子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

子どもを育てやすい社会にしたいのだ

2022/05/13

記事【子どもを育てやすい社会にしたいのだ】

おはようございます。絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。

このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。今日は、子どもを育てやすい社会にしたいのだ、ということについてお話ししたいと思います。

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる

子育てする親への感謝

色々な方からコメントを送っていただき、本当に嬉しい限りです。今回ご紹介できていないコメントも、明日以降の放送でご紹介させていただきます。遠慮せずに、恥ずかしがらずに、コメントやエピソード、ドシドシお待ちしています。あと、僕のYukuri-teのLINEの友だち追加、ぜひしてくださいね。それと、来月また新しい書籍を出版しますからね。ぜひ見てみてください。

では、コメントをご紹介します。コメント欄に表示されているのが本名かもしれないので、ここではNさんと呼ばせていただきますね。

「いつもありがとうございます。とても励まされています。5人の子をもつ親です。子どもが学校にうまく通えず、悩んでいました。過去形なのはもう4、5年経ち、現在は特別クラスなども含めて、少しずつ通うこともできるようになったから、慣れのような安心のような想いが出てきたからだと思います。それでも心がざわついてしまう時はあり、少しずつですが成長している我が子を辛抱強く見守る忍耐力?のようなものが身についてきたのかなあとも思います。先生の『まあ、なんとかなりますよ』という言葉を力に、今日も見守りたいです」。

Nさん、どうもありがとうございます。環境を調整して、少しずつお子さんの様子が変わっていった、ということですね。そして、親御さんの心の余裕も出てきたみたいですね。もちろん、心がざわつくことは人間であればありますからね。今は色々な心の波があっても、後になると「こんなこともあったね」なんていう笑い話になっているものです。

「我が子を辛抱強く見守る」というのは、その子らしさを作っていくうえで大切ですよね。子どもたちの「やりたい」という気持ちを、親の「ダメ」という言葉で押さえつけていると、自分でおこなうことに勇気をもてない子どもが育ちます。「これやったら怒られるのかなあ」なんて、不安な気持ちを抱きながら行動する子どもが育ちます。そして、その不安が怒りとして表現されてしまうこともあるものです。

「やってみなさい、失敗したら助けてあげるわよ」くらいがちょうどいい。そんなものです。もちろん、それは放任主義とは違います。「勝手にやりなさい」ではありません。必ず「助けるよ」という姿勢が必要です。そうやって、失敗してもいつでも助けてもらえる親の支えを感じさせてあげながら、子どもの勇気を育てたいですね。

そして、5人のお子さんを育てていただきありがとうございます。今日本では少子化対策が少しずつ行われています。「子どもをたくさんもちたい」という希望を抱ける社会を、どうやってつくっていくか。それは、大きな課題ですね。その課題を改善させるためには、子育てを頑張る家庭に社会が感謝する、応援する姿勢が必要です。「子どもを育ててくれてありがとう!」という声が必要です。本当にそう思います。5人のお子さんを育てていただき、本当にありがとうございます。

きょうだい、そしてヤングケアラー

では次に、ラジオネームみほさん。どうもありがとうございます。

「『視点・論点』視聴させていただきました。先生の絵本が教科書に掲載されればいいのにと思います。きょうだい児である次女に不登校の長女は『学校に行けていいね』と言います。次女は何も答えられずにいる様子が「みんなとおなじくできないよ」に重なります。どうしても長女に手がかかり、次女を年齢よりも大人にしてしまいました。彼女なりにいろんな事を抱えています。できるだけ、次女と母だけの時間をとるようにしています」。

みほさん、どうもありがとうございます。僕が出演したNHK番組を見てくれたのですね。嬉しいです。また、「先生の絵本が教科書に掲載されればいいのにと思います」というコメントも、ありがとうございます。僕もそう思います(笑)

きょうだいという立場の次女さんを「年齢よりも大人にしてしまいました」と教えていただきましたね。きょうだいという立場の子どもたちが、少しお姉さん・お兄さんのような振る舞いをする、あるいは現実的な視点をもつということ。それは、きょうだいという立場の子どもたちに起きやすい現象ですね。

あるいは、ヤングケアラーという立場の子どもたちも同様ですね。「ヤングケアラー」とは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どものことですね。きょうだいという立場であったり、ヤングケアラーという立場の子どもたちは、自分の気持ちを抑えて支援を必要とする人に関わる、自分の時間を削って家族の世話にあたる、そんな行動が早期から身につくと言われています。

本来子どもは、自分の心を何らかの方法で発信して、それを受け止めてもらうことで好奇心がどんどん育っていきます。そして将来への希望を抱きながら、人生を生き抜こうとする勇気が芽生えます。でも、きょうだい、あるいはヤングケアラーという立場の子どもたちでは、そんな心の成長でつまづいてしまうことも珍しくないのです。

ただ、その環境がすべて悪いことかというと、そうでもないのですね。自分の心を自制してコントロールできることは大切な能力です。ある時は自分を主張せずに我慢し、ある時は自分を主張する。そんな緩急が大切です。注目したいのは、そのバランスです。

以前もお話ししましたが、0か1ではなく、その中間がいいのです。過度に自制させず、時にはその子の主張が受け入れられる環境をつくる。それが必要です。でも、それを家庭だけで頑張る必要はありません。社会がしっかりきょうだいあるいはヤングケアラーという課題を認識して、その家庭を支えることが必要です。「子どもを産んだら、あとは家庭でお願いね」ではない、ということです。

子どもを産んだら、社会がしっかり支えてくれる。そういう安心感があるからこそ、子どもを育てたいという意欲が生まれる。そういうものです。そのことを僕たち世代、あるいはこれからの世代は感じている。そう感じているからこそ、これからの時代は変わります。

今の社会をつくったのは、これまでの世代です。男性社会と言われる時代をつくってきた世代です。学歴社会というものをつくってきた世代です。それが当たり前の社会で生活していた世代には、やはり少子化対策は難しいのです。それは現状を見ても、よくわかります。

少子化問題は今に始まった問題ではありません。もう何十年も前から予測ができていました。でも、少子化対策は進んでいなかった。それはやはり、子どもを育てるということではなく、他のことへ注目していたからです。子どもを育てることに向き合っていなければ、子どもの心を育てることには考えが及びません。そうであれば、親と子どものつながりを深く考えようとする教育は実行されません。そういった時代がこれまでの時代です。

でも、これからの時代は違います。あらゆる世代が人口減少の影響を実感するはずです。働き手が少なくなって、働き方を工夫しなければ社会を維持できないことを経験します。だから、今こうやって、子どもを育てることをようやく考えるようになりました。

そうやって子どものことを考えるようになって見えてくるのは、自分たち大人の心が育ってきたカラクリです。「私の個性は、僕の個性は、そうやってつくられていったのかあ」「そういうことだったのかあ」。そんな風に気づく社会が、これからの社会です。そうやって、「もっと若い時に、人の心がどうやって育つのかを教えてもらいたかった」、そんな風に思うはずです。

ぜひこのチャンネルの放送を聞いて、子どもの心のカラクリを知っていただきたいと思います。そのカラクリを知ると、自分の心のカラクリや操り方も理解できるようになります。すると、世界は変わります。そんなものです。また、色々な方に絵本「みんなとおなじくできないよ」を知っていただき、社会がきょうだいあるいはヤングケアラーという立場の子どもたちにとっての人生を考えてもらえたらと思います。そんな風に色々思うところがあります。

だいじょうぶ。まあ、なんとかなりますよ。

記事のポイント!

  • 子育てする家庭へ感謝
  • 少子化問題は今に始まった問題ではない
  • 子育て環境は、これから必ず変わる

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