小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te代表理事
湯浅正太
子どもの「生きる」を考える

子育ては大人が成長できる宝の宝庫

2022/05/23

記事【子育ては大人が成長できる宝の宝庫】

おはようございます。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

みなさんから、いつも色々なコメントを送っていただいて、どうもありがとうございます。このVoicyのコメント機能をつかってコメントを送っていただいたり、あるいは僕の法人であるYukuri-teのLINEにコメントを送っていただいていますね。中にはFacebookやお問い合わせフォームに送っていただいているという方もいますね。まだまだご紹介できていないコメントがたくさんありますが、それぞれのコメントは順次ご紹介させていただきます。今後もいろんなコメントやご質問、エピソードを送っていただければと思います。

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

子育てがすべての社会の始まり

それでは、今日も早速コメントをご紹介したいと思います。ラジオネーム「みほ」さん。コメントありがとうございます。

「いつもありがとうございます。私は今、専業主婦です。長女の出産と夫の転勤が重なり、それまで働いていた会社を退職しました。子どもたちが小さい時、思いっきり関わることができて後悔はしていません。パートをしたこともありますが、子育てと家事はほぼワンオペで体力的にも精神的にも余裕がなくなり辞めました。専業主婦は子育てを全力でできる点ではよいのですが、我が家だけかもしれませんが、夫婦での力関係が同等でなくなります。周囲からも『養ってもらって優雅ね』なんて声も。社会全体が変わってほしいと本当に思います」。

みほさん、コメントどうもありがとうございます。奥さんという立場での専業主婦、夫という立場での専業主婦、色々な専業主婦の形がありますが、それに社会の偏った見方があるということですね。それは、子どもの心の成長やその価値を理解できていない世の中があるからですね。

会社で働くことがいいこと、のような誤った価値観があるからですね。あるいは、子育てはちょっと休憩しているようなもの、という誤った価値観があるからです。完全に間違ってますよね。そして子どもの心をしっかり理解できていない社会では、どうしてもそんな間違いを起こしてしまうだろうと思います。

小児科医として、様々な子どもたち、そして親御さんたちにお会いする立場の僕としては、子育てがすべての社会の始まりと思っています。つまり、今の子育ては、将来の社会を創っていくということです。大袈裟なことではなくて、本当にそう思っています。

生活していると、税金の使われ方に違和感を覚えることが少なくありません。「税金を使ってこんな建物を建てるくらいなら、子育てへの手当をもっと充実させるべきだよ」と思うことが少なくないのです。それに、子どもの時期に親とつながれる、人とつながれる心が育つことで、社会におけるあらゆるコストが削減できます。例えば、医療費です。子どもの時期に親子の健全なつながりがつくれれば、子どもの精神的な健康を維持することができるようになります。病院を受診しなくて済むようになるかもしれない、ということです。子どもが精神的な健康を維持できれば、学校、市役所などの様々な職員の支援もある程度不要になります。

そんなことを思うのは、子どもの精神的な健康が崩れた時には、やはりそれ相応のサポートが欠かせないことを知っているからです。しかもその心の回復には相当の時間と労力を費やします。子どもを支えるために親の働き方も調整する必要が出てきます。学校などからのサポートも、ある程度継続的に時間を必要とすることも少なくありません。そしてさらには、その子どもが大人になった時、自分の子どもに対しても温かい関わり、温かいつながりをもてないこともある。その現実を知っています。

そんな現実を知っているからこそ、「幼い頃から温かい親子関係をもてていれば、こんなことにはならなかったのに」と思ってしまうわけです。もちろん、それは子どものせいではありません。そして親のせいとも言えません。それは、親を支えられなかった、心を育てる教育・人とつながる教育を提供できなかった、社会のせいなのです。

健全な社会ができれば

そういった人生のカラクリを知っているからこそ、子どもの時期に、親とつながれる・人とつながれる心が育つことは、社会がうまく機能していくために欠かせないと確信しています。

ちょっと話が逸れますが、例えば今は指導者講習なるものがあります。上司が部下にどんな風に指示したら、部下は働きやすくなるのか、部下の心が傷つかずに済むか、そんなことを学ぶ機会があります。あるいは、会社でのコミュニケーション研修なるものも存在します。上司、同僚、部下とどんな風にコミュニケーションをとると、働きやすくなるのかを学んだりするのです。会社がお金を払って、学ぶわけです。

しかもその裏にも、面白い現実があります。そういった講習の指導者が実際の現場で上手なコミュニケーションを取れているかというと、そうでもない実態があったりします。そういう現場を目の当たりにしながら、心のカラクリを理解せずに、子育てを重視できない社会のその場しのぎの態度が見えてくるのです。

親子の温かい関わりを十分にもてて、人と心でつながる教育を十分に受けた子どもたちであれば、社会人になった時には様々な人とつながりながら、たくさんの成果をあげる人材に育ちます。そういった健全な人材が社会を支えるわけですから、今よりももっと健全な社会ができあがります。コミュニケーション研修の費用も、もしかしたら削減できるかもしれません。

つまり、やはり充実した子育てが、健全な社会を創るということです。

子育ては親を成長させる

ここまでお話ししたように、将来に向けた視点で考えると、心に余裕をもった親が子どもに十分に関われる環境があることで、将来様々な良い効果を生み出すのです。でも、子どもの時期の親子の関わりの価値を、十分に理解できていない、そして正しく評価できていない今の社会では、その場しのぎの対応しかできません。

実は、子育ては子どもたちだけに良い効果を生み出すわけではありません。その子どもに接する親あるいは大人にも良い影響を生み出します。つまり、子育ては大人が成長できる宝の宝庫ということです。
僕は子育ては、大人が自分自身の心を考える絶好のチャンスとも思っています。そして、それをチャンスとして捉えるためには、心のカラクリをある程度理解しておく必要があります。

子どもの様子は親の関わり方次第で、ニコニコしたり、イライラしたり、様々に変化します。そして、その関わりの影響は、子どもの対人関係へと発展します。毎日の親子の関わりの積み重ねが、じわじわと子どもの行動パターンを作り上げていくということです。

心のカラクリを知らなければ、その変化に気づきません。気づかないからこそ、子どもの行動を子どもの責任にしてしまいます。本当は親の関わりの積み重ねで、今の子どもの行動があるにもかかわらず、子どもの行動を子どもの責任としてしまう。

でも、心のカラクリを知っていれば、親子の関わりからどんな子どもの行動が導かれたのか、なんとなく察しがつくようになります。すると、周りのあらゆる子どもの行動の裏が見えてきます。

さまざまな子どもの行動から、その親御さんの関わりが想像できるようになってくるということです。人とゆったり優しく接してくれる子どもには、温かい親子の関わりを想像するかもしれません。不安が強い子どもには、好奇心を押さえつけられてしまう親子の関わりを想像するかもしれません。

そうやって親子の関わりが想像できるようになると、さらに見えてくるものがあります。それは、自分自身の心です。自分のこれまでたどってきた過去を振り返り、親子の関係を振り返り、自分の心の成り立ち、そして人生が見えてくるということです。

このように、子育てを通して、子どもの心のカラクリを理解することで、自分の心が理解できるようになるのです。だからこそ、子育ては親を成長させます。

どうでしょう。子育ては、子どもの心も、親の心も育てる貴重な機会です。だからこそ、このチャンネルで発信している心のカラクリを理解しながら健全な心が育っていけば、健全な社会が育つということです。

僕も、社会に変わってほしいと思っています。待っているだけではあらゆる人の人生がもったいないので、こうしてVoicyで発信したり、書籍を出版したりして、社会を変えていきたいと思っています。

だいじょうぶ。まあ、なんとかなりますよ。

記事のポイント!

  • 子育てがすべての社会の始まり
  • 子育ての価値は計り知れない
  • 子育てを通して人は成長する

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