記事【正しい教育とは】
絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心を育てるうえで役立つ情報を発信しています。そんな、子どもの心を育てるということを、あまりかたく感じないでください。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。
ところであなたは、どんな小学生あるいは中学生でしたか?先生から言われたことを素直に実行できる生徒でしたか?指示されたことに対して、「どうして?」と疑問をもちながら行動するタイプでしたか?僕はどちらかというと、先生の指示には従うけれど、心の中では「どうして?」と疑問をもちながら行動するタイプだったと思います。
色々なタイプの子どもがいますが、子どもは皆従順です。言われたことに対して疑問をもちながらも、従おうとする子どもが多いものです。そうやって言うことに従ってくれると、指示する大人の方は楽かもしれません。でも、子どもの側はどうでしょう?
実は、大人の指示の中でその子らしさが尊重されなければ、生きづらさが強調されてしまう子どももいるのです。つまり、大人の指示が、子どもの生きづらさを強調してしまう場合もあるということです。今回は、僕が色々な子どもたちに会う中で経験した、違和感のある教育について触れたいと思います。このお話を通して、子どもたちへの教育のあるべき姿をあらためて考えてもらえたらと思います。
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる
子どもたちのSOS
僕は小児科医として色々な子どもたちと出会います。教室から飛び出してしまう子ども。お友達を叩いてしまう子ども。不登校になった子ども。そんな様々な子どもたちに会う中で大切にしているのは、ようやく出してくれるようになった、子どもたちのSOSを受け止めるということです。
教室から飛び出すことも、お友達を叩くことも、不登校になることも、その子どもたちのSOSです。そのSOSを出すまでには、生きづらさを我慢していた過程があるはずです。生きづらさを何度も何度も我慢したけれど、もう限界。そうやってようやくSOSを出してくれるようになった。そんな子どもたちがほとんどです。
そんなSOSを出してくれている子どもたちに対して、「なんでそんなことするの!」「もっとまともな生活をしなさい!」なんて言っても、子どもたちを追い詰めるだけです。せっかくSOSを出してくれたのに、そのSOSが跳ね除けられてしまう。そんなことは避けたいものです。
子どもたちへの教育
子どもはストレスを感じた時、女の子か男の子かで、その行動の現れ方は違います。女の子であれば、ストレスを心の中に抱えて、行動が消極的になる。元気がなくなり、いつの間にか学校から足が遠のく。そんなことがあるものです。男の子であれば、ストレスを見える形の行動で示そうとする。何かを叩いてみたり、学校から飛び出してみたり。そんな傾向があります。
そうやってSOSを出す子どもたちと接する中で、僕は色々な教育現場を見てきました。その中には、違和感を感じるものもありました。例えば、問題が解けなかったら、その班全員の責任。給食が食べられなかったら、その班全員の責任。お互いに相手のダメなところを言ってみる。そんな教育がおこなわれていたことがありました。それぞれの教育が、別々の学校でおこなわれていました。
子どもたちには、それぞれ個性があります。できることも、できないことも違う。問題を解く早さだって、給食を食べる早さだって違う。そんな個性を尊重しながら、個々の能力を高めてあげるのが教育と思っています。
相手のダメなところを気づかせるよりも、相手の良いところに気づける方が人生は豊かになります。相手を否定するよりも、相手を尊重できる心を育てることが教育と思っています。
子どもの成長を目指すという共通する目標
子どもたちが生きづらさを抱える教育現場の中には、時代錯誤と感じてしまう教育がありました。富国強兵が謳われていた時代を連想してしまう。そんな感覚を覚えたものです。連帯感を感じさせるための教育が、少しズレているのです。
そんな場合には、直接学校の担任の先生や学年主任の先生、あるいは教頭先生や校長先生とご相談します。それは、子どもたちや親御さんがとらえていることと、実際の現場でおこなわれていることが違ったりもするからです。ですから直接お話しして、実際の教育現場を確認させていただくこともあります。
それに、なるべく一方的な思いを押し付けないように注意します。学校の先生方も先生方で、ストレスフルな状況で働いていることも少なくありません。子どもの問題行動が家庭の環境にあるにもかかわらず、学校のせいにされてしまうケースも経験しています。学校の先生方が必死に子どもに寄り添ってくれている現場も知っているからです。
子どもに関わる者同士、子どもの成長を目指している点では共通している。そういった共通の目標を意識しながら、フラットな感情で子どもの生きやすさを追求する。そういった姿勢が大切と思っています。
今回はここまでです。
記事のポイント!
- 子どもたちのSOSを受け止める
- 子どもの成長を目指したいという想いは、皆同じ
- その子らしさを大切に
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