記事【子どものつながりの質を考える】
おはようございます。絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。
今回は、子どものつながりの質について考えたいと思います。
このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。
【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる
つながりの質
昨日の放送では、人はつながりの中で生きている、というようなお話に触れました。今こうやってvoicyでお話ししながら、僕の声を聴いてもらうことでつながりの一つひとつを作っていると思っています。
そのつながりの質って、とても大切と思っています。例えば、喜びや感謝を感じられるつながりだったり、あるいは、いつでもそっと支えてくれるつながりがあるのか、ということです。
大学時代の経験
僕が大学に入学した当時のことです。僕は大学に入学して初めて、親もとから離れて、ひとり暮らしを始めました。大学の周りには田んぼがあったり、山があったり、川があったり、とても長閑な風景が広がっていました。今考えても、僕の心が落ち着く最高の環境だったんですね。
そういった環境で大学の入学式を迎えました。医学部医学科だったので、1学年1クラスで、1クラス100名にも満たないこじんまりとしたクラスでした。入学当初は、どんなクラスメイトがいるんだろうとか、どんな先輩がいるんだろう、そんな不安がありました。
でも、そんな不安はあっという間に消えていきます。それは、周りのクラスメイトや先輩がとても優しかったからです。とてもアットホームな感覚を感じました。それはまるで、小学校の頃のような感覚です。みんなの距離が近くて、助け合えるような、そんな印象をもったものです。
授業が終わって、部活に参加して、みんなで食事に行って、ワイワイ話しながら、楽しい時間を過ごしました。困ったことがあったら助け合って、今ではくだらないと思うようなことも真剣に話し合ったり。そうやって、貴重なつながりを作っていきました。
そういったつながりを持てたことを、今でも本当に感謝しています。今医師として働きながらも、時々学生時代のことを思い出すことがあります。そうやって、ホッと安心できるような、心があたたかくなる学生時代の光景を思い出しながら癒される。そんな感覚です。
子どもにとって大切なもの
子どもたちは不安を感じた時に、安心できるものを頼りに、抱えた不安を乗り越えていく、そんな子どもの心を小児科医として学びました。僕が学生時代を振り返るという作業も、それと似たものなのだとうと思います。心が安らぐ安心できる経験を振り返りながら、今を乗り越える。そういうことなのだろうと思います。
病気や障害を抱えながら、あるいはそういったものがなくても、心の問題を抱える子どもたちに僕は向き合っています。その中で、目の前の子どもたちには、心を落ち着かせて安心できる場所や経験が提供されていないと感じることが少なくありません。
薬を使えば治せるとか、子どもに原因があるとか、そういった考えが多く蔓延っていることを感じることがあります。でも、違うのです。子どもにとって安心できる環境があるだけで、子どもたちは元気になります。薬を使わなくたって、子どもたちは元気になるのです。そのためには、やはりつながりとても大切。
小児科医として薬を処方することはできるけれど、小児科医として働けば働くほど、薬では治らない子どもたちの心に向き合うようになります。しかも、薬を使うよりも、いかにつながりを作るかの方がもっともっと大切であると感じます。
薬は、その子どものいっときの心をよくするかもしれません。でも、いっときです。つながりは違います。つながりは、その子どもの心のしっかりとした骨格やその中身を作っていきます。子どもは、人生を通じてそのつながりに助けられるのです。
僕が経験しているあたたかい経験をvoicyを通じて届けることで、聴いてくれているリスナーの心もあたたかくなればと思います。そうやってつながりを通じて、他人のあたたかい経験が、他の人にも共有できる。やっぱり、つながりって、便利なのです。
そんな風に色々思うところがあります。だいじょうぶ。まあ、なんとかなりますよ。
記事のポイント!
- つながりが子どもたちを支える
- 薬よりもつながりが大切
- つながりは人生を通じて子どもに効いていく
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