子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

小児科医が子どもの保育を考える続編

2022/03/20
#小児科医が子どもの保育を考える続編 #子育て #小児科医 #湯浅正太

記事【小児科医が子どもの保育を考える続編】

絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心を育てるうえで役立つ情報を発信しています。そんな、子どもの心を育てるということを、あまりかたく感じないでください。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

昨日は、子どものよりよい発達を考えると、保育施設や親の働き方改革を通して達成したいことは、子どもに安心感を抱かせることと、親に心の余裕を生み出すこと、という話に触れました。

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる

子どもへの教育

保育施設を充実させたからといって、子育て中の親の労働環境が改善されなければ、本来達成したい子どものよりよい発達にはつながりません。保育施設の充実は山積する課題の一部であって、そういった子育ての課題を解決するには、子育てを評価する社会を生み出す必要があります。

「子どもを育ててくれているんだね、ありがとう。仕事はもういいから、子どものために早く帰ってあげて。」「国が子育ての価値を認めてくれているから、子育てする家庭にこんなに手当がもらえるんだね。私たちも子どもをもってみようかな。」そうやって社会が子どもをもつことを評価するからこそ、子育て世代は「子どもをもとう」とするのです。

子どもを育てることを評価できる社会になるために、おこなうべきことは何か。様々な手当の支給やフレックスタイムの導入などの働き方改革など色々あると思います。ただ、いまだに従来の考えから脱却できない組織も多くあるのが現状です。大人になってから考えを大きく転換することは、なかなか難しいのです。

僕は長期的に考えて、最も重要なことは子どもへの教育と思っています。時間はかかるだろうけれど、子育ての価値を認める社会を生み出すために必要なものは、子どもたちへの教育です。子どもを育てることが尊重されるべきであること。家庭を大切にすることから、社会の成り立ちを考えるということ。そういった教育を、子どもという時期から国民に提供することが必要です。

ベクトルの方向

経済発展めまぐるしいこれまでの日本社会では、社会に合わせて家庭を考えるということになりがちでした。社会が回ることを考えながら、社会から人の生き方を考えるというベクトルになっていた。でも、本来は人の生きやすさから社会を考えるというベクトルの方が健全です。つまり、本来は人の生活を起点に社会を考えたいけれど、これまでは社会を起点に人の生活を考えがちであったということです。

本来のあるべき方向とは違う、社会を中心に人の生き方を考えてしまった結果、どんなことが生じたか。親が社会で働いて、疲れて心に余裕のない状態で子どもと接する。本来であれば、子どもは生活で生じた不安を親子の関わりの中で解消するはずなのに、その親子の時間が十分にもてなくなってしまう。すると、子どもの不安は解消されずに、問題行動を起こしてしまう。不登校も生じてしまう。

心の余裕がない親のもとでは、倫理観を育てることも難しくなってしまう。思いやりをもって人に接することの尊さを、親から子どもに教えることができない。すると、子どもに倫理観が育たないからこそ、いじめの問題が生じる。いじめの問題は、学校が原因ではなく家庭が原因なので、いくら学校を責めてもいじめの問題がなくならない。でも、そもそもその家庭の余裕のなさを生み出しているのは、社会にある。

子育てへの価値観

社会で起きている様々な問題は、人の生活を起点に社会を考えるようになれば、改善するものが多くあるはずです。社会がしっかり親に心の余裕をもたせる配慮をすれば、子どもたちの多くの問題が解決する。そういった理解のもと、人の生活から社会を考えるというベクトルで社会を立て直す。それにはやはり、子どもの時期からの教育が必要ということです。

人の生き方を大切にしながら、社会を回していくことを考えられる国民を育てる。そういった教育を施された子どもたちだからこそ、保育の問題や働き方を工夫できるのです。「子どものために親がいっしょにいるなんて、当たり前でしょ」、そんな価値観をもっているからこそ、人が生きやすい社会が実現できる。

あなたは、そういった教育を受けてきましたか?少なくとも、僕は受けてきませんでした。テストでいい点数を取ったら表彰されるなど、どこか生産性を重視するような教育だったと思います。その価値を信じて社会人になったけれど、自分の幸せって何なんだろうって、悩んでいる大人を多く目にしてきました。

人にとって、もっともっと大切な人生の価値ってありますよね。親子でいっしょに笑い合える時間なんて、最高に価値のあるものだと思いませんか?

今回はここまでです。

記事のポイント!

  • すべては教育から始まる
  • 人の生活から社会を考える
  • 子育ての価値を理解できると社会問題が解決する

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