小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te代表理事
湯浅正太
子どもの「生きる」を考える
#つながり方は十人十色 #子育て #小児科医 #湯浅正太

記事【つながり方は十人十色】

絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

今回は、つながり方は十人十色ということを考えたいと思います。

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる

親子がつながれない社会で起きていたこと

コメントで、お母さんと、お父さんとで、子どもたちへの接し方が違うこと。そして、いまだに大きくなった子どもたちと交流する時には、お父さんが不機嫌になってしまうことを教えていただきました。どうもありがとうございます。

実は、そういったご家庭は決して珍しくありません。それには、これまでに生きてきた社会が影響しています。そして、コメントでいただいたようなお父さんには、お父さんなりのつながり方があるので、無理に新しいつながり方を求めなくても大丈夫、ということです。

まず、社会を考えたいと思います。今でこそ、働き方改革によって、育休をとれるお父さんは増えてきました。でもそれは最近のことです。昔は、お父さんが育休をとろうとすると、「え、何言っているの?」という反応をされたでしょう。

そして、バブルの頃にはお金を稼ぐことや働くことに価値を求める姿勢が社会にはあったのです。親が自宅に帰れず、子どもと接する機会も少ないことも珍しくなかった。でも、その社会のもとで子どもたちには、どんなことが起きていたと思いますか?例えば、校内暴力です。

子どもの心に不安が生まれたら、親と触れ合う中で子どもは不安を解消していきます。社会が親を家庭に返してあげられないと、子どもたちは親と触れ合う機会を奪われてしまうのです。あたかも華やかしいバブル期には、全国の学校では、心の荒れた子どもたちが、学校の窓ガラスを割ったりすることもありました。

それは、子どもが悪いでしょうか?それとも、親が悪いでしょうか?僕の理解としては、子どもも親も悪くありません。それは、社会の責任です。親が子どもとつながれる機会を設けるために、社会が配慮してあげる。それが、必要だったのです。

バブルがはじけて、倒産する会社もありました。それに伴い、家を売却して引っ越しを余儀なくされる家庭もありました。それに伴い、子どもも転校していったのです。そうやって、大人ばかりでなく、子どもたちもその社会の変化を感じたのです。

子どもたちは敏感に社会を感じている

それまではお金を稼ぐことが良いこと、一つの会社で昇進することが良いこと。そういった価値観があったかもしれませんが、本当にそうなのか?違うだろうということを子どもたちは感じていきます。子どもたちは、社会を知らないようで、社会の変化を敏感に感じているのです。

人には欲求というものがあります。有名なものに、マズローの欲求五段階説というものがあります。人の欲求は、命を維持する欲求から始まり、安全を守る欲求、周りの人に認められたいという欲求へとつながるというものです。

子どもたちにも、もちろんそういった欲求があります。でも子どもたちは、人が生きるとはどういうことなのかがまだよくわかっていません。生きる中で、自分はどんなことを経験するのか。どんな生活は普通の生活なのかがわからないのです。だからこそ、生きる欲求も強くなります。欲求が強い反面、不安が強くあらわれるということもあります。

子どもたちは、自分のこれからの生活って、どうなるんだろう、という漠然とした不安を抱えているものです。だからこそ、社会の状況に敏感なのです。社会のことを何もわかっていないように見えても、家庭のことをわかっていないように見えても、子どもたちは敏感に感じているものです。

冒頭のお父さんの件に戻ります。お父さんはお父さんで、これまでの社会を生きてこられたと思います。お父さんの意思で様々な判断をしながら、働き方の選択をされてきたと思います。でもそれは、社会がそうさせていたところがだいぶ大きいのです。

なかなか子どもたちと一緒に過ごす時間がもてなかったり、心に余裕がある状態で自宅に帰れなかったかもしれません。大人になると、それがすべて大人のせいになります。でも、それは、社会のせいと言っても過言でない、そんな社会があったのです。

そんな社会で生きていく中で、お父さんはお父さんなりの、子どもたちへの接し方を身につけたと思います。直接話すのではなく、ちょっとその場に居座るだけ。そんな接し方もあるかもしれません。お父さんには、お父さんのつながり方があるものです。

その人なりのつながり方がある

大人の時期になると、その大人の性格や、それまでに身につけた習慣・態度を変えることは基本的に困難です。でも、人はつながる生き物なので、それぞれの大人には、その人なりのつながり方があるはずです。

例えば、世の中には視線を合わせることが苦手な人がいます。そういった人は、人と視線を合わせると、緊張しやすかったり不安を覚えたりするのです。そんな人に「視線を合わせて話をしなさい!」と指導すると、どうなるでしょうか?イライラしやすくなったり、その人の体調が崩れてしまいます。

視線を合わせることが苦手な人には、視線を合わせることを要求するのではなく、その人のつながろうとする姿勢を見極めることが大切です。視線を合わせなくたって、人とつながりたい欲求はあるものです。であれば、その人らしい、人とのつながり方を尊重してあげる。そういった関わり方もあって良いのです。

そういった、その人らしいつながり方を尊重できる社会がつくれること。つながり方には色々あっていいことを理解する社会をつくること。それが、これからの大人に求められることと思います。

人として最も求めるものは、愛でありつながりです。偏差値やテストの点数などよりも、人とつながることを評価し、そのつながり方を理解する社会が求められます。

子どもたちの幼い頃の写真をちょっと机の上に置いておいて、過去の子どもたちとつながる機会を提供してあげる。電話で話している声を、そっと横で聞いてもらう。直接会うということでなくても、子どもたちの存在をちょっと感じるというつながり方もあります。

人のつながり方は、その人自身というよりも、その人の過ごしていた環境の影響が大きいものです。だから、親子のつながりをしっかり考える社会があるかどうかは、とても大きいのです。

その人には、その人なりのつながり方がある。そう考えながら、ゆる〜い気持ちで考えてみてはどうでしょうか。

だいじょうぶ。まあ、なんとかなりますよ。

記事のポイント!

  • 親子のつながりは、社会の影響を受ける
  • 社会に合わせて自分なりのつながりをつくる
  • だからこそ社会は、親子のつながりのあるべき姿を考えなければならない

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