小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te代表理事
湯浅正太
子どもの「生きる」を考える

子どもを尊重するということの正しい解釈

2022/05/20

記事【子どもを尊重するということの正しい解釈】

#子どもを尊重するということの正しい解釈 #子育て #小児科医 #湯浅正太

おはようございます。絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

今日は、子どもを尊重するということの正しい解釈、というテーマでお話ししたいと思います。

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」や「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる「ものがたりで考える 医師のためのリベラルアーツ」を Amazonで見てみる

一番大切なものは親子関係

それでは早速色々なコメントをご紹介させていただきます。ラジオネーム「スイフトスポーツ」さん。コメントどうもありがとうございます。

「コメント返しをいただき、ありがとうございます。つながる力に価値を置く、子育ても友達付き合いも、仕事も同じかもしれませんね。つながることで子どもにも良い影響があるでしょうし。仕事の成果も、独り占めせず、つながることを大切にしたい。つながった人に常に感謝できる自分でありたいです。難しいですが」。

コメント、どうもありがとうございます。そうですね、難しいこともあるかもしれないですね。けれど、つながる力に価値を置くと、本来人が求めるものがつながることだけに、必ず生きやすい方向に変わりますね。それは子育てに限らず、仕事もそうですね。vociyでも色々なコメントを送っていただきながら、ぜひつながってみてください。どうぞよろしくお願いします。

次にラジオネーム「かぜなみ」さん。コメントどうもありがとうございます。先日の放送で触れた、不登校の子どもが登校するようになったエピソードについてのコメントですね。

「先生が紹介されていたお子さんと親御さん、今まで長い道のりではあったかもしれないけれど、コツコツと少しずつ歩みを続けてこられたんだなあと思いました。お子さんからの先生へのメッセージを聞き、よそのお子さんではありますが、成長と自信を感じ、胸が温かくなるのと同時に、拍手を送りたいと思いました。」

かぜなみさん。どうもありがとうございます。つながりの力を信じることにこそ、子どもの問題の解決の糸口がある。そのことをお伝えしたくて、お話しさせていただいた放送ですね。小児科医として外来に出ていると、「薬があれば、子どもの行動が治ると思って受診しました」とか、「いくつかの病院を受診したんですけど、なかなか不登校がよくならなくって」とおっしゃる親御さんにお会いします。

その親御さんたちの気持ちは、当然だと思うのですね。「子どもの状態をなんとか改善させたい」と思い、不安になる気持ちです。そんな不安があるから、焦ってしまう。それは、当たり前と思います。それを否定することはしません。でも、その不安で空回りしてしまうことは避けたいですね。

一発逆転を狙う特別な薬もなければ、特別な治療法もありません。その解決の方法は、親子でつながっていくという地道な作業です。だからこそ、子どもの問題を乗り越える時、自分の気持ちが落ち着かない時こそ、「基本に忠実に」を大切にしたいものです。

子どもが不登校や、なんらかの生きにくさを抱えている時、特別な薬や特別な方法に手を出したくなる気持ちはわかります。だからこそ、世の中には、子育ての不安を抱く親御さんをターゲットにした商品やサービスが、たくさん売られています。そして、そこに飛びついてしまう親御さんもたくさんいます。

でも、子どもの生きづらさを克服する一番大切なものは、親子関係です。その親子関係の調整をしたうえで、薬がちょっと効くこともあります。でもやっぱり大切なものは、親子関係です。その親子関係はどこまで影響を及ぼすのか。それは、子どもの人生の一生を通して影響を及ぼします。

未来にも目を向けられるか

例えば、こんなことを聞いたことはありませんか。大人になって、家族の心がバラバラで、会うことすらしない。大人になっても仲の悪い家族です。そして、親なきあとのことを話すときにも、揉めてしまう。その原因を探ると、多くの場合子どもの時期の親子関係の問題にたどり着きます。

兄弟関係も同様です。大人になった時に兄弟の仲が悪いというのは、一見原因が兄弟にあるように思えてしまいます。でも、違います。大人になった兄弟の仲が悪いのは、その兄弟たちに原因があるわけではないことも多いのです。その原因も、兄弟に対する親子関係にあります。

それぞれの兄弟が子どもだった頃、兄弟それぞれが親の温かい関わりを求めるなか、一方の兄弟への関わりだけが強い場合、そのことが兄弟同士の仲の悪さとして現れます。親子の関わりの問題が、兄弟同士の仲の悪さとして現れてしまう。しかも、兄弟同士はそのことに気がついていない場合が少なくありません。

でも、そのカラクリを知っている僕からすると、仲の悪い兄弟を目にすると、「本当は、仲の良い兄弟でいられたはずなのに」と、なんだか切ない気持ちを抱くものです。そういう現実を知っているからこそ、子どもの時期は大切にして欲しいと強く思っています。例え子どもが不登校になったとしても、何か生活に問題を抱えたとしても、いいんです。そこから、親子関係の大切さに気づいて、親子のつながりを軌道修正できればいいと思っています。だって、そこで親子のつながりが修正できれば、それがその子の一生を支えてくれるからです。

今にしか目を向けられないのか。それとも、未来にも目を向けられるのか。その違いです。子どもたちの未来から今を捉えるからこそ、今の問題はちっちゃく映ります。今、親子のつながりを信じて取り組めば、きっと将来こう思います。「あの頃、親子のつながりの価値に気づいてよかった」。そう思うはずです。

子どもの心を尊重する

それでは、ラジオネーム「ちゃき」さん。コメント、どうもありがとうございます。

「湯浅先生 いつも貴重なお話をありがとうございます。 『子どもを尊重する』というお話を詳しくお伺いしたいです。 娘の自己主張やわがままや攻撃的な言葉や態度に対して、どのように対応したらいいのか悩む毎日です。子どもを尊重するようにしたいと思うのですが、子どもがこのようなとき、どのように対応したらいいのでしょうか」。

どうもありがとうございます。答えは、子どもの行動の矛盾を理解して、こちらからつながろうとするということです。例えば、子どものわがままや、親に向けたあらゆる発言は、親を試している行動です。「自分を見てほしい」「自分とつながってほしい」と思っている子どもが、無意識のうちに自己主張を強めて、親にとって「困った」行動をとります。

そうやって子どもが自己主張することを、「わがまま」「いたずら」として親が捉えるか、「助けてを求めている」「つながりを求めている」と親が理解するかによって、その後の子どもの行動は明らかに変わります。もしも、子どもの主張を「わがまま」「いたずら」と捉えてしまう場合、親に不要な感情が出現します。例えば、イライラした感情や不安な感情を親は抱くようになるものです。それは、見えている世界をそのまま解釈してしまっているからです。すると、空回りが始まります。

子どもの主張を「わがまま」として捉えて、親にイライラした感情が芽生える。すると、親が子どもを叱る。だから、子どもはもっと主張を強くします。だって、子どもが本来求めている親の助け、あるいは親との安心できるつながりが手に入れられていないからです。

子どものあらゆる行動の背景には、自分に生じた不安を解消するために、親との安心したつながりを求める心が隠れています。「自分を見てほしい、自分とつながってほしい」、そんな無意識の心が子どもの中にあるからこそ、子どもは主張するのです。

でも、子どもは器用ではありません。うまく自分の気持ちを行動で表せないのです。助けて欲しい時に、「助けて」と言えない。不安がある時に、「不安がある」と言えない。でも、それが子どもというものです。

であれば、どうするか。子どもの主張に困る場合には、こうしてみてください。「あれ?子どもの主張が強くなったな。何か助けを求めているんだろうな」。そんな風に捉えて、親の方から日常のつながりをわざと増やしてみてください。ちょっと声かけを増やす。ちょっと挨拶を増やす。子どもの身体にそっと手で触れることをちょっと増やしてみる。そんな風に、わざといつもより親子のつながりの行動を増やします。

先手必勝です。子どもの行動の変化を察知したら、なるべく早くにつながりを強化します。子どもが荒れているその時には、正直つながる行動がしにくいものです。ですから、一旦子どもが冷静になった時間帯に、つながりをさらっと強化し始めます。すると、子どもは求めていた親子のつながりを経験できるため、少しずつ「困った」主張が減ってくるものです。

「そんなこと?」と思うかもしれません。そうです、「そんなこと」なのです。その基本に忠実に対応することが、最も大切です。何か特別な魔法があるわけではありません。世の中には、「行動に問題のある子どもへの対処法」といったような書籍がたくさん売られています。その対処法の基本はすべて「つながり」です。さまざまなつながり方が、工夫されて紹介されているといった感じです。

そういった対処ができるようになってくると、子どもの困った行動を目にした時の親の気持ちが変化していきます。「子どもが強く主張するようになった。自分の気持ちにイライラした感情が湧くかもしれないけれど、そこはコントロールして、親子でのつながりを強化しよう」。そんな心の操作ができるようになります。

このように、子どもの「つながりたい」という本当の気持ちを感じながら、つながりをわざとつくってあげる。それが、子どもを尊重するということにつながります。子どもの心を理解したうえでの尊重が大切ということです。「子どもがつながりを求めるばかりに、強い主張をしてしまう、わがままをしてしまう」、そんな子どもの心を理解していないと、子どもを尊重するということが誤った方向に展開していきます。

子どもの心を理解していないと、子どもの困った行動を、そのまま尊重することがいいこと、そんな捉え方になってしまう。でも、それは違います。子どもの行動は確かに困った行動かもしれないけれど、でもその裏には親子でのつながりを求める心があるはず。その心を尊重する、ということです。その心を尊重するからこそ、「じゃあ、つながりましょう」となるのですね。これはとても大切な解釈です。

今日はこのあたりで終わりにします。色々ありますが、だいじょうぶ。まあ、なんとかなりますよ。

記事のポイント!

  • 子どもが大人になっても、昔の親子関係が見えてくる
  • 子どもの未来に目を向けて、今を考える
  • 尊重するものは、子どもの心

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