子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

小児科医が思う少子化対策に欠かせないもの

2022/05/04
#小児科医が思う少子化対策に欠かせないもの #少子化対策 #子育て #小児科医 #湯浅正太

記事【小児科医が思う少子化対策に欠かせないもの】

こんばんは。絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

今日は、少子化対策に欠かせないものについて考えてみたいと思います。

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる

少年時代を思い出す

明日は岐阜県で講演があるため、今日は岐阜県に近い名古屋のホテルに泊まり収録をしているところです。大きな声が出せないので、ボソボソっという感じの音で録音されているかもしれません。すみません。ホテルに到着したら、新人さんらしきスタッフの方が丁寧に説明してくれました。後ろに指導してくれているベテランスタッフの方がいて、コソコソっと新人さんにアドバイスをしてくれていました。心の中で「頑張ってください」と言って、チェックインです。

やっぱり、そうやって今を一生懸命に生きる人を見ると、こちらもエネルギーをもらいますね。それに、若い人を見ると「この人が、自分の子どもだったらどうだろう?」と考えてしまいますね。そんな風に色々考えながら、応援したくなる。でも、声に出さと恥ずかしいから、心でそっと応援する。そんな感じです。

明日は講演会ですが、voicyでも講演会でも、色々な方に僕の話を聴いていただいてありがたい限りです。そうやって、色々な人とのつながりを感じながら、僕がエネルギーをもらっています。聴いてくれているあなたに、感謝です。どうもありがとうございます。

僕は、当たり前ですが、小児科医としてたくさんの子どもたちと話をします。すると、その子どもたちの声には、「そうだよね」と納得できることが多いものです。でも、そんな子どもたちの中には、「大人にわかってもらえない」と言う子もいます。あるいは、「わかってもらえない」と言えればいいけれど、そんなことすら言葉にして表現できないから、身体の表現として頭痛や腹痛などで表現してしまう子どももいます。

そんな子どもたちと話をしていると、時々自分の少年時代を思い出します。そして、少年時代の自分を今の子どもたちに重ねて考えることがあります。少年時代の僕は、「自分が信じている正義が、今の社会にあるんだろうか?」「生きることにどんな意味があるんだろう」。そんなことを考えながら過ごしたことがありました。学力ばかり追いかける教育を目にしながら、「大人になったら、こんなつまらない価値観にさらされ続けるのか」と、大人になることへの不安を感じたこともありました。

今、僕の目の前にいる子どもたちも、心でそんなことを感じているのかもしれない。そうであれば、「君の正義は、必ず今の社会にも通じるよ」「生きるって、冒険みたいで楽しいよ」「将来を楽しみにしていて」と伝えてあげたい。そんな風に思います。そういう社会をつくってあげたいと思います。そしてそれは、少年時代の僕自身に伝えたいことでもあります。

それでは、いただいたコメントをご紹介させていただきます。ラジオネームmifutomoさん、初めてコメントを頂きましたね。どうもありがとうございます。

「初コメさせて頂きます。先生のお話を頷きながら拝聴させて頂きました。発達障がいをもつ息子に出会って、私自身、考え方の幅が広がり、日々成長させられています。何をもって幸せなのかの価値観が180度変わりました!息子に出会えてよかった。

そして、息子を支援してくださっている沢山の方とつながりをもてたこと、同じ思いをしているママさんたちとつながりをもてたことが、私を前に進ませてくれています。先生のお話も子育てにたくさん役に立っています!!これからも配信楽しみにしております。「視点・論点」録画のセット完了です!!」

mifutomoさん、どうもありがとうございます。息子さんのおかげて、mifutomoさん自身が成長できているということですね。そして、色々な人とつながって、前に進むことができているというエピソード、多くの方が共感すると思います。また、僕が出演するNHK番組「視点・論点」の録画のセットまでしていただいて、本当にありがとうございます。

まだコメントを送っていただいたことがない方も、ぜひぜひ恥ずかしがらずにコメントを送ってきてください。このような色々なエピソードやコメント、お待ちしています。

大切な「中間力」

例えば、発達障がいのある子どもたちの世界を知ることで、自分に見える世界も変わってくるものですよね。「この空間では不安を感じるだろうな」「見通しがもてないこのやり方は、気持ちが落ち着かずにソワソワしちゃうだろうな」。そんな風に、これまで見えていなかった世界が見えてくるものですよね。

そして、そういう経験を通して、「あれ?でもちょっと待てよ、発達障がいがあろうとなかろうと、自分たちにも共通するところがあるんじゃないか」と気づきます。「自分の心を穏やかにするにも、見通しは必要だし、生活する空間が整理されていると、やはりなんだか心が落ち着く」、そんなことを理解するようになるものです。

それに、そういった世界を理解することで見えてくる子どもたちの個性は、本当に十人十色です。いくら同じ発達障がいがあると言っても、色々な個性があることを強く感じるようになります。同じADHDだったとしても、同じ自閉スペクトラム症だとしても、色々な子どもがいる。そんな風に感じるのではないでしょうか。

すると、障がいの名前では、やっぱり子どもたちのことはわからないと理解できます。社会は障がいという言葉でその子の特徴を一括りにしようとするけれど、それぞれの子どもたちには、やはりそれぞれの個性がある。そんなことを感じると思います。

だからこそ、「社会は障がいということで一括りにして、何か子どもたちのことをわかったつもりでいるけれど、結局わかっていないではないか」、そんな憤りも感じるかもしれません。そんな社会を感じながら、それに共感してくれる人が実は社会にたくさんいることを知るようになります。あるいは、知ってほしいと思います。

小児科医として働くようになって、そういった「わかったつもりでいる社会」「わかりやすくしようとする社会」を感じます。「障がい」「患者さん」、そういった言葉で一括りにして、その特徴がわかったかのように意識してしまう社会を感じます。

でも、人はそれぞれ違うのだから、同じ障がいがあっても、患者さんであっても、一人ひとり違います。その人個人とつながろうとしなければ、その人のことはわかりません。当たり前ですが、とても大切な意識と思っています。

そして、そんな一人ひとりの子どもたちのことを理解するために、欠かせない捉え方があります。それは、どんな能力もバランスということです。飛び抜けた能力があればいいかというと、そうとも言えないということです。人がもつ能力について、「その能力があれば楽で、なければ辛いのか」というと、そんな単純なものでもない、ということです。

例えば、人の気持ちを察する能力です。人の気持ちを察することができる能力は、「空気が読める能力」とも言えます。なんだか素晴らしい能力のように捉えられるかもしれません。でも一方で、人の気持ちを察することができるあまり、色々な人の気持ちを敏感に感じてしまうからこそ、心が疲れてしまう人もいます。空気を読み過ぎて疲れてしまう、ということです。

するとやはり、「0か1」ではなくて、その「中間」がいいことを理解します。「中間力」なんて本が書けそうです。そんな「中間力」こそ、人とつながるうえで大切です。どんな場面でも、自分の心を変化させて、その場面に柔軟に対応できる力とも言えるかもしれません。そんな柔軟な力をもちながら、多種多様な価値観に触れていきます。そして、様々な人とは違う自分を知って、自分の心と向き合う経験を積むようになります。

少子化対策につながる力を育てる教育を

そんな、自分の心と向き合うようになると、避けては通れないものがあることに気づきます。それは、自分の不安です。人は自分とは違うものに対して、違和感や不安を感じるものです。あなたは、自分の心を育てる過程で、自分とは違う他者とつながるという経験を重ねます。それは同時に、不安を感じる経験でもあるのです。

人と人が接する場面では不安がつきもの、ということです。人生で不安は避けて通れません。大袈裟な言い方をすると、不安を制するものは人生を制する、とも言えるかもしれません。でも、注意したい点は、不安は決して悪いものという捉え方ではない、ということです。人が生きるうえで不安は必要だからこそ、不安があります。不安があるから、危ない場面を避けられる。不安があるからこそ、準備をする。このように、すべての不安が悪いわけではなく、過度な不安をコントロールしたいものです。

そんな不安は、人から人へ伝播しやすいものです。例えば、「大丈夫かな、大丈夫かな」と不安が強い人とともに暮らすことによって、その周りの人も「大丈夫かな」という不安が強くなるものです。以前、ラジオネームみほさんがコメントで教えてくれました。「母の『心配なの』という言葉が、『愛しているよ』だったら、私の人生は相当違っていただろうと思います」というコメントでした。実は、不安をどんな言葉で表現するかは、とても大切なことなのです。自分が感じた不安をそのまま不安として表現するか、それとも不安ではなく、包み込むような愛情として表現するか。それは、とても大切なことですね。

世の中に強迫性障害というものがあります。「鍵をかけたかな?」「コンロの火を消したかな?」、そんな考えが頭に浮かんで、自分でもバカバカしいと思っていても、また鍵をかけたかチェックせずにはいられない、コンロの火が消えているか確かめないと気が済まない。そんな人がいます。実は、そんな強迫性障害の親とともに暮らす子どもにも、同じような症状がでます。いつの間にか、不安な心がうつってしまうということです。遺伝子という捉え方もあるかもしれませんが、僕は心の鏡の法則を知っているので、やはり親の行動が子どもの行動を導く側面はあると思っています。

そんな不安は、完全に除去すればいいかというとそういうものではありません。先ほども触れたように、人は不安があって当然なのです。不安があっても、その不安が過度にならないようにコントロールすることが大切です。不安があっても、その不安に自分が操られない程度の不安にしてしまうこと。それが大切です。

「まあ、なんとかなりますよ」程度にする、ということです。実は、不安との戦いは、人にとっての永遠のテーマです。そのことを知っているからこそ、いつも放送の最後に「まあ、なんとかなりますよ」と言っています。これまでの放送を聴いて、つながる力を理解している方であればお分かりいただけると思いますが、僕の「まあ、なんとかなりますよ」というコメントを繰り返し聴いていただくことで、あなたの心にも少なからず「なんとかなりますよ」の心が生まれます。

日頃から接している家族の行動が似るように、日頃からこのラジオに接しているあなたも僕の心と似てきます。あなたが習慣的にラジオを通して僕の心に接することで、あなたの心は必ず変わります。それは、そういうものです。すると、心の余裕ができたあなたに接している子どもたちも変わります。それも、そういうものです。人はそうやってつながっていくものです。

僕は、小児科医として人の心の成長を理解する中で、「なんでこんな大切なことを、子どもの頃に教えてくれなかったのだ」と思っています。つながる力さえ育てば、面白いことに好奇心も育ちます。好奇心が育つと、加速度的に物事が発展していくのです。逆に他のあらゆる能力を育てても、つながる力が育っていなければ、他の能力が生かされません。

そうやって理解すると、今の社会のカラクリ、人生のカラクリが見えてきます。そして、あらゆる人の人生がつながって、集合体のように理解できるようになります。すると、「一人の人間の人生って、なんて短いのだ」と感じるようになります。不思議ですが、必ずそうなります。

もしも人のつながる力を理解して子どもたちを育てたら、この社会は必ず変わります。つながる力に価値を置く社会があれば、子どもたちには必ず笑顔が増えます。子どもたちの笑顔が増えるということは、親の笑顔も増えるということです。親の笑顔は、つまり心の余裕です。すると、子どもを産むことをためらってしまう今の少子化の時代に、何が必要なのかがわかります。それはやはり、つながる力を育てる教育です。どんな子育てのしやすさを追求するよりも、まず人をつくる教育から変えていかなければ、この国は変わりません。

そんな風に思います。だいじょうぶ。まあ、なんとかなりますよ。

記事のポイント!

  • 中間力はやはり大切
  • 不安といかに付き合うか
  • 少子化対策にはつながる力を育てる教育を

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