記事【三つ子の魂百まで】
絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者で、小児科医の湯浅正太です。このチャンネルでは、子どもの発達をより良い方向へ導くために役立つ情報を発信しています。それは、子どもの心を育てるということにつながります。そんなことを紅茶でも飲みながら、ゆる〜い気持ちでいっしょに考えてもらえればと思います。
今回は、「三つ子の魂百まで」について考えたいと思います。
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【この記事の執筆者(湯浅正太)の自己紹介】小児科医(小児科専門医、小児神経専門医、てんかん専門医)&作家。病気や障がいのある子どもの兄弟姉妹(以下、きょうだい)を支援するための絵本「みんなとおなじくできないよ」の作者。自身もきょうだいとして育ち、小児科医として働くかたわら、子どもの心を育てる一般社団法人Yukuri-te(ゆくりて)を設立し活動している。詳しくは、法人ホームページをご覧ください。絵本「みんなとおなじくできないよ」を Amazonで見てみる
子育て問題はすでに予見されていた
幼い頃に獲得したものは、いくつになっても変わらない、という意味の「三つ子の魂百まで」。ことわざの「三つ子」は数え年を使った表現なので、生まれたときを1歳として、三つ子は満年齢の2歳ということになります。
このことわざは、子どもの発達を的確に表現しています。子どもに不安が生じたら親に助けてもらうという習慣の中で、子どもと親の間で愛を育みます。親の存在が子どもにとって、安心感と安全を感じる存在になる。そうやって子どもの心の中に親という存在がしっかり根付くことによって、他人への優しさや様々な体験を乗り越えていける勇気が備わります。
今の社会は不登校、虐待、いじめなどの多くの問題を抱えていますが、すでに昔の人たちはこういった問題への警笛を鳴らしていたのです。そして、その解決の鍵がどこにあるのかを示してくれていました。それは、やはり幼少期です。
繰り返される子育て
1990年代の米国では、日本とは比べ物にならないほど多くの子どもの暴力や薬物使用といった問題がありました。そこで、大規模な調査が行われたのです。そして導き出した結論は、「両親が子どもといっしょに家庭にいる時間が大切」「子どもと家庭あるいは学校との関係が良いほど、問題行動が抑えられる」などのごく当たり前のことでした。
日本の経済を発展することが良いこととして捉えていた日本は、古き良きことわざも、米国の調査にも関心をもつことなく突き進んでいたと思います。そうやって、子どもの心を顧みることない暮らしが出来上がりました。そうやって子育ての本質が見失われていったのです。
時代は繰り返されます。そのことを人類は知っています。時代は繰り返されるからこそ、過去の歴史から学ぼうとします。それは、子どもの発達も同じです。おそらく、今あなたが抱える問題を、未来の親も抱えるでしょう。あたかも今出てきた問題として悩むに違いありません。でもそれは、すでに人類が経験してきたことなのです。
社会が親に提供すべきもの
自分たちが積んだこの経験を無駄にしないように、人の人生にはどのようなカラクリがあるのかを子孫に伝えたい。そういう思いからつくられたことわざが、「三つ子の魂百まで」かもしれません。豊かな心を手に入れた三つ子は、その子が百になるまで社会へ豊かな心を分かち合えるのです。
そう考えると、今の社会問題を解決するために取り組まなければならないのは、やはり幼少期の子どもへの関わりを充実させることなのです。家庭の中で家族みんながいっしょに生活できる社会。いっしょにご飯を食べられる暮らし。お互いに挨拶を交わすことができる暮らし。そういった、子どもたちの豊かな心をつくれる暮らしを、社会が親に提供してあげる必要があります。
今回はここまでです。
記事のポイント!
- 幼少期の親の関わりが大切
- 社会の問題は子育てから始まる
- 社会は徹底的に子育てを支援すべき
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