記事【過去がつくる子どもたち】
絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。
今回は、過去がつくる子どもたち、ということについて考えたいと思います。
このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。
【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる
無意識に自分の経験とつながるということ
あなたは、趣味をもっていますか?絵を描いたり、登山に行ったり、音楽を聴いたり。そんな趣味をもっていますか?そんな趣味があると、時間も忘れて没頭できる。そんなことがあるかもしれませんね。
では、あなたは誰かと一緒に、その趣味のことを話した経験はありますか?相手が自分と同じ趣味をもっていて、その趣味のことを話せる機会を思い浮かべてみてください。そんな機会があれば、あなたは自分が趣味を楽しんでいる時のことを振り返りながら、楽しくたくさん話ができるものですよね。
そんな風に、あなたが誰かと話をする時、あなたは無意識のうちに自分の経験を思い起こしながら話をするものです。誰かと一緒に自分が好きな映画の話をしたら、ふとした瞬間に自分がその映画を観ていた光景が頭をよぎる。そんな感じです。
あなたの過去とつながる子どもたち
それは、子どもと接する時も同じです。あなたが子どもと話をする時には、無意識のうちに自分の経験を振り返りながら、子どもに接することがあるものです。自分でも気づかないうちに、ふと自分の経験を振り返る。そんなことをしているものです。
実は、そうやって自分の経験を振り返ることは、自分の心を動かす体験ともなります。
あなたが子どもと接する中で、自分の楽しかった経験を振り返る。楽しかった経験を振り返ると、自然と少しワクワクする。そうやって、子どもと接するあなたは、無意識のうちにあなたの心を動かしています。
そうやって、楽しい経験を振り返りながら、自分の心を動かす時、あなたの表情は和んで微笑みも出てくるかもしれません。そして、その様子を見た子どもはどうなるでしょう?微笑んでいるあなたの表情を見た子どもも、きっと微笑みます。
実はこのようなことは、日常生活では頻繁に起きています。自分の過去の体験を振り返ることで、過去の体験が今という現実の世界に表情や態度として影響を及ぼす。そしてそれが、接している相手に影響する。
あらゆる過去が子どもをつくる
こう考えると、過去と今がつながっていて、今という時点で他の人につながることがわかります。そうやって、あらゆる人の過去の出来事が、今を生きる人たちの心に伝播していくのです。
そういうことが理解できると、子どもが育つということに、どれだけ社会やその歴史が密接に関係しているかがわかります。今育つ子どもたちは、決して今の社会の影響ばかりを受けているわけではない、ということです。
様々な人を通して、過去のことが今を生きる子どもたちに伝わっています。影響は薄れながらも、人を介して過去の出来事が、今の子どもたちに伝わる。良いことも、悪いことも、です。
時々、「今の若い人は・・」とか、「今の子どもたちは・・」とか、そんなセリフを耳にすることがあります。そういった、今を生きる人をつくっているのは、実はあらゆる過去である。
そのことを理解しているからこそ、「今の若い人は・・」や「今の子どもたちは・・」といったセリフを聞くと、「え〜と、その子どもたちを生み出しているのは、あなたたちの世代かもしれないですけど(笑)」と思っています。
この「回り回って子どもたちへ」ということは、意識しているとあらゆるところで観察できます。そしてこのことを意識するからこそ、自分のところでその影響を止めるという意識をもちながら対応することもできるようになります。
子どもたちへ接することを意識していると、そんな風に色々思うところがあります。だいじょうぶ。まあ、なんとかなりますよ。
記事のポイント!
- 話すことで過去とつながる
- あなたの過去が子どもにつながる
- 様々な過去が子どもをつくる
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