小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te代表理事
湯浅正太
子どもの「生きる」を考える

うまい息抜きは心の操作から

2022/05/30

記事【うまい息抜きは心の操作から】

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

今日も日中診療をおこなって、その後執筆活動をしていたら、こんな時間になってしまいました。

早速コメントをご紹介したいと思います。

ラジオネームみほさん。コメントどうもありがとうございます。今回のコメントは、5月28日の放送に対するコメントですね。5月28日の時の放送は「安全基地を大切にしながら貴重な経験を」というタイトルでしたね。

「今回のお話、素敵ですね。鳥肌が立ちました。先生に聖書を渡してくれたおじいさんは、先生のお人柄や先生の未来の活動が見えていたのかも知れません。そして私の安全基地の一つは先生のVoicyです。家族のことで不安になると、眠りに落ちるまで繰り返し聴いています。

今日、次女とドライブに行きました。とある公園の遊具で遊び、私に駆け寄っては次の遊具へ。駆け寄ってくる時の笑顔を見て、『私はこの子の安全基地になれているのかな』と偶然、安全基地ということを考えた日でした。

もし、子ども時代に安全基地を得られなかった場合、心が不安定な大人に成長してしまうのでしょう。そのような大人でも、大人になってから安全基地を得ることができますか?また、自分の中に安全基地を設けるということについても知りたいです。あと、安全基地と依存…言葉は違うのですが、どこか似ている気もします。そのことについても教えてほしいです」。

みほさん、コメント・ご質問、どうもありがとうございます。このvoicyが安心・安全な存在であれば嬉しいです。僕は子どもたちや親御さんのカウンセリングも行っていますが、カウンセリングで大切なことは適切な目標に向かって定期的につながることなのですね。

やはり目標が誤っていると、間違った方向に進んでしまい、カウンセリングもうまくいきません。そして、1か月に1度つながることができるのか、それとも6か月に1度しかつながれないのか、その違いでもカウンセリングの効果はまったく違います。その事実を知っているので、定期的にこのVoicyを聴いていただきながら、この放送の雰囲気につながっていただければなあ、と思います。

最近はおかげさまで全国からお問い合わせをいただくことになりました。その中には、個別のオンラインカウンセリングのご相談も多くあります。本当は個別にカウンセリングなどでお話したいのですが、私の体も一つしかないので、カウンセリングに時間をとられてしまっている時に他の仕事をできないことを考えると、どうしてもカウンセリングに費用をいただくことになってしまう。それなら、直接のカウンセリングでなくても、こういうvoicyやYouTube、あるいは講演会を通して僕につながっていただくのでも良いのかなと思っています。

面白いことに、人はつながることでお互いに影響し合います。心が穏やかな状態の人につながることで、その人とつながった人の心も穏やかになる。そういうものです。逆にイライラした感情をもっている人とつながると、やはりつながった人の心もイライラする。そういう心のカラクリがあるのですね。

小児科医として患者さんに向き合う時にも、それを意識します。患者さんは当たり前ですが、病気をもっていることが少なくありません。病気をもっていれば、不安ももつことが少なくない。すると、患者さんがもつ不安な気持ちに同調して、その患者さんに向き合う医師の心にも不安が生まれる。そんなことが珍しくないのです。

医師として気をつけるのは、患者さんとつながる中で心をコントロールするということです。不安を抱える患者さんと向き合っていても、自分の心にもしっかり向き合う。俯瞰的に自分の心を観察して、その心を操作する。その習慣が、医師にとって欠かせません。

すると、理解していただけるかはわかりませんが、医師は、その口数に比べて頭の中では疲れているものです。だって、頭の中では常に心の操作をしているからです。自分の心が患者さんの不安な心に同調したと思ったら、すかさず自分の心を修正する。診察はその繰り返しなのです。

そして、みほさんはいい質問をしてくれました。「大人になってから安全基地を得ることができますか?」ということですね。はい、できます。その安全基地は、パートナーかもしれませんし、子どもかもしれません。「え、子ども?」と思いましたか?そうです、あなたの子どもも、あなたの安全基地になり得ます。だって、子どもであっても、一人の立派な人間だからです。

例えば、子どもの頃に家庭環境に恵まれずに育ち、親子のつながりをうまく築いてもらえなかった人も、人生はそれで終わりではありません。子どもの頃にリストカットをしていた人も、自分の子どもをもち、子どもとのつながりを築いていくことで変わっていきます。子育てを通して、人は生まれ変わる可能性がある、ということです。

でも、そうやって、親になってその人自身が変わるには条件があります。その条件とは、親子のつながりが密になっている、ということです。親子のつながりが密であればあるほど、親は変わります。

今の世の中ではどうしてもまだまだ女性の方が、子どもに関わる機会が多いかもしれません。すると、関わりの多いお母さんの方が、やはり変わりやすいのです。もちろん、お父さんが子どもへの関わりが多い場合には、お父さんも変わります。そういうものです。

そして、みほさんのご質問の「自分の中に安全基地を設けるということ」についても触れていきましょう。実は、自分の中に安全基地を設ける、あるいは自分の心の中につながれる存在を感じられる、ということをできるようになっておくと、とても便利なのです。

以前の放送でもお話ししましたが、子どもは不安を抱えた時、安全基地となっている親と触れ合うことで不安を解消します。それは、子どもの時期だけに限りません。大人になっても同様です。もしもあなたに大切なパートナーがいたとしたら、あなたに不安が生じた時にそのパートナーのことを思ってみてください。そうすることで、あなたの不安は少しずつ解消されていきます。「え、そんなこと?」と思うかもしれませんが、そんなことです。そんなことですが、それを実践できる人はそんなに多くはありません。

例えば、少しちょっと話が変わりますが、僕は片頭痛をもっています。片頭痛は、たいてい緊張から解放されたり、疲れが溜まっている時に、頭痛の症状が起きたりします。僕はあまりお酒は飲みませんが、飲酒の後にも片頭痛が起きることもあります。その片頭痛は、とても痛くて生活に支障が出ることも少なくないので、僕なんかは早々に対処してしまいます。早めにしっかり対処できれば、片頭痛があっても、普通に生活できるのです。

そんな片頭痛が起こるかもしれない、と思うのは一種の不安と同じです。ある時そういった不安を飛行機の中で感じたことがありました。人は、閉鎖的な空間で不安を抱く場合には、その不安が強く現れてしまうことがあるのですね。僕はある時、空を飛んでる飛行機の中で、片頭痛が起きそうな予感とともに不安を覚えたことがありました。

でも、そんな不安に自分を操られるわけにはいきません。不安を解消するために、あえて自分の大切な人を思い浮かべます。例えば、自分の奥さんであったり、自分の子どもたちです。自分にとって大切な人を思い浮かべる。そうすることによって、不安は少しずつ解消されていきます。そうやって飛行機の中での片頭痛に対する不安を解消しながら、早々に対処をしてしまう。そういった経験があります。

この方法を知らなければ、閉鎖的な空間でパニックになってしまう方もいるのです。そういうものです。自分の心の操作の仕方を知らなければ、不安に自分の心が操作されてしまってパニックになってしまう。実はそんな人は珍しくありません。

ですから、不安が生まれたら、ぜひ大切な人、安全基地になりうる人を想像してみてください。この心のマネージメントを身につけると、色々な不安を解消できるようになります。嘘ではありません。本当です。お金も必要ありません。だって、自分の心の中で安心・安全な人や、あるいは物を思い浮かべるだけですから、簡単ですよ。理屈は簡単ですが、意外と難しい。そういうものです。

そして、「安全基地と依存」の違いについても質問をいただきましたね。これには、とても面白い違いがあります。答えは、心のベクトルの向きの違いです。例えば、親が「安全基地」であったり、親が「依存」の対象である場合を考えてみましょう。

親が「安全基地」の場合、子どもの心のベクトルは、外の世界へ向いています。つまり、子どもは外の世界を開拓しながらも、不安が生まれたら、親という安全基地に戻ってくるだけです。子どもの関心は、親ではなく外の世界の方向へ向いています。

でも、親が「依存」の対象である場合は、違います。その場合の子どもの心のベクトルは、親に向いています。子どもの心は親の方向に向きながら、外の世界を開拓していけません。つまり、子どもが親に依存的であると、子どもが外の世界を開拓していこうとしない、ということです。いつまで経っても親から離れられない。だから、他人とコミュニケーションがうまくとれずに、生きづらさを抱えてしまう。そういうものです。

そういうことを理解すると、例えば、子どもが「自分でやりたい」と主張するようになってくれる第一次反抗期、いわゆるイヤイヤ期を生かすことはとても大切なことがわかります。この時期には、「色々挑戦してみなさい。でも、困ったらいつでも戻っていらっしゃい」、そういう親の関わりが大切ですね。

そうすることで、外の世界を開拓していこうとする子どもの心を大切に育てられます。子どもの心のベクトルは外の世界を向きながら、困った時には親という安全基地に戻ってくる。子どもというのはチャッカリしているのです。でも、それでいいのです。そういった経験が、親に依存的な子どもの心を作り出さないために大切です。

こんな風に、心のカラクリを理解して、心の操作ができるようになると、息抜きが上手にできるようになります。例えば、なんだかバタバタしながらも、チャッカリ成果を積んでいく人は、やはり自分の心の操作ができているものです。

そんな心の操作をするにあたり、最後に一つ付け加えたいことがあります。それは、誰も頼りにせずに自分の力だけでどうにかしようと思わなくて大丈夫ということです。人は誰かとつながって生きる生き物なのです。自分一人だけで生きることを想定されて作られてはいません。

ですから、自分一人だけの世界で生きようとしないでください。必ず、誰かにつながってください。自分一人の世界で暮らそうとすると、想像の世界の力が働きます。以前の放送でお話ししたように、想像の世界は実世界よりも、自分への影響力が強いものです。自分だけで想像の世界で暮らしていこうとすると、あらぬ方向へ心が動いてしまい、心が病んでしまいます。そういうものです。

ですから、自分の心を操るけれど、時々誰かとつながることを大切にしてください。そうやって心を健全な状態にマネージメントできることで、心を操れていると言えます。

だいじょうぶ。

まあ、なんとかなりますよ。

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