子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

共通点を見つける技は諸刃の剣

2022/06/06

記事【共通点を見つける技は諸刃の剣】

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

#共通点を見つける技は諸刃の剣 #子育て #小児科医 #湯浅正太

こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

昨日、ラジオネームよしひろさんのコメントにお返事をさせていただきました。仕事の感覚が違う、あるいは考え方が違う年の離れたスタッフと、どうやって一緒に仕事をしていくかということを考えてみました。このことをもう少し考えてみたいと思います。

例えば、「仕事に対する感覚が違う」「仕事に対する考え方が違う」のように、自分との「違い」を感じるということは、自分の心が落ち着かなくなるということです。相手に自分との違うを感じる時、人は自分を守ろうとします。自分とは違う他人から、自分を守ろうとするものです。それは、良い、悪いというよりも、それはそういうものなのです。

でも実は、その違いを楽しめる自分の心を用意できるかどうかが、人生を大きく左右するものです。そんな、自分とは違う相手、自分とは違う世界を楽しめるように、昨日の放送では、そんな相手との共通点を見つけることの大切さをお話しさせていただきました。それはある意味、違いを楽しめる自分を用意するための手段ですね。

どうして、自分との違いを楽しめるようになると、人生が大きく変わるのでしょうか。それは、自分の知らない様々な世界を開拓できることで、自分を知る機会を得られるようになるからです。つまり、自分のアイデンティティをどんどん確立していくことにつながるからです。

逆に考えると、自分のアイデンティティを確立するためには、大きな障壁があります。それが、自分とは違うものに遭遇していくという工程です。自分の心が不安定になりうる、自分とは違う存在を知りにいくという行為は、自分のアイデンティティを確立するために必要不可欠な行為なのです。

ですから、自分と違うものに遭遇する手段を知っておくことが大切なのですね。その手段が、相手との共通点を見つけるということでした。

面白いことに、人は本能として、自分とは違う相手を見つけた時に、共通点を見つけて落ち着こうとします。無意識のうちに、共通点を見つけようとするものです。それは、子どもも同じです。子どもも、友達と触れ合う中で、自分との共通点を見つけるという作業を通して、どんどん他人と交流していきます。

昔の放送でお話ししたかもしれませんが、子どものアイデンティティを育てるために大切なことがありました。それは、この「自分とは違う、他人を知る」という経験を積ませてあげるということです。自分とは違う色々な友だちを知る、先生を知る。自分が育った環境とは違う環境で育った人たちのことを知る。

そうやって、自分とは違う世界を知るからこそ見えてくるものが、他人とは違う自分です。そうやって、自分らしさが見えてきて、アイデンティティが確立されていくのです。それだけ、人は本能としてアイデンティティを求めているのです。

でも、人がもつ「共通点を見つけて心を安定させる」という手段は、未熟な人が使うと、誤った展開を見せます。それが、いじめであり、争いです。

人は、自分と違う他人を感じると、不安を生じます。だからこそ、その他人との共通点を見つけようとして、共通点がある者同士で集団を作るようになります。でもしばらくすると、共通点が見出されて作られた集団は、そこで落ち着こうとします。落ち着こうとするからこそ、自分たちを守るために、その集団と違うものを排除する心が生まれるのです。

自分の心をコントロールできない未熟な人は、そうやって他人を排除しようとする心に翻弄されて、いじめや争いを起こしてしまいます。それだけ、「共通点を見つける」という技は、人類にとって諸刃の剣なのです。人の心をある程度理解できる人たちが使えば、その社会は発展していきます。でも、人の心を理解できていない未熟な人たちが使えば、争いにより自滅してしまうのです。ですから、「共通点を見つける」という技を使う時には、ぜひ気をつけてみてください。

共通点を見つけることを、良い意味で利用していただきながら、世界を広げていき、アイデンティティが確立してください。

例えば、僕が大学生の頃、色々な国に行って、様々な国の文化に触れて、様々な宗教の考えに触れて、貧困社会や裕福な社会を感じる機会をもちました。そういった経験を通して、自分らしさに気づくようになり、自分だからこそできることに目を向けられるようになります。すると、生きるということがものすごく楽しくなるのですね。生きることが楽しいから、長いようで短い人生を感じるようになるものです。

あなたも経験したことがあると思います。とっても楽しい夏休みは、あっという間に過ぎていくのです。楽しいと感じた時間は、短く感じられるものなのです。それは、人生も同じです。他人とは違う自分というものがぼんやり見えてきて、自分らしさの面白さに気づけると、人生が楽しくなります。人生が楽しく感じられるので、その人生の時間もあっという間に過ぎていくのです。だから、人生が有限であることを痛感するものです。

僕は小児科医をしながら、色々な人の自分との違いを感じながら働いています。看護師さんや事務の方、それに患者さんなどとやりとりをしながら、自分との考え方の違いや振る舞い方の違いを感じる機会がたくさんあります。そんな生活の中で注意しているのが、自分の心の行方です。自分との違いを他人に感じる中で、「あ、いま自分の心がざわついた」、そんな風に自分の心の行方を探りながら、小児科医として過ごしています。

そんな心に翻弄されずに、それでもあえて違いを楽しむ。そんなことを意識しています。

例えば、僕が書籍を作る時のことを考えたいと思います。本のカバーや文字の様子、そういったものを編集者の方たちと話し合いながら決めていきます。当たり前ですが、編集者の方は僕とは違う人間です。僕とは違う経験をしながら育ってきていて、僕とは違った才能をもっています。僕からしてみたら、それは宝の宝庫です。

編集者の方が「コレはいいと思うんです」と言ってくれれば、僕はたいてい「それでいきましょう!」とお返事をします。それは、自分にはない編集者の方々の才能に興味があるからです。自分とは違うものに、興味があるからです。その違いを楽しもうと思っているからです。僕にはない別世界に行ってみたい、そう思うからですね。

例えば、若い医師から「〜したいと思いますがどうでしょうか?」と言われた場合も、たいていは「じゃあ、そうしてみよう」と返事をします。「ダメだよ」と否定することは、あまり無いように思います。それも、他の医師の可能性に興味があるからです。他の医師の選択とともに、違う世界を試してみる。そこに強い関心があるのです。

ですから、共通点を見つけるという技を良い意味で使い分けながら、あらゆる違いを楽しんでみてください。

だいじょうぶ。

まあ、なんとかなりますよ。

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