小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te代表理事
湯浅正太
子どもの「生きる」を考える

小児科医が思うIQよりも大切な能力

2022/03/24
#アレキシサイミア #小児科医が思うIQよりも大切な能力 #子育て #小児科医 #湯浅正太

記事【小児科医が思うIQよりも大切な能力】

絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心に関わる物事を気ままに発信しています。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

今回は、IQよりも大切な能力についてお話ししたいと思います。

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる

感じることを言葉にできること

あなたは今朝、どんな気分で目が覚めましたか?外が明るい天気だったから、なんだか明るい気持ちで目覚めましたか?あなたが今感じている感情を言葉で表現できれば、僕は安心です。

人にとって、自分が感じていることを言葉で表現できるということは、とても大切なことです。そのことは、吉田兼好が書いたとされる随筆「徒然草(つれづれぐさ)」の中にもあります。

「物言わぬは腹(はら)ふくるるわざなり」。つまり、「悩みや言いたいことを言わずに我慢していると、精神的によくない」ということです。そんなことが、ずっと昔から言われているのです。

人は自分の思っていることを言葉にして表現することで、精神的に健康でいられるということ。それは、あなたもなんとなく理解できるのではないでしょうか。

僕は小児科医として、様々な不登校の子ども、あるいはイライラしたり生活にうまく適応できない子どもに会います。そんな子どもたちは色々な性格をもっていますが、僕が気を配るのは、自分あるいは他人の感情に気づける子どもかということです。

アレキシサイミア

実は、こういった性格を表現する医学用語があります。それが、アレキシサイミアです。日本語では失感情症と言います。失う感情と書いて、失感情症です。でも、全く感情がないわけではないので、失感情症というと誤解されてしまうかもしれません。ですので、ここではアレキシサイミアと表現します。

アレキシサイミアの性格をもっていると、自分あるいは他人の感情を表現する言葉を見つけることが難しいのです。例えば、その場にそぐわないことを言ってしまったり、なんだかピントの外れた行動をしてしまう人。その人本人は真面目に行動していても、「何やってるのよ」なんて言われている人。いますよね。そういった人の中には、自分や他人の感情をうまく言葉にして表現できない人がいるのです。

あるいは、言われたことをきっちり守ろうとする。なんでそこまでやってくれちゃうのと思うくらい親切すぎる人。いますよね。それを過剰適応と言います。アレキシサイミアの性格をもっていると、過剰適応の傾向になるのです。

過剰適応とは、自分の都合よりも、周りの都合を強く意識しすぎて頑張ってしまう、そんな状態です。自分に無理をして、その場に合わせようとしてしまうので、疲れてしまうのです。

でも、その人自身はアレキシサイミアの性格をもっているので、自分が疲れているということに気づかないのです。そんな人は自分自身の疲労に気づかないから、突然体調不良で欠席してしまうことも少なくありません。「え、どうしたの、突然?!」という感じです。

体と心の天秤

このアレキシサイミアに絡めて、僕が外来でよくお話しするのは、体の状態と心の状態の乖離です。アレキシサイミアの性格をもっている人は、本当は体が疲れているのに、心ではそのことを認識できずに無理をしてしまうことが少なくありません。

例えば、体は疲れているのに、その疲れを心で理解できていないために、お友達と無理して一緒に行動してしまう。その結果、翌日から1週間学校をお休みしてしまう。アレキシサイミアの子どもには、そんなことがよくあります。

人は、体で感じているものと、心で感じているものが同じであることが望ましい。体が疲れているということを心でも理解できている。体の状態と心の状態が釣り合っていることは、とても重要なのです。

社会で生きるうえで、あなたはどうやって振る舞っているでしょう。自分の心が疲れたと感じたら、「あ〜もう疲れちゃったよ」なんて愚痴をこぼすかもしれません。あるいは、疲れている相手の気持ちを先読みして、ちょっと紅茶なんて差し入れしちゃったりするかもしれません。そうやって「気が利く〜」なんて言われながら、疲れを笑顔に変えているものです。

自分や他人の気持ちを理解しながら、器用な身のこなしができると、生きることがとても楽になります。楽になるというよりも、楽しくなると言った方がいいかもしれません。

自分の感情に気づく能力

でも、アレキシサイミアの性格をもっている人は、自分あるいは他人の感情を表現する言葉を見つけることが難しい。だからこそ、器用な身のこなしが苦手なのです。相手の疲れを理解できないばかりか、自分が疲れていることさえ、うまく認識できない。そんな状態で過ごしています。

いくら計算する能力に長けていても、暗記する能力に長けていても、その能力を使うためにはそもそも、人としてうまく生きるということが必要です。人としてうまく生きるためには、自分の感情を理解して、自分の体と心をバランスを均等に保つことが必要です。

このように、自分の感情に気づく能力は、豊かな人生を送るうえでIQよりも大切と考えています。自分の感情に気づく能力は、自分の感情をコントールする最初のステップにもなります。IQよりも大切な自分の感情に気づく能力。ぜひ気にしてみてください。

そんな風に、色々思うところがあります。だいじょうぶ。まあ、なんとかなりますよ。

記事のポイント!

  • アレキシサイミアという性格特性
  • 体で感じるもの=心で感じるものにしたい
  • 自分の感情に気づく能力はとても大切

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