子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

資産になる共感力

2022/04/19
#資産になるキャリア #資産になる共感力 #子育て #小児科医 #湯浅正太

記事【資産になる共感力】

おはようございます。絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

今日は昨日の続きで、「共感が苦手な人との付き合い方」に触れながら、人の資産になる共感力の育て方について考えてみたいと思います。

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる

共感したくない、ということではない

昨日は、共感力には男女差があることをお話ししました。そして、本当の意味での共感は実は簡単ではないけれど、SNSが普及した現代ではあたかも共感が容易くできてしまうように感じられることについて触れました。

差し入れもいただき、どうもありがとうございました。

世の中には、共感が上手い人もいれば、苦手な人もいます。しかも、共感が苦手な人と言っても、実は色々なタイプの人がいます。人の気持ちを理解したり、空気を読むことが苦手な人もいます。また、実は人の気持ちを敏感に感じているからこそ、あえて心を閉ざして共感が苦手かのように装ってしまう人もいます。

でも、相手がどんなタイプの人であっても、共感を導くために、欠かせないものがあります。それが、安心感です。

空気が読めない人は、共感できないことによって、それまでに苦い経験をしているものです。人の気持ちを敏感に感じ取ってしまう人も、なんだか心が疲れちゃって、居心地の悪さを感じたこともあるかもしれません。

そんな経験を何度もしていると、人と接する時に少し構えてしまう習慣ができます。「相手と接して、またあの嫌な思いをするのか」、そんな風に思ってしまうこともあるということです。そして、そんな状況には関わらないようにしよう、という姿勢も生まれてしまいます。

でもこれは決して、共感したくない、ということではありません。共感が苦手=共感したくない、ということではないということです。そして、その人の共感を導くためには、居心地の良さ、つまり安心感が必要なのです。

共感を導く安心感

共感力は、一つの能力です。

例えば、あなたの前に扉があったとします。その扉を開けたいと思って開けようとしても、固くて開けられなかったとします。そんなあなたであっても、もっと力のある人を呼んできて、その助っ人の力を借りることで、ようやくその扉を開けることができます。

共感力も同じです。共感力が乏しい人に、いくら共感しろと言っても、限界があります。力づくで共感力を引き出そうとしても、無理なのです。やはりそこには、助っ人が必要です。

ですから、もしも共感力が乏しい人を見かけたら、あなたが助っ人になってあげてください。

「こう思っているのかもしれないね」「こんなところを、嬉しく思っているのかもしれないね」「こんなところを、辛く思っているのかもしれないね」。そうやって、あなたの感じたことを、共感力が乏しい人にそっと伝えてみてください。

きっとその人の心の中では、「あ、そうなのかあ」「いやあ、分からなかったなあ」、そんな気持ちが出てくるかもしれません。でも、たぶん、その気持ちをあなたには口にしないと思います。

だって、その人も恥ずかしいんですよ。これまで共感しない、共感できない場面で、なんだか気まずい経験をして、自分の心をさらけ出すことが恥ずかしくなっているかもしれないのです。

またもしかすると、最初は少し抵抗するかもしれません。あなたがちょっと共感を手伝ったら、「あ、そうなのかあ」と思いながらも、共感するという場面にその人はちょっぴり困惑するかもしれません。だって、共感に慣れてこなかったんですから。

人は慣れない場面では、戸惑うものです。人は慣れない戸惑う場面では、心が落ち着かないものです。だから、あなたの「こう思っているのかもしれないね」という助け船があっても、「はいはい」と言って、その場から立ち去ろうとするかもしれません。

共感が苦手な人に、「こう思っているのかもしれないね」と共感しやすいように助け船を出して、それをすうっと受け取ってくれるかどうか。これまでに慣れてこなかった共感を導くために必要なもの。それは、何だと思いますか?

それは、安心感です。共感が苦手な人へ力を貸す時に必要なものは、安心感なのです。

あなたが、共感力の乏しい人に、「どうして、あの気持ちがわからないの?」「あの気持ち、分かって当然でしょ!」と、不安や怒りの感情を伝えてしまうと、共感力の乏しいその人の純粋な心は引っ込んでしまいます。

冒頭でお話ししたように、共感が苦手な人は、共感できないことによって、それまでに苦い経験をしているものです。あなたの共感してもらいたいという気持ちが先行して、共感力が乏しい相手に共感することを要求すると、相手はそのことを嫌な体験と認識します。

するとその相手は、共感してほしい現場から、さらに遠ざかってしまいます。共感力が乏しい人に共感してもらいたいのに、さらに共感できない遠くへ行ってしまうということです。

だから、あくまで、不安や怒りなどの陰性感情がない、安心した気持ちのある環境の中で、あなたの「こう思っているのだろうな」という助け船を、共感力の乏しい人に出してあげてください。

ここまで、共感が苦手な人には、安心感を提供したうえで、あなたが感じているものを伝える。そうやって、共感を促す、ということに触れました。

安心感を届ける斜め45度

では、共感が苦手な人に、どうやって安心感を届けるのでしょうか?ここから、その安心感を生むために、医療現場で行っていることをお話ししたいと思います。キーワードは、斜め45度です。

実は、人には近寄りやすい角度というものがあります。例えば、こんなシーンを想像してみてください。小学生のあなたが、学校の校庭にいました。そんなあなたは、担任の先生に何かお願い事をしたいと考えていたとします。

すると、ちょうど校庭の端にある花壇に、担任の先生の後ろ姿が見えます。どうやら花壇の花に水やりをしているようです。このシチュエーションで、あなたがその先生に話しかけてみるとしたら、あなたはどんな角度から先生に話しかけますか?

校庭から走っていって、先生の真後ろから話しかけますか?「ねえ、先生!」、そんな風に真後ろから話しかけると、先生は「誰っ?」と言って大きく振り返らないといけませんね。

実は真後ろから声をかけられることは、先生に不安を与える行為となり得ます。人生経験を色々積んだあなたであれば、相手に気がつかえる心が備わっているでしょう。するとやっぱり、真後ろ以外の方向から話しかけることが多くなると思います。

あるいは、真後ろから声をかけるんだったら、きっと小声で「先生」と言って話しかけるでしょう。いずれにせよ、あなたはわかっているんです。後ろから声をかけると、相手の心を動揺させてしまうということを理解しているはずです。

では、正面から話しかけますか?先生の真正面に立って、「先生!」と呼びますか?その様子をみた先生には、あなたに力強いイメージを受けると思います。人は、自分の真正面から声をかけられることに対しては、良い意味では「堂々とした」、悪い意味では「威圧的な」態度を感じるものです。

もちろん、このお話の相手は担任の先生なので、どの角度からでも、生徒であるあなたのことを受け入れるでしょう。でも、もしもあなたが先生に何かお願いごとを伝えるのが上手い場合、その角度は自然と斜め45度になります。

あなたがそっと先生の近くに寄っていき、先生がちょっと顔を横にずらしただけで見える斜め45度の位置。この角度は、先生にとっても優しい程よい感覚を覚える角度になるのです。先生の気持ちを荒らさない、厚かましくない角度が、斜め45度になります。

この斜め45度は、自然と安心感をつくりだす角度になるのです。相手との関係が築けていれば角度なんて、と思うかもしれません。でも・・、なのです。親しき仲にも礼儀あり、ではないのですが、接する時の角度は馬鹿にできないものです。

面白いことに、相手の気持ちを気にしない、空気を読まない人ほど、やはりこの角度は気にしません。堂々と後ろから話しかけますし、堂々と前から大声で話しかけます。だからこそ、そんな様子に「あれ?」っと違和感を覚えるはずです。

でもたいてい、その違和感がどこから来るのか、意識できていないことも多いでしょう。でも実は、話かける、あるいは、話しかけられる角度が影響していることも少なくないのです。面白いですよね。

ですから、共感が苦手な人に、共感を促そうとする時、ぜひ斜め45度からさりげなくアプローチしてみてください。斜め45度から、「こう思っているのかもしれないね」って言ってあげてください。

共感力は、大きな資産

ちなみに、この応用があります。向き合っている相手に、わざと自分を受け入れてもらいたい時、あるいは自分にアプローチしやすくなる隙を見せるコツがあります。それが、あなた自身がちょっと斜め45度になるということです。

相手の斜め45度から入るというのではなくて、わざとあなたの斜め45度を相手に見せるということです。そうやって、わざと自分に接してもらいやすい角度を、自分からつくってしまうということです。

そうやって、話している相手に安心感を与えることもできるのです。

ここまで、共感力が乏しい人には、安心感を用意したうえで、そっとあなたが感じているものを伝えてあげることをお話ししました。そして、斜め45度という角度は、安心感を与える上で大切な角度であることにも触れました。

僕が小児科医として意識している角度も、やはり斜め45度です。医療現場には、様々な感情があります。喜びもあれば、不安や悲しみもあります。そんな気持ちを抱く患者さんに寄り添うために、あるいは、患者さんが医療者にその気持ちを伝えやすいように、斜め45度を使います。

共感力は、大きな資産になります。それは、子どもも同じです。子どもたちは色々なシチュエーションを経験し、各場面で相手がどんなことを感じるのかを学びます。そういった経験を積みながら、相手に共感できるようになります。

あなたが当たり前に感じていることは、実は当たり前ではありません。みんな意外と少しずつ違っている。そう思ってください。今日お話した内容も使いながら、子どもたちの資産となる共感力を、ぜひ育ててみてください。

そんな風に色々思うところがあります。だいじょうぶ。まあ、なんとかなりますよ。

記事のポイント!

  • 共感を促すさりげないアプローチ
  • 共感には安心感が必要
  • 斜め45度から安心感を演出

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