記事【新生活をスタートする子どもたちに提供したいもの】
おはようございます。絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。
今回は、新生活をスタートする子どもたちに提供したいもの、についてお話ししたいと思います。
このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。
【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる
子どもに提供したいもの
あなたは、新しい環境で過ごすことになった時のことを覚えていますか?親元から離れて一人で過ごすことになった時のこと。新しい学校に入学した時のこと。初対面の上司と一緒に働くことになった時のこと。
あなたは、そんな新しい環境で過ごすようになった時に、どんな風に思ったでしょう?嬉しい気持ちもあったかもしれません。不安な気持ちもあったかもしれません。そんな、普段とは違う、色々な気持ちがあったと思います。
では、そんな新しい環境で過ごす経験をしながら、自宅に帰って、あなたは何をしましたか?そんなずっと昔のことは覚えていないよ、という人もいるかもしれません。でもきっと、あなたは自宅に帰って、慣れ親しんだ以前の生活につながる何かに触れながら安心する。そんな行動をとったのではないでしょうか。
例えば、親と写っている写真を眺める。友達がくれた記念の品を手に取る。昔から使っている筆記用具を手にする。そうやって、昔の記憶とつながりながら安心感を得てホッとする。そんな行動を取っていたんじゃないでしょうか。
色々な経験を積んでいる大人であっても、そうやって昔の思い出とつながりながら、安心感を得るものです。色々な感情が入り混じった状態を落ち着けるように、心穏やかに過ごした思い出に帰ろうとする。そういうものです。
大人であっても、そうなのですから、世の中のことをまだあまり理解していない子どもは、大人よりも心の波があるものです。不安も感じるでしょう。不安を感じるからこそ、安心を得たい気持ちが強くなるはずです。
そんな心が大きく揺れ動いているはずの、新生活をスタートする子どもに提供してもらいたいもの。それは、何だと思いますか?
それは、安心感です。
子どもにとっての居場所
新しい環境での生活をスタートして自宅に帰ってきたら、「おかえり!」。それは、「ここはあなたの居場所だよ」というメッセージですよね。いつでも戻れば安心できる場所が用意されている、と子どもたちに感じさせてあげること。それが欠かせません。
そういった「居場所」があることが、子どもにとっては大きな力になるのです。自分らしさを認めてくれる「居場所」が必要なのです。子どもたちはそうやって安心感を得て、また明日から頑張ろうとする勇気を得るものです。
もしも子どもたちに不安が生まれたら、自分の気持ちを言葉で表現してくれれば、子どもたちの不安は軽減するかもしれません。でも、なかなかそうもうまくはいかないものです。会社の新入社員でも、自分の気持ちを周りに伝えることが難しいのに、子どもでは尚更です。
自分の気持ちを誰かに口にするには、条件が必要なのです。それも、安心感です。安心できる場所が用意されているからこそ、そういった場所で自分の気持ちを伝えられるのです。安心できる「居場所」があるからこそ、子どもたちは不安を口にできるのです。やっぱり、安心できる「居場所」は大切なのです。
こんな風に、子どもたちが安心できる「居場所」には、とてつもない力があります。
新生活をスタートするようになった子どもたちが、自宅に帰ってきます。すると子どもたちは言います。「ただいま〜」。そうしたらぜひ、「おかえり〜」と言って、子どもたちの「居場所」をアピールしちゃってください。
そんなことを繰り返していると、あなたには必ず子どもの心が見えるようになります。そういうものです。
だいじょうぶ。まあ、なんとかなりますよ。
記事のポイント!
- 新しい環境は子どもの不安を生むもの
- 子どもの不安を安心感で乗り越える
- 安心づくりは、居場所づくりから
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