記事【共通点を意識して心を操作する】
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。
今日は群馬での学会がようやく終わって、自宅に戻りました。やっぱり自宅に戻ると、ホッとしますね。妻も、息子たちもいて、これが自分の落ち着く空間なのだろうと、あらためて思うんですね。
今日も早速コメントをご紹介したいと思います。
ラジオネームよしひろさん。コメントどうもありがとうございます。
「いつもありがとうございます。先日コメント読んでいただいた五児の父です。小さいながら事業を運営していて、そこには新卒も含む新しいスタッフが数名います。私が日常のコミュニケーションが苦手な分、オリエンテーションという形でお互いの想いが言える場をつくることで(一般教養も伝えます)、横と縦のつながりを作ろうと、機会を作っています。ただ、ひと回り以上下のスタッフには仕事の感覚の違いに驚かされています。アドバイスいただけると嬉しいです。今年のうちには、上の子どもたちも来てほしいと思っています」。
よしひろさん、どうもありがとうございます。仕事の感覚が違う、あるいは考え方が違う年が離れたスタッフと、どうやって一緒に仕事をしていくかということですね。これは、どの社会でも感じることですよね。上司も、部下も、そういった違いを感じながら一緒に働く。それが社会の面白さであり、難しさですよね。
大人の発達障害が注目されるようになったように、やはりコミュニケーションが苦手だったり、感情をコントロールできない人も社会には多いですね。周りの人から「あなたは発達障害かもしれないから、病院を受診した方がいいよ」と言われたり、あるいはネットの情報から発達障害のことを知り、「自分は発達障害かもしれない」と思い病院を受診する人がいる世の中です。
そんな多種多様な人、それぞれの正義が異なる人たちが、これからの社会を生きていくにはどうしたら良いのか。そこでオススメなのは、「共通点を意識する」ということです。あえて自分から、相手との共通点を意識して、自分の心を操作してしまうことをお勧めします。
人は、自分とは異なる存在に嫌悪感や違和感を感じる生き物です。人の心はそういう風にできているので仕方ありません。逆に、相手に自分との共通点を見出すことで、人の心は落ち着くものです。面白いもので、人の心はそんな風にできています。
人はそのことを無意識のうちに利用しています。例えば、「〜出身ですか、僕もそこの出身なんですよ」といった会話を聞いたことはありませんか?自分と相手との共通点を見つけて、なんだか和む場面を経験した人も少なくないと思います。
実はこの「共通点を意識する」ということは、医療現場でもよく利用します。例えば医師と患者さんがいたとして、その二人がある病気に対してまったく異なる考えをもっていたとしたら、医師と患者さんがともに病気を治療するという共同作業は行うことはできません。医師と患者さんが治療に対する共通認識をもてていない場合には、治療がうまくいかないものです。ですから、医療現場では医師と患者さんが、ある病気に対して共通の認識をもてるように調整します。
あるいは、医師と患者さんの間で、ある病気の治療方針にちょっとした意見の違いがある場合です。そんな場合には、あえて共通の意識を探すようにします。医療現場における医師と患者さんとの大きな共通点は、「病気を治したい」という意識ですね。様々な意見が食い違う中でも、そういった共通の目標をあえて意識することで、不要な陰性感情が生まれずに済みます。
この「共通点を意識する」という心の操作は、どんな社会活動にも使えます。上司と部下との間に様々な考えの隔たりがあったとしても、ある一つの課題を改善したいという共通目標を意識することで、上司も部下も一緒に活動することができるようになるものです。
そうやって「共通点を意識する」という心の操作ができることで、自分の心にゆとりが生まれます。心を操作することで、自分の心のゆとりを作ってしまう、ということです。この心の操作は、これからの時代には欠かせません。
これからの時代は、これまでの働き方では絶対に社会は回っていきません。従来通りの考え方で社会を回そうとすると、必ずどこかにボロが出ます。そのボロというのは、例えば社員の陰性感情かもしれませんし、あるいは社員の体調不良かもしれません。そういったことを未然に防ぐために、これからの時代には必ず働き方を変えなければなりません。
上司にとって自分たちの働き方を変える、あるいは自分たちの考えを変えるということは、慣れた環境に変化を加えるということです。変化が生まれるところには、必ず心の動揺も生まれるものです。つまり、心も落ち着かなくなるものです。そんな心の状態を落ち着けるために、共通点を意識して自らの心を操作できるととても便利です。
ちなみに、今週木曜日に出版される「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」という僕の書籍には、新入社員さんに伝えたい感情のコントロールのヒントを記しています。上司の人たちが現場で部下に注意したり伝えにくい内容も、記載しています。よかったら、若手の方々にその本を見せてあげてください。
だいじょうぶ。
まあ、なんとかなりますよ。
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