子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

ソコにあなたが生まれた意味がある

2022/04/21
#ソコにあなたが生まれた意味がある #子育て #小児科医 #湯浅正太

記事【ソコにあなたが生まれた意味がある】

おはようございます。絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

今日は、リスナーさんからのコメントにお応えする形で始めながら、あなたの生まれた意味について考えてみたいと思います。

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる

いつか子どもたちにもわかるもの

毎日色々なコメントをいただき、どうもありがとうございます。コメントをいただいて、それに応える。そうやって、双方向のやりとりをしながら、みんなで「人のつながり」を考えられたら、とても面白いと思っています。

リスナーさんのコメントには、他の方も共感できることがたくさん詰まっていると思っています。「私も同じ悩みをもっている!」「僕も同じ考えをもっているよ!」。そうやって、感じている方も少なくないと思います。

だから僕は、コメントを通して、みんなで「人と人とのつながり」を考えたいと思っています。そして、「つながりが、子どもたちをこんなに育てるんだ。」「こんなに人に勇気を与えるんだ」ってことを、実感していただきたいと思っています。

僕は、世の中の子どもたちがこれからの時代を生きやすいようにと思って、「つながりの大切さ」を語っています。でも、世の中の子どもたちは、僕がこんなに熱く語っていることをまだ知りません。

僕が少年だった頃も、おそらく同じです。多分地球のどこかで、「子どもの生きる」を真剣に考えている大人はいたのだと思います。でも、僕にはわからなかったし、伝わらなかった。それって、「もったいない」と思うのですね。

「もったいない」というのは、子どもたちにとっても「もったいない」し、子どものことを真剣に議論している大人たちにとっても「もったいない」ですよね。そこで使っているエネルギーは、やっぱり子どもたちの豊かな心へとつないでいきたい。

だから、子どもたちへもこの思いを届けられるように工夫しようと思っています。僕のYukuri-teという法人の活動で、高校生に向けてお話をさせていただく機会がありました。そんな形でもっと「大人たちは、君たちのことを見ているよ」というメッセージを伝えたいと思います。

その思いは、その子たちが大人になって、子どもをもって、子育ての苦労をするくらいの頃にわかってもらえるかもしれません。そういうものだと思っています。それでいいのだと思っています。

あなただから発信できる情報がある

では、コメントを紹介したいと思います。

ラジオネームひのきさん、「湯浅先生の声に日々癒されます。やはり時々、じーんと来てぽろぽろ。運転中に聴く事が多いのでこれからもゆる〜く拝聴します笑」 どうもありがとうございます。心で感じていただき、嬉しいです。運転に気をつけていただきながら、ぜひ、ゆる〜く聴いてください。

ラジオネームみほさん、「こんにちは。今日も色々な学びをありがとうございます。また、他界した父の事が感じられ、温かい気持ちになれました。NHK番組収録お疲れ様です。出演される番組の詳細を良かったら教えて下さい。本の出版も楽しみにしております!」

どうもありがとうございます。昨日収録した番組については、このvoicyの別のチャプターでご案内しますので、ぜひ確認してみて下さい。近々出版する新しい書籍についても、ぜひ読んでみて下さい。そのほかにも、今複数の出版社さんと、色々な書籍を手がけているところですので、これからも応援よろしくお願いいたします。

ラジオネームあぴかさん、差し入れもしていただきありがとうございます。「いつもありがとうございます。先生のお話を聞かせていただき、コメントのお返し頂いて。すでに大人になった息子たちとの関わり、夫との関わりが少しずつですが良い方向に変化しています。ナニヨリ私の心が安定して、自信をもって関われてるように思います。これからもよろしくお願いします。お体大切になさってくださいね。」

どうもありがとうございます。苦労もあったり、その中に喜びも混ざったりする、ゴチャゴチャした感情とともに生きることが、人間らしいのだと思っています。医療現場での色々な感情を感じたり、本を出版させていただいたり、ラジオやテレビに出演させていただくようになって、つくづくそう思います。

人には、その人だからこそ出せる、その人らしさがあります。それは、僕だけではなく、このvoicyを聴いてくださっているリスナーの方々それぞれにあります。その「その人らしさ」って、やっぱり貴重な宝と思います。

それがわかるから、学力で振り分けられる教育が、どれほどつまらないものかがわかります。そのことがどの時代よりもわかりやすくなったのは、情報を手に入れやすくなったからでもありますね。

SNSあるいは電子機器の利用には注意しなければならない、ということを以前にお話ししました。でも一方で、これまで見えづらかったことが見えやすくなった、という面もあります。世の中には色々な個性が溢れていることが、わかりやすくなったのです。

これまでの教育では評価できていない、素晴らしい才能がやはりゴロゴロ転がっていることがわかるようになった。情報を発信しやすい、そして手に入れやすい時代だからこそ、そんな側面が浮き彫りになりました。

だからこそ、今の時代には、それぞれの経験を発信したらいいと思っています。「僕は、こんな経験をしたよ!」「私は、あんな経験をした!」。そんな、あなただからこそ、共有できる情報があると思います。

人生の全体像は見えないもの

そんなことを思うと、なんだかちょっとわかってきます。あなたに限らず、過去を生きた人たちの情報があなたを支えることがわかってくると思います。そして、そこにこそ、あなたの生きる価値を見出せるポイントがあります。

実は、人は必ず自分に問いかける疑問があります。それは、「自分が生きる意味って、何だろう?」という疑問です。ある人はその問いを、「答えの見つからない問い」と表現したります。でもそれは、あなたの人生だけで考えているからです。あなたの人生だけで「生きる意味」を考えると、その答えが見つからないものです。

だってそもそも、あなたには、あなたの人生がしっかり見えないのです。あなたの人生の始まりを、あなたは覚えていますか?覚えていないですよね。そして、あなたの人生の最期もきっと、あなたにはわかりません。

あなたの人生の始まりがあなたに記憶されていないばかりか、あなたの人生の最期の瞬間もあなたには自覚できないのです。あなたは実は、自分の人生の最初と最期を知らず、その途中を生きています。だからこそ、あなたにはあなたの人生の全体像がはっきりと認識できない。そういうものです。

あなたはお母さんのお腹の中にいて、「オギャー」と言って生まれてきました。その瞬間のことを覚えていないですよね。多分その頃は生きることに必死で、お母さんのおっぱいを飲むことに全力を注いでいたと思います。

でも、あなたの誕生は確かにありました。もしかしたら、誕生直後の写真が残っているかもしれません。手形をとってもらったりしたことも、あったかもしれません。だって、あなたの誕生は周りの人にとって、記念だったからです。

あなたは、自分の人生の最期の時も自覚できません。自分の命の最期の瞬間には、あなたの意識は遠のいて無意識の状態です。やっぱりあなたには、自分の最期がわからないのです。

でも、あなたの最期も確かにあります。周りの人があなたの死を思い、手を合わせてくれるかもしれません。あなたとのお別れに、涙を流してくれるかもしれません。だって、あなたの最期は周りの人にとって、やはり特別だからです。

つまり、あなたの最初も最期も、あなたにとってのものというよりも、周りの人にとってのものなのです。

希望としての子どもたち

すると、あなたの人生の意義って、あなたの周りの人とのつながりから見出せそうですね。そういうことを理解できると、あなたの人生の周りにある、過去や未来とのつながりに注目できます。

あなたへ命をつないだ祖先が必ずいます。戦時中も必死に生きた命があったからこそ、あなたに命のバトンがつながれました。食料も乏しかったかもしれません。今のような便利な時代ではなかったはずです。そんな過去の時代を生きた祖先がいたからこそ、今のあなたがいます。

あなたの存在は、祖先たちの「希望」だったのです。そのことを忘れないでください。

今を生きる子どもたちの中には、「生まれたくなかった」と言ってしまう子どもたちがいます。「どうして、僕あるいは私を産んだの?」なんて言う子もいます。あなたなら、そんな子どもたちになんて答えますか?

その時あなたの心には、痛みが走るでしょう。その問いに答えられない親御さんも多いはずです。

でも、必死に生きた時代であれば、こう答えられたかもしれません。「それは、あなたが私たちの希望だったから」、そう答えられたかもしれません。そうです。子どもたちは、大人たちの「希望」なのです。

そのことを子どもたちに実感させてあげられる方法があります。それが、「愛を感じてもらう」という方法なのです。子どもたちに親からの愛を感じてもらえて初めて、「僕たち、私たちは、希望だったんだ」と理解してもらえます。

あなた自身も、祖先の「希望」です。あなた自身にその存在意義が見出せなくとも、間違いなく「希望」です。それは人類が長い間かけてつないできた「希望」なのです。

あなたの中には、DNAという情報があります。そのDNAには、過去の祖先たちの情報がたくさん詰まっています。DNAと言うと、ちょっぴり味気ない、人間味のないものに感じられてしまうかもしれません。でも、そのDNAに過去が引き継がれて、あなたもそこに生き続けます。あなたのDNAが子孫に伝わり、あなたは今後も生き続けるのです。

あるいは、それはDNAという情報ではなく、作品かもしれません。あなたらしさを注いだ作品が後世に伝わる。そうやってあなたは生き続ける。本でも、歌でも、絵でも、どんな作品であっても、そこにあなたが存在するのです。

すると、あなたの情報を伝えていくことが、あなたの存在意義に結びつくことがわかります。あらゆる方法で、あなたを伝える。そこにこそが、あなたの生きる意味が見出せるのです。

どうでしょう。祖先の「希望」である、あなたという存在を理解する。そして、あなたの経験を情報として未来に残す。あなたが生まれてきた意味はそこにあります。意味のない命なんて、ないのです。

そんな風に色々思うところがあります。だいじょうぶ。まあ、なんとかなりますよ。

記事のポイント!

  • あなたは自分の人生の全体像を知らないもの
  • 子どもは希望として生まれる
  • あなたの情報は生き続けるもの

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