釈は間違っています。何が間違っているかというと、その反抗する原因をすべて子どもに押し付けようとしている点です。それでは子どもがかわいそう。そう思います。

先ほどのような、グレてしまう背景には必ず、子どもの不安を親子関係で解消できなかったそれまでの生活背景があるものです。そういったこれまでの背景があったうえで、色々な世界を知りたくなる時期に差し掛かったからこそ生まれる不安を、安心したあたたかい親子関係で解消できずにいるだけのことがあるものです。

例えば、幼い頃に不安が生まれた時、安心できる関わりでその不安を解消してもらうのではなく、しつけと称して暴力を受けて対応されてしまった子どもたちは、中学生以降に強い反抗が現れます。

それは、「反抗期だから仕方ない」というよりも、「子どもたちが抱える不安を安心感で包んであげられていなかった」過去があるからこそ、主張がさらにエスカレートしてしまっているだけなのです。

子どもの誤った強い反抗には、それまでの親からの関わりが強く関係している。反抗している子どもが本当に求めるものは、親からの優しい安心できる関わりであることを知っているからこそ、強く反抗しグレている子どもたちをみると切なくなるのですね。

第二次反抗期のところで、少し話が逸れてしまいましたが、どんな時期であっても、子どもたちの主張や不安を安心感で包んであげるという姿勢があれば大丈夫です。

ところで、子どもがどの程度主張するかは、子どもが何番目に生まれてくるかにもよりますね。そのことは明日お話ししたいと思います。

子育てでは不安はつきものです。

だいじょうぶ。

まあ、なんとかなりますよ。

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