記事【てんかんを理解する】
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる
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こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。
今日はとっても暑かったですね。海の方に出かけたら、潮干狩りに参加している人たちがいっぱいいましたね。
今日はYukuri-teのLINEにいただいたご質問にお答えしたいと思います。ラジオネームはAさんとしておきますね。
「子どもがてんかんをもっています。てんかんの発作が続き、言葉の発達の伸びが少しゆっくりになった気がしています。てんかん発作を繰り返すと、発達に影響がありますか?」
ご質問、どうもありがとうございます。てんかんのタイプにもよりますが、てんかん発作の状態が悪化すると、発達の伸びが緩慢になるということはありますね。例えば、てんかんの状態が悪化することで、日中の受け答えもゆっくりになるということもあるのですね。
ただ一方で注意しておきたいのは、子どもの発達は坂のようではないということです。あることができるようになったら、しばらくそこで停滞します。そしてまたある時にふとできるようになる。そんなものです。
そんなてんかんと発達の特徴を理解しながら、子どもたちをみていきたいものです。子どもがてんかんをもっていようとなかろうと、とても大切なのは親や周囲の心ですね。穏やかな心で自分に接してくれる大人の存在が、何よりも大切です。
そうやって、大人が穏やかな心をもつにはてんかんを理解していただく必要があります。そのために、少しだけてんかんのことをお話しようと思います。
てんかんという病気は100人に1人はもっていると言われています。つまり、実はありふれた病気なのです。そんなてんかんの症状で有名なのは、手足が震えるけいれんです。けいれんは誰が見てもわかりやすいからです。
でも、てんかんの症状は実はけいれんだけではありません。脳には色々な機能があります。例えば、手足の運動を司るところ、目で見る視覚の機能を司るところ、あるいは耳で聴く聴覚の機能を司るところ。そんな風に色々な機能があります。そんな脳に異常な電気信号が生じて症状がでるものが、てんかんです。
ですから、運動を司るところに異常な電気信号が生じれば、無意識のうちに手足を動かす発作が生じます。目で見る視覚の機能を司るところに異常な電気信号が生じれば、目の前にキラキラした光が見えたり、そういった視覚の症状として発作が出現します。そんな風に、てんかん発作にはけいれん以外の症状もあるのです。
そして、疲れたり、睡眠不足があったりすると、発作が出やすくなることもあります。ですから、てんかんをもつ子どもにしっかり休んでもらうことは大切なのですね。でも、注意したいことがあります。しっかり休むことが大切だからといって、活動の機会が奪われないようにしたい、ということです。
友達と遊んだり、家族と旅行に行ったり、そんな色々な経験を積ませてあげたいものです。ですから、てんかんをもっていたとしても、なるべく生活での制限がないように暮らせることを目標にして薬の調整を行うようにしています。
世の中には、色々な病気があります。どんな病気をもっていても、みんなで一緒に生きる。そういったことを目指していきたいものです。
だいじょうぶ。
まあ、なんとかなりますよ。
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