小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te代表理事
湯浅正太
子どもの「生きる」を考える

安全基地を大切にしながら貴重な経験を

2022/05/28

記事【安全基地を大切にしながら貴重な経験を】

#安全基地を大切にしながら貴重な経験を #子育て #小児科医 #湯浅正太

こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

今日も早速コメントをご紹介したいと思います。

ラジオネーム「いまちゃん」さん。コメントどうもありがとうございます。

「こんばんは。今日は特別支援学校の見学へ行きました。手厚い支援、カリキュラムのちょうど良さ、職員がたくさんいるのでどのような急なトラブルが発生したとしても、学びの提供は止まることはありません。うちの子にこういう場所で成長してほしいなと、今日は見学して更に気持ちがかたまりました。

上の子は体育祭がもうすぐあります。きょうだい児の兄も兄の環境で目標設定をして、自分でスケジュールを考えてお友達と遊んだり勉強したりやっています。上の子たちは友達にも恵まれたり、話も伝えたいことはこれは聞いてほしいんだと話してくれます。

日々考えることが多く、悩んだり喜んだり色々あるのですが、これだけ子どもたちのことを考えることができていると思うと、毎日ありがたいです。私1人で里帰りもなく走ってきた子育てなので、サポートもなく手探り状態ですが、この3人の子どもを1番理解できてるかなと、そこだけは誇れます。

体調悪くても、どんな時でも、代わりなく進んできました。子どもたちに感謝してます。母親をさせてもらえてます。新生児を連れて、車椅子の実母の介護へ通っていた頃が1番きつかったですが、乗り越えられてます。どうにかなりますね。

そして、今は自分と家族のために、食生活アドバイザーの資格を学んでみたく思っているので、少し時間をつくって学んでみます。これも、子どもたちが一生懸命学んでいる姿を見て、私も学びを増やしてみたく思ったからで、子どもたちの影響です。楽しみです」。

いまちゃんさん、どうもありがとうございます。「子どもたちを1番理解できている」と思えるのはいいですね。また、いまちゃんさんは、「日々考えることが多く、悩んだり喜んだりいろいろあるのですが」と教えてくれたように、子どもが生きるということを真剣に考えられている、ということですね。

そうやって、子どもたちにつながりながら、子どもたちを見守ることができれば、子どもたちにとって安全な基地ができますね。「お母さんのところに行けば安心だ」、そんな安全基地の感覚を子どもたちがもつことで、そこから色々なところへ探索に行きます。幼稚園・保育園・学校。そんな色々な社会を経験して、また安全基地であるお母さんのもとへ戻ってくる。

子どもたちの行動を考えるときに、この安全基地を設けられているか、という視点はとても大切です。家庭ではお母さんやお父さん、学校では先生、職場では例えば上司あるいは同僚。そういった社会での各中継ポイントに安心できる存在ができているか。そういった視点で子どもの行動を捉えることは、とても大切です。

安全基地が設けられていれば、そこを基点に子どもたちは行動を始めます。新しい環境で行動しながら、不安が生じたらその場の安全基地に戻ってくる。そういったことを何度も何度も繰り返します。そうやって、どんどん自分に見える社会を広げていくのですね。

この安全基地は、決して子どもたちだけのためにあるのではありません。子どもが生きる中で、その社会に安全基地があることは、親の安心にもつながります。親が安心できるということは、親に心の余裕が生まれるということです。すると、心に余裕がある親に接する子どもの心にもまた、余裕が生まれます。

このように、子どもが生活する社会に安全基地を設けることは、二重の効果で子どもの穏やかな心を生み出すことがわかります。安全基地とつながることで安心感を得て心が穏やかになるという効果の他に、親の心の余裕を介して穏やかな心を手に入れる、ということです。

それは、特別支援学校を見学した後のいまちゃんさんのコメントでも感じられます。いまちゃんさんが、「うちの子にこういう場所で成長してほしいな」と思えたということは、子どもにとっての安全基地という存在を感じられたからです。安全基地という場所を感じられたからこそ、いまちゃんさんの心に余裕が生まれたのです。その心の余裕はきっと、お子さんたちにもいい影響を及ぼします。

実は日常生活の中で、僕たちはこの安全基地を無意識のうちに用意しているものです。例えば、こんな経験はないですか?どこか旅行に行ってきて、自宅に帰った時に、「なんだかホッとする」、そんな経験があると思います。気づかないうちに、自宅が自分にとって安心する場所になっていたということですね。人は安心できる場所をつくって、そこを基点に様々な経験を積むのですね。

安全基地は、何も空間や人でなくてもいいのです。例えば、僕は大学生の頃に、海外に行ってバックパッカーをやったり、ホームステイをさせてもらったことがありました。その時の僕にとっては、大切な安全基地となるものは大きなスーツケースでした。灰色の大きな自分のスーツケースがある場所に戻ると、ちょっと安心する。そんな経験をしたものです。

そんな風にスーツケースと共に色々な場所にいったので、そのスーツケースには愛着がわきますよね。飛行機を乗り継いで、荷物置き場からそのスーツケースを受け取る時には、やっぱりホッとするのですね。「ありがとう」なんて感謝したりもしたものです。

そういえばある時、バックパッカーをしていた頃に、飛行機の乗り継ぎのためにとある空港に到着したんですね。それが、夜間だったのです。それで、朝まで次の便がなかったので、待合の席に座りながらウトウトしていた時でした。ある外国人のおじいさんが僕のところにやってきて、ちっちゃな聖書をくれたんです。

そしてこう言ってくれました。「僕の人生はあともう少しで終わるだろうから、これを君にあげるよ」と言って、小さな聖書の本をくれたのですね。そしてその後に「君ならわかってくれると思う」って言って、そのおじいちゃんは去っていきました。今でも記憶に残っているのは、そのおじいさんの表情がなんだかすがすがしくて、優しさを感じられたからです。

そんな風にスーツケースに安心感を感じながら、色々なところに行って、そんな貴重な経験を積む。人の人生って、その繰り返しなのだろうなあと思うのですね。

だいじょうぶ。まあ、なんとかなりますよ。

記事のポイント!

  • 子どもの行動を広げるために安全基地を設ける
  • 子どもの安全基地は親の安心にもつながる
  • 安全基地を基点に色々な経験を積む

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