小児科医・作家
一般社団法人Yukuri-te代表理事
湯浅正太
子どもの「生きる」を考える

記事【赤ちゃん返りの心】

絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの心を育てるうえで役立つ情報を発信しています。そんな、子どもの心を育てるということを、あまりかたく感じないでください。ですから、紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちで聴いてもらえればと思っています。

今回は、赤ちゃん返りの心を考えたいと思います。

このブログ記事の内容は、Voicyでも配信しています。

【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる

自分のペースから、周囲のペースへ

あなたは、幼い頃をどんな風に過ごしていたか、覚えていますか?お母さんやお父さんに手伝ってもらったり、おもちゃを使って自由気ままに遊んだ経験があるのではないでしょうか。誰にも邪魔されずに、自分のペースで過ごす経験。そんな経験を積みながら、成長してきたと思います。

でも、そんなあなたは成長すると次第に、周りのペースに合わせることも学びました。幼稚園、保育園、学校、そんな社会で周りのみんなと一緒に行動する。あるいは、宿題などの、期限が決められた課題をこなす。そうやって、自分のペースで生活するばかりでなく、周りのペースにあわせることも少しずつ覚えるようになったはずです。

人は成長するに従って、自分とは違う外の世界を経験していきます。そうやって様々な体験を積みながら、心を大きく成長させていきます。外の世界を経験する過程で、周りのペースにあわせる経験を積むのです。そういった、外の世界を経験する、あるいは周りのペースに合わせる過程で大切なことがあります。それは、自分が安心できる空間を確保することです。

自分が安心できる空間には、色々なものがあります。既に用意されているものとしては、自宅があります。親と一緒に過ごせる自宅は、子どもが安心を感じられる空間です。一方で面白いことに、子ども自身が自分からその安心できる空間をつくることもあります。その時にとる行動が、「赤ちゃん返り」あるいは「幼稚返り」です。専門用語では、「幼児退行」や「退行現象」と言ったりもします。

けっして赤ちゃんの様子ばかりに戻るのではなく、どんな年齢であっても幼い頃の様子に戻ろうとする現象なので、ここでは「幼稚返り」と表現してみます。「幼稚返り」は、悪いことではありません。子どもが安心を感じられる空間をつくろうとして、自分を守ろうとしている証拠なのです。

大切にする子どものペース

例えば、子どもに自分の弟や妹ができた時です。それまで自分のペースで回っていた生活が、今度は弟や妹のペースになってしまう。そうやって周りのペースに合わせなくてはならない状況になると、やはり自分のペースで生活できる空間を求めるようになります。お母さんやお父さんにみてもらいたいという欲求が強くなる。そうやって、幼い頃の自分を真似して、幼稚返りをするようになります。

あるいは例えば、課題をたくさん与えられて、ストレスフルになった中学生です。学校の学習のペースが早くて、疲れてしまった時、やはり自分のペースで生活できる空間を求めるようになります。小学生や幼稚園生の頃に遊んでいたおもちゃを使って、幼い頃の自分を真似する幼稚返りをするようになるのです。

いずれのケースも、幼い頃の自分の行動を真似することで自分のペースを確保し、安心できていた頃の空間を演出しているのです。周りのペースに合わせすぎて自分の心が疲れてしまわないように、自分を守っている証拠です。

このように幼稚返りをしている子どもを見たら、その子どものペースではない環境があるのだろうと推測してみてください。ですから、その子どものペースを確保する工夫してあげること。それが、周りの大人にできることなのです。その子どもとの時間をわざとつくってあげる。子どもの年齢が高ければ、その子どもの空間が充実するように、何かそっと差し入れをしてあげる。そういった工夫で、子どもは人生のステージを上がっていけるのです。

今回はここまでです。

記事のポイント!

  • 「赤ちゃん返り」「幼稚返り」は悪くない
  • 「赤ちゃん返り」「幼稚返り」は、自分を守る方法
  • 子どものペースも大切にする

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