子どもの「生きる」を考える
子どもの「生きる」を考える
小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te
代表理事 
湯浅正太
みんなとおなじくできないよ

小児科医が自分を操縦するということ

2022/03/11
#小児科医が自分を操縦するということ #子育て #小児科医 #湯浅正太

記事【小児科医が自分を操縦するということ】

絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心を育てるうえで役立つ情報を発信しています。そんな、子どもの心を育てるということを、あまりかたく感じないでください。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

今回は、小児科医が自分を操縦するということ、について考えたいと思います。

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる

あなたが受ける影響

あなたは生きていると、必ず誰かに影響を与えて、あるいは影響を与えられて生きています。それは、人が社会をつくる生き物なので当然です。

あなたの行動は、いつの間にか誰かの影響を受けて生まれています。例えば、鼻歌です。誰かが鼻歌を歌うと、しばらくして、自分あるいは他の人も同じ鼻歌を歌うような場面を見たことはありませんか。あるいは、自分の心の中にその鼻歌のメロディーが残っている、そんな経験はありませんか。

目で見える広告なんて、いい例ですね。毎日目に飛び込んでくる広告があると、あなたが意識しないところで、ふとその広告が目に浮かぶ。電車の手すりにつかまりながら見ている広告。それは、いつの間にかあなたに影響を及ぼしているものです。

広告の影響

でもそんな周りからの情報を受け取るにあたり、あなたはそれぞれの情報を違うレベルで受け取っています。自分に入ってくる情報を、意図的なものと認識できているかどうかで、その情報の捉え方に違いが生まれるということです。

見てわかりやすい広告は、あなたにとって広告と写ります。広告はあなたを誘っている。そういった意識が生まれます。あるいはそういった意識をもつことができます。広告という認識を挟んで、情報を捉えるようになります。自分の行動が変わる前に、いったんブロックが入るという感じです。

一方、人と接することは、自分からあえて意識をしなければ、広告のように情報が入ってくるという認識を挟みにくい。だからこそ、あなたは影響を受けやすい。あなたが、直に誰かに会うとは、そういうことです。

子どもから受ける影響

僕が小児科医として子どもと接する時、必ず注意していることは、この影響です。色々な患者さんに会う中で、毎回影響を受けていたのでは、診療が安定しません。常にやり取りの中での自分を操縦します。

言葉でのやり取りをしていても、頭の中では自分を操縦している。そんな感覚です。頭の中の見えないところで、意識のコントロールの攻防戦を繰り広げている、と言ってもいいかもしれません。

ですから、正直エネルギーを使います。それをずっとは続けられません。ずっと続けては、疲れてしまいます。だから、どこかであえてそのスイッチを切るようにしています。診療と、そのほかの場面で、自分を切り替えるということです。

振り回す、振り回さない

僕にとってこの意識は、周りを振り回す、周りに振り回されない、という注意につながります。自分の無意識の行動が、周りを振り回しているかもしれない。あるいは、周りが意識していない行動で、自分が振り回されているかもしれない。そういった意識をもっています。

子どもの感情が飛び交うような場面では、あるいは社会で生きるうえで、周りを振り回す、周りに振り回されない、という意識はとても大切かもしれません。

でも一方で、まったくこの意識を取っ払ってしまう場面があります。それは、喜びの場面です。自分も喜びたいと思う場合、相手の喜びの感情がうつってしまってもいいと思いながら、自分の心を開放します。

今回はここまでです。

記事のポイント!

  • 子どもから受ける影響
  • 自分の気持ちを操る意識
  • 振り回さない、振り回されない

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